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インタビュー

「Redmi Note 9T」はなぜソフトバンク独占販売に? Xiaomiの端末戦略を聞く(1/2 ページ)

Xiaomiが発表した「Redmi Note 9T」は、5Gとおサイフケータイに対応しており、ソフトバンクの独占販売となる。Redmi Note 9Tと同時に、1万円台のSIMロックフリーモデルの「Redmi 9T」も発表。Xiaomiは、どのような狙いでこれら2モデルを日本に投入するのか。

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 2019年12月に、鳴り物入りで日本市場に参入したXiaomi。参入直後の2020年3月には、KDDIがコストパフォーマンスに優れる「Mi 10 Lite 5G」の導入を発表するなど、そのスピーディーな事業展開に驚いた人は多いはずだ。スペックの高い「Mi Note 10」シリーズで参入したXiaomiだが、2020年6月には、日本で初となるRedmiシリーズの「Redmi Note 9S」を発売し、持ち前のコストパフォーマンスのよさを印象づけた。

 そんなXiaomiだが、2020年12月には、日本にFeliCa搭載端末を導入することを表明。端末のラインアップを拡大するのと同時に、従業員やR&D(研究開発)の人員も、それぞれ2倍に増やすことを宣言している。ここで挙げられたFeliCa搭載端末が、初のソフトバンク端末となる「Redmi Note 9T」だ。このモデルは5Gに対応しており、ソフトバンクが独占提供する予定。戦略モデルとして、価格もわずか1万9637円(税別、以下同)に抑えた。

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5Gやおサイフケータイに対応しながら約2万円の価格を実現した「Redmi Note 9T」

 Redmi Note 9Tと同時に、SIMロックフリーモデルの「Redmi 9T」も発表。こちらも、Redmiシリーズの特徴を生かしたリーズナブルな端末で、価格は1万5900円。4Gのみの対応だが、プロセッサに「Snapdragon 662」を採用していたり、メインカメラの画素数が4800万画素と高かったりと、お値段以上の性能だ。

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SIMロックフリーの「Redmi 9T」も1万円台とリーズナブルだ

 そんな2機種を日本に導入するXiaomiの東アジア担当 ゼネラルマネージャー スティーブン・ワン氏に、2機種の特徴や日本市場での展開方針を聞いた。また、ソフトバンクの常務執行役員 菅野圭吾氏が、同モデルをソフトバンクに導入する狙いを語った。

誰でも使えるよう、破壊的な価格で提供する

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Xiaomiの東アジア担当 ゼネラルマネージャー スティーブン・ワン氏

―― まずは、Xiaomiから、2製品の概要をお話ししてください。

ワン氏 1機種目がRedmi 9Tで、これはRedmi Note 9Sの後継機的な端末です。背面に滑り止め加工を施し、側面には指紋センサーを搭載しています。クアッドカメラで、メインカメラは48メガピクセルです。バッテリーは6000mAhのものを搭載していますが、重量は200gを切り、198gにできました。6.53型のフルHDディスプレイやデュアルスピーカー、3.5mmのヘッドフォンジャックも付いていますが、価格は1万5900円です。デザインはどのような方でも使えるようにしつつ、破壊的な価格で提供しようと思いました。この目的は達成できていると考えています。

 もう1機種がRedmi Note 9Tで、こちらは、初めてかつ独占的なソフトバンクとのコラボレーションモデルです。ソフトバンクとの提携は初めてですが、非常にワクワクしています。5G対応で、プロセッサにはMediaTekの「Dimensity 800U」を採用しました。このチップは、7nmのプロセスルールに基づいて作られたもので、フラグシップのテクノロジーです。ベンチマークスコアも、20万から30万になります(AnTuTu Benchmark)。

 バッテリー容量は、普段使いでほぼ2日持つ5000mAh。省電力技術も、いろいろと搭載しています。こちらも、持ちやすさを考えて滑り止め加工がされていて、指紋センサーは側面にあります。ディスプレイはフルHD+、デュアルスピーカー搭載で、さらにXiaomiとして、初めてFeliCaに対応したモデルにもなります。

5Gの普及促進をもう一段上げるべく、ソフトバンクと連携

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ソフトバンクの常務執行役員 菅野圭吾氏

―― ソフトバンクとしては、どのような形でこの端末を投入するのでしょうか。

菅野氏 ソフトバンク独占で投入します。予約開始は3日、2月下旬をめどに発売を予定しています。独占投入という形ですが、Xiaomiとはずっと話をしてきました。Xiaomiの世界でのマーケットシェアやアグレッシブな端末価格などは、ずっと追いかけてきていました。Xiaomi端末を投入するのは、お互いに思惑が一致したためです。Xiaomiは、日本市場でのブランド力向上や市場拡大を狙いたい。一方のソフトバンクは、従前から社長の宮内が「20年秋以降、5G祭りが来る」と言っていました。5Gの普及促進をもう一段上げようということで、思惑が一致したため、戦略端末として投入するに至りました。両社でコミットして、独占という形で提供していきます。

 Redmi Note 9Tは、ソフトバンクの5G端末として最安値で投入します。戦略的な位置付けで、直販価格は1万9637円になります。税込みだと2万円ちょっとですね。これは、両社の戦略的な端末で、戦略的な価格です。市場では料金プランが注目されていますが、お客さまの総額には端末代も含まれます。5Gで、端末と料金を合わせてお求めやすい形にしていくのは、意義があることです。春前に、お求めやすい端末を入れ、普及を一段促進していきたいと考えています。

―― どちらの端末も非常に安いのですが、なぜこの価格で提供できるのでしょうか。お二方にお伺いできればと思います。

ワン氏 日本市場に参入した際に、戦略として他のメーカーがやっていないことをやろうと考えました。こうすることで、勝っていけます。他と同じことをしても勝てない、競争の激しい市場ですからね。2機種とも、このポリシーに合致しています。特にRedmi Note 9Tは、Xiaomiとソフトバンクの努力のたまもので、両社で魅力的な価格の端末を出そうと頑張ってきました。これによって、5Gの拡大に寄与することができると思います。

菅野氏 戦略ですね。両社でコミットして、5Gで数を上げていくのが大上段にあります。先ほどスティーブンからFeliCaやバッテリー容量の話がありましたが、こういったところは日本のユーザーに合うような形にしつつ、さらに価格も魅力的にしなければいけないとずっと話し合ってきました。何とか、両社にとっていい形でお届けができると考えています。ですから、戦略的に、両者がコミットすることで何とか実現できた価格です。

―― 日本でMediaTek製のチップを搭載した端末は珍しいですが、ここが価格に寄与したというようなことはありますか。新しいモデムとなると、ネットワーク側との相性が気になりますが、ソフトバンクとしてはいかがでしたか。

ワン氏 このチップは安いものではありません。テストはきちんと行い、ユーザー体験やスピードだけでなく、バッテリー持ちや安定性などのクオリティーは全て確認しています。また、このチップは他の国でも販売されているものです。日本以外でもテストを行い、発売以降、パフォーマンスも安定していいことが確認できています。そうした結果も踏まえて、日本市場でも使うことにしました。ユーザー視点で考えると、このレベルでベストな5G体験を提供できると思います。

菅野氏 われわれが採用したMediaTekのチップは多くありませんが、全ての試験を終え、問題ないことは確認しています。確かに初めて使うチップだったので、Xiaomiとは早めに合意し、テストを進めてきました。そういった面でも、2月末の発売に向け、十分な確認はできています。

―― 確認ですが、ソフトバンクのソフトバンクブランドですよね。価格的にはY!mobileやSoftBank on LINEとの相性もよさそうですが。

菅野氏 ブランドについては、ソフトバンクブランドです。今回の端末は彼らにとっても戦略的端末という位置付けで、5Gの大容量を大画面で使っていただきたいという狙いがありました。その思惑が一致したので、ソフトバンクブランドで取り扱っています。今回、初めてXiaomiの端末を取り扱うことになるので、(他のブランドへの展開は)今後の状況を見て検討していきます。

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