「Xperia PRO」は約25万円の価値あり! 5Gミリ波通信からHDMIライブ配信まで徹底検証(2/4 ページ)
ソニーモバイルから、映像制作者向けのAndroidスマートフォン「Xperia PRO」が発売された。この記事では最初にXperia PROの概要を紹介し、後半で5Gミリ波の速度測定や、“Pro”らしいHDMI入力やライブ配信用途を紹介する。
実測1.7Gbps超え 高速な「5Gミリ波」に対応
ここからは、Xperia PROの“Pro”らしい機能について見ていこう。「5Gミリ波の高速データ通信」「HDMI対応の外部モニター」「HDMI対応のモバイルライブ配信デバイス」の順に紹介していく。
Xperia PROは5Gミリ波(28GHz)とSub-6(3.7GHz帯、4.5GHz帯)の両方に対応。ミリ波はSub-6よりもさらに高速で、対応したスタジアムでのスポーツやイベント報道においては、写真や動画のアップロードに役立つことが期待される。
だが、ミリ波はスマホへの搭載や直進性が高く、エリア拡大が難しい周波数帯だ。このため、現状はほとんどの5Gスマホが対応しておらず、エリアも都心や主要施設のごく一部をスポット的にカバーする程度という点は留意しておこう。2月時点でXperia PROが対応している5Gミリ波はauとドコモ(ソフトウェアップデートが必要)のみだ。
5Gミリ波対応のため、Xperia PRO本体も最適化された設計となっている。具体的には本体の放熱設計を見直し、本体上下左右のアンテナで360度全方向の電波を受信可能にしている。本体の外装も、電波を阻害しないよう梨地仕上げ風の樹脂素材を採用している。
4G LTEの対応バンドが多く、SIMロックフリーのデュアルSIM対応という点も見逃せない。対応バンドはiPhone 12シリーズ並みに多く、国内外で利用しやすくなっている。通常は海外渡航の多い報道や映像制作者にとって、データ通信から普段使いの通話まで使いやすい。
さらに、通信状況を確認できる「Network Visualizer」アプリを搭載。5Gミリ波と接続した場合に限り、どの方向の電波を受信しているかまで表示される。子画面表示にも対応し、ファイル転送やライブ配信時のモバイルデータ通信のトラフィックを確認できる。ただし、Wi-Fi接続時はトラフィックが表示されず不便に感じた。
では、5Gミリ波とSub-6の違いを見ていこう。auの回線を利用して品川シーサイド近辺で速度をチェックした。
ミリ波のエリアでは下り1.7Gbps以上、上り300Mbps以上と、4Gはもちろん5G Sub-6とは桁違いの速度を記録した。これだけの速度が出るなら、容量制限を気にせず写真の送信やライブ配信を利用しやすい。5G Sub-6も、下り400Mbps前後、アップロード30Mbps前後と十分高速だ。ミリ波と比べると遅いように見えるが、日常利用では十分すぎる速さだ。
Xperia PROではソニーの最新ミラーレス一眼「α1」や「α7S III」などにUSBテザリングで接続し、撮影しながら報道局のサーバなどにFTPでアップロードする、または後述するライブ配信での用途が想定されている。
実際のところ、αのUSBテザリング撮影だけなら内蔵Wi-Fiや有線LAN、他社スマホの5Gでも利用できる。だが、後述するHDMI外部モニターや、USB Type-C/USB 3.1(Gen1)対応、ミリ波を含む5Gと対応バンドの多い4Gを1台で同時に利用できる機器はまずない。プロが予算を問わずベストな撮影支援機能とデータ送信機能を持ったスマホが欲しいときに、Xperia PROのデータ通信機能は最高の選択肢といえる。
【訂正:2021年3月4日18時00分 初出時に「USB 3.1(Gen2)対応」としていましたが、正しくは「USB 3.1(Gen1)対応」です。おわびして訂正致します。】
関連記事
カメラマン目線で見た「Xperia PRO」 撮影現場のワークフローを変えるマシンだ
ソニーが発売したプロユース向けスマートフォン「Xperia PRO」。これと「α1」を組み合わせることで、映像や写真のプロに新世代のワークフローを提供することを目指すという。一対それはどういうことなのか聞いてきた。Xperia 1 IIとは何が違う? 写真で解説するプロ向け「Xperia PRO」
ソニーモバイルの新型スマートフォン「Xperia PRO」が、2月10日に発売される。一般ユーザー向けというよりは、カメラマンや映像クリエイター向けのモデルとなっている。スマートフォンとしてのスペックは「Xperia 1 II」がベースになっているが、外観は大きく異なる。PROらしい独自機能も豊富だ。5Gミリ波対応の「Xperia PRO」が2月10日発売 約22万円でプロユースを想定
ソニーモバイルが、5Gミリ波に対応した「Xperia PRO」を2月10日に発売する。カメラ機材の外部モニターや、ライブ中継用のデバイスとして使うことを想定している。ミリ波を効率よくつかめるよう、ミリ波のアンテナを本体の上下左右4箇所に搭載した。ミリ波に対応した5Gスマホ「Xperia PRO」発表 プロ用途を想定
ソニーモバイルが、5Gのミリ波に対応した「Xperia PRO」の開発を発表。発売時期や発売地域は未定。映像制作をはじめとしたプロ用途のデバイスとして開発している。ドコモとコクヨ、5Gオフィスソリューションの実証実験 Xperia PROを使用
NTTドコモとコクヨは、ニューノーマル時代の新しい働き方を創出する5Gオフィスソリューションの実証実験を開始。離れた場所にいても隣にいるかのような感覚を実現し、メンバーの一体感を高めてチーム力の強化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.