プラン改定したUQ mobileとY!mobile、どちらがお得なのか? ドコモはどう出る?:石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)
UQ mobileとY!mobileの戦いが激化している。UQ mobileの新料金プランが開始になった6月1日には、ソフトバンクがY!mobileの料金プラン改定を発表。2社のプランにどのような違いがあるのか。その中身を分析していくとともに、モバイル市場の動向に与える影響を見通していきたい。
UQコミュニケーションズが「UQ mobile」の料金プランを改定したことを皮切りに、サブブランド同士の戦いが激化している。楽天モバイルの本格サービス開始が、既存のサブブランド同士の競争に火をつけた格好だ。UQ mobileの新料金プランが開始になった6月1日には、ソフトバンクがY!mobile(ワイモバイル)の料金プラン改定を発表。容量超過後の速度を向上させる方向で足並みをそろえた。Y!mobileの新料金は7月1日から適用される。
では、2社のプランにどのような違いがあるのか。その中身を分析していくとともに、モバイル市場の動向に与える影響を見通していきたい。
UQ mobile対抗で動いたY!mobile、容量超過後の速度は1Mbpsに
6月1日から始まったUQ mobileの新料金プランは、楽天モバイル対抗を強く意識したものだ。もともとは「S」「M」「L」の3本立てだった「スマホプラン」を、2つに絞り込んだ。具体的には「スマホプランS」を残しつつ、「スマホプランM」を「スマホプランR」へと変更し、必要性が薄くなった「スマホプランL」を廃止している。スマホプランRは、スマホプランMより容量が1GB増え、トータルで10GBになった上に、容量超過後の速度が300kbpsから1Mbpsへと高速化している。
1Mbpsは、楽天モバイルのパートナーエリアで、5GBの容量を超えたときの速度と同じ。スマホプランRの月額2980円(税別、以下同)という金額も、楽天モバイルのUN-LIMITプランと同額だ。自社回線エリアで容量無制限を打ち出している楽天モバイルと比べ、10GBまでと容量は少ないが、現状だと、エリア面積ではau回線を使うパートナーエリアの方が広い。同じauエリア同士で比べると、UQ mobileの容量の方が大きく、しかも容量超過時の速度も変わらないというわけだ。
このUQ mobileの料金改定に対抗したのが、Y!mobileだ。Y!mobileは6月1日に、「スマホベーシックプランM」と「スマホベーシックプランR」の改定を発表。7月1日から、スマホベーシックプランMは容量が9GBから10GBに増量される上に、両プランとも、容量超過時の速度は128kbpsから1Mbpsに高速化する。データ容量が3GBの「スマホベーシックプランS」は現状のままだ。
ソフトバンク広報部によると、Y!mobileの料金プランは「市場環境に鑑みて改定した」という。楽天モバイルが引き金になり、そこに対応したUQ mobileの後を、連鎖的にY!mobileが追ったという構図だ。ただし、UQ mobileがプランを2つに絞り込んだのに対し、Y!mobileは“松竹梅”の3本立ては維持しており、2社に差はある。
サブブランドには大容量よりも低料金を求めるユーザーが多く、Y!mobileも「主力はスマホベーシックプランSやM」(同)だという。UQ mobileも同様の理由でスマホプランLを廃止したが、Y!mobileは「一定数、スマホベーシックプランRを選択するユーザーもいるため、現行のプランは残した」という。
音声通話の扱いで金額が分かれる、柔軟性が高いのはUQ mobile
2つの料金プランを絞ったUQ mobileと、3つのまま一部プランの容量や容量超過時の速度を見直したY!mobileだが、2社の料金は金額も異なる。UQ mobileのスマホプランSは1980円、スマホプランRは楽天モバイルのUN-LIMITと同じ2980円だが、Y!mobileのスマホベーシックプランSは2680円、スマホベーシックプランMは3680円と、UQ mobileよりそれぞれ700円高い。
理由は、Y!mobileが10分間の音声定額を含んだセット料金になっているためだ。対するUQ mobileは、音声定額に3種類のオプションを用意。Y!mobileと同じ10分間の定額は700円で、これを付けると全体の金額も同じになる。より通話が少ない人向けに、1カ月60分までの無料通話を付けた500円のオプションや、1700円の完全定額も選べる。
同条件なら金額は同じだが、音声通話をほとんど使わない人にとっては、UQ mobileの方がお得感があるといえる。音声通話がオプションとして選べるため、使い方に合わせられる柔軟性を持った料金プランに仕上がっている。一方のY!mobileは、選択の複雑さを排除し、シンプルな料金プランにすることに徹したという。
2019年10月に開催された発表会で、UQ mobileとY!mobileの金額差について問われたソフトバンクの常務執行役員 寺尾洋幸氏は、次のように語っている。
「音声を別にして、いろいろなものを組み合わせるのが本当にいいのか。われわれは、誰にでも分かりやすく使っていただきたいというのがある。パッケージにした方が分かりやすい」
ただし、Y!mobileは新規契約の場合、「新規割」が適用され、6カ月間700円の割引を受けられる。10分間の音声定額が付きながら、UQ mobileと同額になるというわけだ。ただし、これはあくまで期間限定。1980円や2980円といった金額が大々的にアピールされているが、ベースとなる金額はUQ mobileに軍配が上がる。UQコミュニケーションズの企画部門 事業企画部長の岩崎達行氏が「料金はスマホプランSでずっと1980円。途中で高くなることもない」と強調したのは、Y!mobileの新規割を意識した発言といえる。
関連記事
- UQ mobile、“楽天モバイル対抗”の新料金プラン「スマホプランR」を提供 月間10GB+低速時は1Mbps
UQコミュニケーションズが5月25日、MVNOサービス「UQ mobile」の新料金プラン「スマホプランR」を6月1日から提供する。月額2980円(税別)で10GBの高速データ通信を利用できる。10GBの超過後、または高速通信をオフにした際に1Mbpsの速度となるのも特徴だ。 - 楽天モバイルの弱点を突く「UQ mobile」の新料金プラン “サブブランド化”も意識
UQ mobileが6月1日に月額2980円の新料金プラン「スマホプランR」を導入する。あわせて、夏モデルとなるミドルレンジスマートフォンを3機種発表した。新料金と新端末を投入する、UQ mobileの狙いを読み解いていきたい。 - KDDIはなぜUQ mobileを統合するのか ターゲットはY!mobileと楽天モバイル?
KDDIは、10月1日に傘下のUQコミュニケーションズが運営する「UQ mobile」を統合することを発表した。UQ mobileの統合は、サブブランドを強化するのが目的だ。今の市場環境やUQ mobileの歴史的経緯を踏まえつつ、KDDIの狙いを読み解いていきたい。 - 使い切っても「最大1Mbps」――Y!mobileが月間データ容量制限を改定 7月1日から
Y!mobileがスマホ向け料金プラン「スマホベーシックプランM/R」を7月1日に改定する。月間の高速データ通信容量を使い切った場合の通信速度を「最大1Mbps」に引き上げる他、スマホベーシックプランMの月間容量を1GB増やして10GBとする。 - Y!mobileの「Xperia 10 II」は5月29日発売 直販価格は5万4000円(税込み)
Y!mobileブランドの「Xperia 10 II」の発売日が5月29日に決まった。税込みのオンラインストア価格は5万4000円で、PayPayがもらえるキャンペーンやXperiaの10周年記念キャンペーンの対象となる。【訂正】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.