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新型コロナ、楽天モバイルの影響は? オプテージに聞く「mineo」の現状MVNOに聞く

個人向けMVNOサービスで堅実にシェアを伸ばしているのが「mineo」だ。12時〜13時のデータ通信を使わない宣言をすることで特典をもらえる「ゆずるね。」や、月額350円で500kbpsの通信が使い放題となる「パケット放題」を開始した。このゆずるね。とパケット放題の反響、新型コロナウイルスによる影響などを中心に、モバイル事業戦略部長の福留康和氏にお話を聞いた。

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 大手キャリアの料金プラン値下げ、UQ mobileやY!mobileなどサブブランドの料金プラン改定、楽天モバイルのMNOサービス開始などの影響で、個人向けMVNOサービスは苦境に立たされつつある。そんな中で、独自のサービスで堅実にシェアを伸ばしているのが、オプテージの「mineo」だ。

 2019年には、ユーザーがサービス開発やサポートに携われる「アンバサダー制度」を開始。2020年には12時〜13時のデータ通信を使わない宣言をすることで特典をもらえる「ゆずるね。」や、月額350円で500kbpsの通信が使い放題となる「パケット放題」を開始した。今回は、このゆずるね。とパケット放題の反響、新型コロナウイルスによる影響などを中心に、モバイル事業戦略部長の福留康和氏にお話を聞いた。

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12時〜13時のデータ通信を使わない宣言をして混雑を抑える「ゆずるね。」
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高速通信をオフにした際の速度を500kbpsに上げるオプションサービス「パケット放題」
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モバイル事業戦略部長の福留康和氏(写真は2020年1月29日の発表会で撮影したもの)

「ゆずるね。」は1日約3万2000人が宣言している

 3月23日に提供開始したゆずるね。は、4月時点で全回線数の約2%となる平均2万5000人以上が毎日宣言しており、うち9割が(12〜13時に通信しない条件を)達成しているという。なお、6月時点での利用者は1日平均3万2000人に増加している。ゆるずね。のユーザー数は1日5万人程度を目標にしていたが、「わずか1カ月で目標の半分程度に達したことに驚いている」と福留氏。「譲り合い、助け合い、思いやり、といったmineoのブランド価値に共感いただいた方がご利用していた」と同氏は手応えを話す。

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ゆずるね。の利用状況

 12〜13時台はMVNOの回線が最も混雑する時間帯だが、ゆずるね。の提供後、「数%程度はトラフィックが減っており、速度も上がっている」という。mineoでは、混雑時でも1Mbpsの通信速度を担保するよう努めているとのことで、さらなる速度改善が期待される。

 ゆずるね。達成者のデータ通信量をオプテージ側で見たところ、平日昼間の通信量は、mineo契約者全体の平均と比べて、5分1以下程度になっていた。一方、達成者は昼間以外の時間帯は通常通り通信しており、1日を通してデータ通信を利用していない人がゆずるね。を使っているわけではないそうだ。

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当然ではあるが、ゆずるね。利用者の昼間のデータ利用量は少ない
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ゆずるね。利用者は、昼間以外は他のユーザーと同様に通信をしている

キャンペーン効果で月間純増数が3倍に

 3月3日に提供開始したパケット放題は、6月15日時点で約4.5万回線が契約している。目標としている5万契約の9割を早くも達成し、順調にユーザー数を伸ばしている。ちなみに目標を5万としたのは、「mineoスイッチ」をオンにして、200kbpsで通信しているユーザーが10万人ほどいるため、その半分として5万にしたそうだ。

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パケット放題の契約者推移

 好調の要因として福留氏は(競合他社でも)使い放題系のサービスが増えていることを挙げる。「われわれのサービスも、比較サイトで紹介される機会が多い。標準画質ぐらいの動画なら十分使えるということで、大変ご好評いただいている」(同氏)

 キャンペーンも積極的に打っている。mineoでは2月1日から、基本料金800円を6カ月間割り引くキャンペーンを実施しているが(現在も継続)、キャンペーン開始前の2020年1月と比較して、2月以降、毎月の純増数が約3倍に増加しているという。具体的には1月の純増数は約3000だったが、2月〜5月の平均純増数は約9000とのことだ。

新型コロナの影響でトラフィックは低下

 新型コロナウイルス感染症の影響によって自宅で過ごすユーザーが増えたことで、mineoのトラフィックは減っているそうだ。mineoでは、遠隔授業やオンライン学習の利用を支援すべく、25歳以下のユーザーに対して、最大10GBのデータチャージを無償化している。対象ユーザーが4月にデータチャージした件数は5543だったが、これはmineoの25歳以下のユーザー12万に対して約5%にすぎない。「自宅では固定回線を持つ人も多い」(福留氏)ことから、トラフィックに影響を与えるほどではなかったようだ。

 また新型コロナの影響で、リアル店舗や時短営業や営業停止を余儀なくされたが、もともとmineoはオンラインでの契約が7割強だったので、大きな影響はないという。ただしリアル店舗の営業縮小により、端末の販売数は落ちているそうだ。コロナ渦の4月には「iPhone SE(第2世代)が」発売された。mineoではiPhoneユーザーの比率が高いことが特徴で、過去には「iPhone SE」を扱っていたこともあったが、現時点ではiPhone SE(第2世代)を取り扱う予定はないとのこと。

 企業のテレワーク導入支援として、手数料や月額料金(2〜3カ月分)を無料にする施策も行っている。5月21日時点で71社、1301回線の申し込みがあり、2019年4月と比較すると266%の伸びだという。福留氏は「テレワーク需要でまだ回線数は伸びるのでは」と期待を寄せる。

楽天モバイルの「影響はなし」

 4月に楽天モバイルがMNOの正式サービス(Rakuten UN-LIMIT)を提供開始したが、「影響はない」と福留氏は言い切る。UQ mobileが2020年10月からKDDIに統合され、Y!mobileもプランを改定した。ますます厳しい競争を強いられることになるが、「引き続き、(ユーザーとの)共創を追求して差別化を図り、足元のシェアを伸ばしていきたい」と福留氏。

 mineoの契約数は現在約120万。MM総研の調査によると、2020年3月時点での個人/法人向けMVNOサービスにおけるオプテージのシェアは8.0%。2019年9月末と比べると0.3%下がっており苦戦している様子がみてとれるが、同社はシェア10%の獲得を目標に定めており、共創戦略やテレワーク需要などでどこまで数字を伸ばせるか注目といえる。

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mineoの契約数

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