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可変式望遠レンズの実力は? 「Xperia 1 III」のカメラであれこれ遊んでみた荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(3/3 ページ)

ソニーが4月に発表し、6月から国内で順次投入される「Xperia 1 III」。デジカメとは別の方向で進化していったスマホのカメラ機能だが、Xperia 1 IIIは違う。超広角、広角、望遠に「AI超解像ズーム」で実質4つのカメラを搭載し、デジカメのような「素直な画作り」が可能となっている。

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 個人的にはAF-ONボタンがいい。AF-Cモードにしてこれをタップすると、リアルタイムトラッキングAFが働きフォーカスを合わせ続けてくれるのだ。ソニーのミラーレス一眼「αシリーズ」にも「AF-ON」ボタンはついており、私もαを使うときは愛用している。これは犬の瞳にフォーカスを合わせ続けている図。


AF-CモードでAF-ONをタップすると、被写体を追い続けてくれるので、動物を撮るときにいい

事情があって保護された子犬。現在里親募集中だそうです。ちょっとディテールが甘いのは、室内のためISO感度が上がったから

 Photography Proのモードではカメラを知っている人ほど使いやすいのが特徴。例えばレンズの切り替えだ。4つの焦点距離が35mm判換算時の数値で表示され、さらにその中間に合わせたいときも、フルサイズセンサーのカメラを使っている人に分かりやすいよう、35mm判換算の焦点距離で表示してくれるのだ。


24mmの広角カメラを50mm相当のデジタルズームにセットした図

AI超解像ズームのおかげで多少ならデジタルズームをかけても十分なクオリティーで撮れる。逆光気味だったので+1/3の露出補正をかけた

 ISO感度やホワイトバランス、シャッタースピードをマニュアル設定できるのもいいところ。夕日がキレイだったので印象的に撮ろうと、ホワイトバランスを太陽光にし、マイナスの露出補正をかけて撮ってみた。

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夕焼けがきれいだったので-1の補正をかけ、ホワイトバランスを太陽光にして撮ってみた

夕焼けは少しマイナスの補正をかけてやると赤がきれいに出る

 反対にBASICモードは普通にスマホカメラなので、細かいことは考えずに気楽に撮るのにいいし、スマホならではのぼけモードも使える。特に望遠でぼかすといい感じのポートレートになるのでおすすめ。傘を差しているという難しい条件だったけど、iToFが頑張ったのだろう。傘の一部がうまくに認識されないくらいで済んだ。


傘があるので不安ではあったけど、ぼけモードを駆使して雨のポートレートを。傘の一部以外は完璧

 インカメラを使った自撮りもBASICモードオンリーだ。


インカメラを使えるのはBASICモードのみ

 ポートレートセルフィー機能で背景をぼかす&ビューティー機能で撮ってみた。


ポートレートセルフィーで背景ぼかし&ビューティーな自撮りを。インカメラ側にはiToFがないのでエッジがちょっと微妙だった

 動画もBASICモードで撮る。


動画は4Kまでだが実にナチュラルで良い。BASICモードで撮るべし
手ブレ補正もよく効くし、写りも自然(もやっとしているのは雨が降っていたからです)

 本格的に映像作品を撮りたいときは、「Cinema Pro」を別途起動することになる。

本職デジタルカメラらしい自然な写りに注目

 では最後にそれ以外の作例を。まずは料理。これはBASICモードで撮影。料理と認識された。


ラーメンをBASICモードで。料理と認識された。気軽に撮るときはシーン認識があるBASICモードがいい

 続いて夜。イマドキ流行のナイトモードは持ってない。おかげで黒がぎゅっと締まった夜景らしい夜景を撮ってくれる。


夜の団地。イマドキのスマホみたいに暗部を明るくしたりはしない。本職カメラで撮るとこんな感じなのだ

 さらに70mm相当で夜の公衆電話を。この望遠カメラはけっこう寄れるのでつい使ってしまう。


70mm相当で夜の公衆電話。背景に団地のエントランスを入れてみた。くらい分ちょっとざらっとしたけど悪くない

 105mmでの望遠でも1枚。夕刻、駅を出たら巨大な虹がかかっていたので、望遠カメラにして撮ってみた。


大きな虹が出ていたのでつい撮ってしまった。105mm相当の望遠ならここまでしっかり撮れる

 最後は広角カメラであじさい。雨の中、実にいい感じにしっとりと撮れた。


ぐぐっと寄って雨のあじさい。画質的には広角カメラがやはり一番いい。ディテールもきれいに出る

 と、Xperia 1 IIIの特徴的なところを中心に見てきたが、写りが非常にナチュラルで好感が持てるというのが一番の感想だ。イマドキのスマホカメラは強めにHDRをかけてくっきり鮮やかに仕上げる傾向があるし、その方がぱっと見てきれいに感じるのでそれが喜ばれるわけだが、Xperia 1 IIIはあえてそういう画作りは避け、作りすぎない比較的ナチュラルな写真を撮ってくれる。デジタル一眼などを使い慣れている人にはこちらの方がしっくりくるし、不自然な写真になることも少ない。

 でも、αを目指すのならまだまだレベルアップできるところはあるわけで、個人的には多少カメラ部が分厚くなってもいいから、クオリティーを追求していってほしいなあと思ったりもするわけで、この先も楽しみである。

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