ヤフーとLINEの統合で何が変わるのか? 新生Zホールディングスが目指すもの(2/2 ページ)
ヤフーを傘下に収めるZホールディングスとLINEが統合して新生Zホールディングスが3月1日に誕生した。新生Zホールディングスは、Yahoo! JAPANやLINEといった巨大サービスを抱え、国内総利用者数は3億超、国内サービス提供数は200超となる。中でもコマースやFintechを集中領域に掲げている。
ヤフーニュースとLINEニュースはユーザー属性が違う
金融事業では、Zホールディングス傘下のジャパンネット銀行に加えて、LINEはLINE Bankを2022年度中に開業する予定で、グループ内に2行の銀行を抱えることになるが、その点に関してはユーザー層の違いを理由に挙げる。
例えばヤフーニュースとLINEニュースもサービス統合をしないが、これは「極めてユーザー属性が違う。混ぜるな危険」(川邊氏)というほどで、同様に「PayPay証券とLINE証券ではユーザー属性と商品が違う」(出澤氏)。LINE BankはLINE上でのユーザー体験を最大化したスマートフォン中心の銀行サービスであり、「ユーザーファーストで(ジャパンネット銀行とは)上手にすみ分け、補完をしていきたい」(川邊氏)という考えだ。
「われわれがやるFinTechは金融屋がやるネット事業ではなく、ネット屋がやる金融事業」と川邊氏は強調。ユーザーのリーチを重視し、「5年後には多くの人が両方の銀行を使うようになることもあるのでは」と川邊氏は期待感を示す。インターネット企業としての新しい金融事業を実現し、「メディア・コマースに次ぐ第3の事業の柱」へと成長させることを目指す。
他にも両社には重複事業はあるが、Zホールディングスでは「プロダクト委員会」を設置。主要な役員10人が参加してプロダクトについて「毎週議論して決めていく」(川邊氏)という。ここで重複するサービスの統廃合を決めていくそうだ。
コマースなどの事業も新生Zホールディングスで順次拡大。AIやビッグデータと組み合わせることで各サービスを連携させる意向で、AI関連には5年間で5000億円の投資に加えて5000人を新たに雇用する計画。2023年度にはZホールディングスとしての売上収益を2兆円まで拡大。営業利益は過去最高益となる2250億円を目標とする。
日本とアジアから世界をリードするAIテックカンパニーに
「日本に住む人々に最高のユーザー体験を提供し、社会課題を解決することを目指す」と川邊氏。出澤氏は、「日本を起点にアジアにも最高のユーザー体験を提供する」とコメント。目指すのは「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」(川邊氏)で、「課題先進国・日本から、課題解決先進国・日本への変化を促す、1つの起点となるべく挑戦していく」(同)とアピールする。
GAFAやBATHなどともいわれる海外の大手IT企業に対して、Zホールディングスがどう対抗するか。川邊氏は、「ローカルに根ざした対応力を高めていく」という点に加え、検索、コマース、決済、金融、さらにモバイルのソフトバンクという「守備範囲の広さ」が優位点と指摘。出澤氏も、「日本のユーザー、アジアのユーザーのペインポイントに真剣に向き合い、ユーザーにとって圧倒的に便利なサービスを提供する」との方針を示している。
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