20GBプランは必要? 音声定額はどうなる? mineo新料金プランの狙いを聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
MNOのオンライン専用20GBプランの開始を控える中、MVNOの中では早期に値下げを実現したのが、オプテージの「mineo」だ。ドコモ、au、ソフトバンクの回線で異なっていた料金を統一し、旧プランから値下げした。料金体系を抜本的に変更したmineoだが、その狙いや背景をオプテージのモバイル事業戦略部長の福留康和氏に聞いた。
1人あたりのデータ使用量が右肩上がりになっている
―― もともとの料金プランでは、データ通信の容量が6段階あったところを、4段階に絞り込んでいます。その理由を教えてください。
福留氏 容量帯は1GB、5GB、10GB、20GBですが、これは正直かなり悩みました。まず、(旧プランであった)30GBについては、ほとんどお客さまがいませんでした。全体の割合で言うと0.4%です。お客さまと会話する中でシンプルな料金への期待が高いことが分かったのと、mineoは低容量、中容量といった10GB以下のお客さまが99%と大半だったため、1GBから20GBの間で4段階に集中させることにしました。
容量をそれぞれ増やしているのは、1人あたりのデータ使用量が右肩上がりになっているからです。これは、リッチコンテンツの影響だと思いますが、お客さまとの会話でも、容量を増やしてほしい、3GBではちょっと足りないという声を多数いただいていたので、増量し、より使い方に合った内容に見直しています。引き続き、ファンの皆さまと会話しながら、柔軟に対応していければと考えています。
―― 多かったのは3GBで、それを5GBに増やしたのは分かりますが、1GBを残しているのはなぜでしょうか。
福留氏 1GBの方も多いからです。もともと500MBだった方が結構な数いらっしゃるので、引き続き1GBとして残しました。
―― 逆に、10GB以下で99%の中で、20GBを残す意義はどこにあったのでしょうか。
福留氏 副回線でデータ容量をシェアして使うといったニーズがあったからです。また、今後の5Gの普及を考えても、大容量のニーズはある。ということで、いったんは20GBを残しています。お客さまのニーズや5Gの普及状況を踏まえながら、大容量帯は今後も検討していきます。
―― 20GBで1980円という価格は、MNOの2480円、2980円という料金を意識したものでしょうか。
福留氏 当然、他社の料金は見ていますが、それぞれについて、今できうる最大限の対応をした結果だとご理解ください。
ポジティブな反響で手応えを感じている
―― 音声通話の付かないシングルタイプは残っています。これはなぜでしょうか。
福留氏 音声通話は特に必要ないという方がいるからです。mineoは、以前から必要なものを必要なだけ、自由に選べることを大切な価値にしていきました。データ通信のみでも音声通話付きでも、自由に選べるようにしたかったということです。まったく電話を使わない方もいらっしゃいますからね。
―― ただ、音声ありなしの差額は5GBプランで230円程度と、以前より小さくなっています。
福留氏 はい。そのため、データ通信オンリーのシングルタイプから、デュアルタイプに変更される方も出てきています。
―― 選ばれる容量に変化はあったのでしょうか。
福留氏 もうちょっと見てみないと分かりませんが、数はいずれも好調です。発表会を開き、さまざまなメディアに取り上げていただけたからだと思います。当日は、Twitterでもトレンド入りし、Yahoo!ニュースの経済面、IT面でもランク入りしていました。mineoではないお客さまから「よさげなものが出た」と言われたり、以前mineoユーザーだった方から「mineoに戻ろうか」という声も挙がったりしていました。既存のお客さまからも、「やってくれると信じていた」「コース変更しよう」といった声を聞いています。総じてポジティブな反響で、手応えを感じています。
申し込みの数はまだ1週間程度(インタビューは2月9日に実施)ですが、直近半年のお申込み数の平均と比較すると、2倍程度の数で推移しているため、ご好評をいただけていると考えています。コース変更のお申し込みも、かなりの数になっています。
5Gオプションは変わらず利用できる
―― 確認ですが、5Gオプションも付けられますよね。
福留氏 はい。既存のプランで提供していたオプションサービスで、通信系のものや通話系のもの、安心安全系のものは引き続きご利用いただけます。5Gオプションも、プラス200円でお選びいただけます。
―― 一方で、5Gオプションを付けてしまうと、MNOのサブブランドとの価格差が小さくなるプランがあります。
福留氏 ここは、お客さまのニーズであったり、5Gの普及状況であったりを踏まえながら、引き続き考えていきたいところです。少なくとも、われわれMVNO側も、5G対応に際しては設備投資が発生しています。その費用を考慮した上で、プラス200円の設定をしています。
―― エココースやプレミアムコースがなくなりました。これはなぜでしょうか。
福留氏 できるだけシンプルにしたかったので、今回廃止しました。ただ、今お使いの方は、そのまま継続してご利用いただけます。ご利用の方がいなくなるまでは、継続していきます。
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