3万円台だがハイエンドの風格 Xiaomi「Redmi Note 10 Pro」投入のインパクト:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
Xiaomiは、2021年の日本市場でのテーマを“再定義”に定めている。新たに投入する「Redmi Note 10 Pro」は3万4800円(税込み)ながら、1億800万画素カメラやSnapdragon 732Gを搭載。従来のミドルレンジモデルを基準に見ると、カメラ、ディスプレイ、デザインやパフォーマンスも含めた体験が大きく変わっているという。
コストパフォーマンスの高さが受け、販売を伸ばすRedmiシリーズ
ただし、Snapdragon 732Gはミドルハイのスマートフォンに採用されるプロセッサで、8シリーズのSnapdragonに比べると、処理能力は落ちる。10万円前後のハイエンドモデルをそのままコストダウンしたというわけではなく、その一部を取り入れたという方が正確だろう。ワン氏も「4G用のチップを使い、カメラやディスプレイといった他の部分で付加価値を付けている。全てがトレードオフ」と認める。
コストダウンの痕跡は、他にも見え隠れする。例えば、通信方式。グローバルでは「Redmi Note 10 5G」という5G対応のバリエーションがある一方で、Redmi Note 10 Proは4Gのスマートフォンになる。カメラもクアッドカメラだが、1つは深度測定用で写真は撮れない。また、メインの広角カメラは1億800万画素だが、超広角カメラは800万画素、望遠接写カメラは500万画素と、画素数は低めだ。ワイヤレス充電にも非対応。こうした点は、ミドルレンジモデルなりのスペックといえる。
それでも、このスペックで3万4800円は安い。Redmiシリーズは、Xiaomiの普及価格帯を担うモデルで、最新鋭の仕様を盛り込むよりも、機能と価格のバランスを上手に取った端末が多い。ハードウェアの利益率を5%以下に抑えつつ、ボリュームを出してコストダウンを図るといったXiaomiの戦略を体現したようなシリーズといえる。単にコストパフォーマンスが高いだけでなく、ハイエンドモデルのエッセンスを盛り込むことで、Redmiシリーズならではの特色を出している様子もうかがえる。
この戦略が奏功し、Xiaomiのシェアはグローバルで急拡大している。2020年の営業収益は2459億元(約4兆1424億円)で、コロナ禍前の2019年から19.4%の成長。グローバルでのシェアは、2020年第4四半期に3位となった。出荷台数は前年同期比で31.4%と、他のメーカーに比べても高い成長率を示している。Redmi Noteシリーズの累計販売台数は2億台を超え、2020年の端末別販売台数では、トップ15に4機種がランクインした。今やXiaomiにとって、Redmiシリーズが稼ぎ頭になっているといえそうだ。
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