矢継ぎ早にサービスを改定する「UQ mobile」の狙い auやpovoとのすみ分けは?(1/3 ページ)
5G対応を機に一気にサービスを拡充したUQ mobileが、契約者獲得の勢いに弾みをつけている。一方で、KDDIへの統合以降、矢継ぎ早にサービスが改定されていったこともあり、UQ mobileの立ち位置の変化がいまいち伝わっていないようにも見える。UQ mobileはどんなユーザーをターゲットにし、auやpovoとはどのようにすみ分けを図っていくのだろうか。
KDDIグループのMVNOとして立ち上がったUQ mobileだが、紆余(うよ)曲折を経て傘下のUQコミュニケーションズに運営が移管された後、2020年10月にKDDIと統合。auやpovoと並ぶマルチブランド戦略の一翼を担うブランドとして、シンプルでリーズナブルな料金を打ち出している。1人からの契約で明朗会計なのは、UQコミュニケーションズ時代から受け継がれているが、KDDIとの統合により、その立ち位置がさらに強化された格好だ。
2月には、新料金プランの「くりこしプラン」を発表。6月には、くりこしプランの料金が電気サービスとのセットでさらに安くなる「でんきセット割」を導入している。さらに、9月からは5Gに対応した「くりこしプラン +5G」を開始するのに伴い、auの「世界データ定額」や「故障紛失サポート」などを取り込み、サービスも拡充している。同プランは、eSIMにも対応。でんきセット割をアップデートする形で、固定回線とのセット割も組めるようになった。
5G対応を機に一気にサービスを拡充したUQ mobileだが、2月の料金プラン改定以降は、契約者獲得の勢いに弾みをつけている。一方で、KDDIへの統合以降、矢継ぎ早にサービスが改定されていったこともあり、UQ mobileの立ち位置の変化がいまいち伝わっていないようにも見える。そこでKDDIに、UQ mobileのポジションを改めて伺いながら、同社の戦略を聞いた。インタビューにはKDDI マーケティング本部 マーケティング企画部の門脇誠部長が答えている。
低中容量のデータ通信を求める人にシンプルなプランを提供
―― au、UQ mobile、povoとブランドが主に3つある中で、改めてUQ mobileの立ち位置を教えてください。
門脇氏 UQ mobileがなんぞやというところで言うと、もともとはauがあり、UQ mobileができて、povoが始まりました。これは、複数のブランドでお客さまのニーズにお応えしていく時代になってきたからです。その中でUQ mobileは、ブランドのコンセプトとして「シンプルを、みんなに。」とうたっています。低中容量のデータ通信をお求めになる方は、ボリュームとして大きい。そういう方々に対し、ちょうどいい料金プランをシンプルな形で提供するのが、UQ mobileというブランドの一番の特徴になります。
それでいて、4G LTEは99.9%のカバレッジがあるauのネットワークに対応しています。5Gも含め、安心してお客さまにお使いいただけるブランドだと見ています。
―― 昨年(2020年)10月にUQコミュニケーションズから事業が移管され、KDDIに統合されました。統合前後で、何か違いがあるのでしょうか。
門脇氏 KDDIの中に入ることで、KDDIとしてリソースを効率的に活用しながらブランドを強化することが円滑に進むようになりました。その結果が、今年度(2021年度)に入ってからだと、でんきセット割だったり、auショップでの取り扱いが進んだりといった形で出ています。料金プランやサポートをより円滑に提供できるようになってきたということです。
―― 5Gの提供に関しても、リソースの効率活用の結果と捉えていいでしょうか。「くりこしプラン +5G」の提供に伴い、付随するサービスも増えました。
門脇氏 より広く価値を提供するためにサービスは拡充しています。サポートやネットワーク以外でも、お客さまのニーズがあり、このブランドに必要だと思ったものは提供していくスタンスです。
―― なぜ料金プランの変更という形になったのでしょうか。他社の場合、自動で5G契約に切り替わるケースもあります。
門脇氏 世界データ定額への対応やYouTube Premiumの6カ月無料といった魅力的なサービスを投入したように、5G特有のお客さまニーズにお応えできるサービスとして発展していくためです。拡張性を持たせ、今後、より魅力あるサービスを展開していけるように4Gプランと切り分けています。
現時点では通信方式が異なることからSIM交換をお願いしていますが、2021年11月以降から順次SIMカードの交換を不要にしていく予定です。
関連記事
UQ mobileがでんきセット割を「自宅セット割」にリニューアル ネットサービスもひも付け可能に(auスマートバリューと重畳可)
UQ mobileが6月から提供している「でんきセット割」が早速リニューアルされる。割引を受ける際にひも付けるサービスとして、小売電気サービスに加えて指定のインターネット接続サービスも選択できるようになる。ただし、インターネット接続サービスとのひも付けは11月以降に対応する予定で、それまでは「先行キャンペーン」での割引となる。UQ mobileでauの「世界データ定額」や「故障紛失サポート」を利用可能に
KDDIと沖縄セルラーは、「UQ mobile」向けに9月2日から提供する「くりこしプラン +5G」にて、auのサービスを提供する。対象となるのは「世界データ定額」と「故障紛失サポート」「故障紛失サポート with AppleCare Services」「使い方サポート」。使い方サポートと故障紛失サポート/故障紛失サポート with AppleCare Servicesに同時加入すると、月額料金の合計が割り引かれる。UQ mobileの「くりこしプラン +5G」利用で「YouTube Premium」が3カ月無料に
KDDIと沖縄セルラーは、9月2日からUQ mobileの「くりこしプラン +5G」利用者へ「YouTube Premium」を3カ月間無料で提供する。キャンペーンの終了日は未定。「UQ mobile」の5G対応は9月2日から 既存ユーザーでも契約変更可能(条件あり)
KDDIと沖縄セルラー電話の「UQ mobile」ブランドにおける5G通信サービスの提供開始日が9月2日に決定した。ただし、既存ユーザーの5Gプランへの移行には、当面の間SIMカードの交換が必要となる。【訂正】UQ mobileが“楽天モバイル対抗”の新料金プランを導入した背景は? 竹澤社長に聞く
UQ mobileが、“楽天モバイル対抗”を強く打ち出した「スマホプランR」を導入した。データ通信の容量は月10GBと制限はあるものの、金額は楽天モバイルの「UN-LIMIT」と同額の月額2980円。同じサブブランドであるY!mobileの後追いが多かったUQ mobileだが、徐々に先手を取るようになってきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.