UQ mobileが“楽天モバイル対抗”の新料金プランを導入した背景は? 竹澤社長に聞く:MVNOに聞く(1/3 ページ)
UQ mobileが、“楽天モバイル対抗”を強く打ち出した「スマホプランR」を導入した。データ通信の容量は月10GBと制限はあるものの、金額は楽天モバイルの「UN-LIMIT」と同額の月額2980円。同じサブブランドであるY!mobileの後追いが多かったUQ mobileだが、徐々に先手を取るようになってきた。
KDDIへの統合が決定し、auのサブブランドとしての位置付けがより明確になったUQ mobile。6月1日からは、“楽天モバイル対抗”を強く打ち出した「スマホプランR」を導入し、話題を集めた。データ通信の容量は月10GBと制限はあるものの、金額は楽天モバイルの「UN-LIMIT」と同額の月額2980円(税別、以下同)。エリアの広さやau回線で使える容量、容量超過時の1Mbpsといった速度を打ち出し、楽天モバイルの弱点を突いた格好だ。スマホプランRの導入と同時に、料金プランを整理し、現状では「スマホプランS」との2本立てになっている。
もともとは、同じサブブランドであるY!mobileの後追いが多かったUQ mobileだが、徐々に先手を取るようになってきた。2019年10月の電気通信事業法改正に合わせ、音声通話定額をオプション化したスマホプランを開始し、いち早く1980円からの料金プランを導入したのは記憶に新しい。スマホプランRも他社に先駆け導入し、容量超過後の1Mbpsなどの施策は、Y!mobileが後追いする結果となった。KDDIへの統合を前に、攻めの姿勢を強化しているといえる。
そのUQ mobileを率いるのが、4月にUQコミュニケーションズの社長に就任した竹澤浩氏だ。同氏に新料金プラン開始の狙いや、UQ mobileの現状と今後についてうかがった。
新料金プランの準備はKDDI統合とは関係なく進んでいた
―― 4月に社長に就任されましたが、まずは意気込みからお聞かせください。
竹澤氏 正直なところ、改正事業法が施行されて以降、MVNOのモメンタムは全体的に上がっていたと思います。当社も、2019年度の下期は右肩上がりで来ていました。着任したのは2月、社長就任は4月ですが、4月以降も右肩上がりでいきたい。この勢いを落としたくないという思いがありました。ご存じのように、新型コロナウイルスやKDDIとの統合の話もありましたが、それがあっても気持ちは変わっていません。いかにUQ mobileのファンをたくさん集めながら10月を迎えるかということを一番に考えています。
―― スマホプランRは、就任後に決められたのでしょうか。
竹澤氏 正確に言うと、2月にこちらに来た際には、楽天モバイルの動きもあったので、KDDIも含めてどうするのかという準備はありました。あの形で行こうとなったのは、私がこちらに来てからです。UQコミュニケーションズの社内で意見交換し、この形がいいのではないかと落ち着いたのは、4月に入ってすぐのことでした。
―― なるほど。ということは、統合の件とは特に関係なく話は進んでいたということですね。
竹澤氏 料金プランなので、今日の明日というふうにはなかなかいきません。こういったことを構想しながら、発表に至っています。
楽天モバイルは「1年後」が脅威になる?
―― 正直なところ、楽天モバイルはどの程度、脅威なのでしょうか。
竹澤氏 全国、かつ高速通信が無制限で2980円というのは、MVNO全体にインパクトがあるものだと思っています。個別の事情で、auのローミングにキャップがついているだけで、価格レンジで考えると、MNOが中容量のMVNOの領域に降りてきているのはやはり脅威ですね。
―― とはいえ、具体的にユーザーがMNPで楽天モバイルに流出しているというほどではないですよね。
竹澤氏 はい。実際のところでは、コロナもあり、目立った(流出の)動きは出ていません。ただし、やはりベンチマークすべきなのは(楽天モバイルの無料期間が終わる)1年後です。エリアが全国レベルでという話になったときに、あの価格レンジが当たり前になるとどうなるのか、ということは考えています。
―― なるほど。確かに今はまだエリアも限定的ですが、時間がたてば、徐々に広がっていき、そのぶん2980円で無制限の価値も上がってくることになります。逆にそうなったときには、無制限プランを導入するといったこともあるのでしょうか。
竹澤氏 悩みどころですが、そこはMNOの出番ではないかというのが正直なところで、その辺はまだまだこれから考えることです。今はまだスマホプランRを出したばかりなので、お客さまに価値をお届けするのが、目の前の課題です。
スマホプランSからRに移るユーザーも
―― 新料金プランに合わせて、CMも変わりました。過去の映像を使い回しつつ、料金が途中で変わらないことを訴求しているのは、この時期ならではでうまいなと思いました(笑)。
竹澤氏 でも、あのCMは(スマホプランSに家族割などを適用した際の)1480円と言っているんですよ。スマホプランRは短いCMで届くのかというところがあり、あれもこれもになってしまうので、一番安いところの1480円を訴求するようにしました。
―― 確かに、10GBで容量超過後に1Mbpsというのは、じっくり説明しないとちょっと分かりづらいかもしれないですね。
竹澤氏 CMのメッセージでは、お得感を一番に打ち出しました。楽天モバイルはMVNOの受付を停止したため、うちで言うところのスマホプランSのような料金がありません。そこはY!mobileも含めた楽天モバイル以外のところと競争になる部分です。逆に、デジタル広告のようなところでスマホプランRを打ち出していくと、10GBだったり、容量超過後の1Mbpsだったり、繰り越しがあるといったことが伝わりやすいのではと思います。
―― スマホプランRが始まってから数週間といったところですが、反響や実績はいかがですか(※取材は6月下旬に実施)。
竹澤氏 具体的な数字は出せませんが、TwitterなどのSNSを中心に、高評価を得ています。実際に出してみたところ、スマホプランSからの移行もまあまあありました。スマホプランMからスマホプランRへの移行は、同じレンジのため当然ありますが、下から移っている方がいるのは非常にうれしいところです。
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