矢継ぎ早にサービスを改定する「UQ mobile」の狙い auやpovoとのすみ分けは?(2/3 ページ)
5G対応を機に一気にサービスを拡充したUQ mobileが、契約者獲得の勢いに弾みをつけている。一方で、KDDIへの統合以降、矢継ぎ早にサービスが改定されていったこともあり、UQ mobileの立ち位置の変化がいまいち伝わっていないようにも見える。UQ mobileはどんなユーザーをターゲットにし、auやpovoとはどのようにすみ分けを図っていくのだろうか。
なぜ「でんきセット割」を「自宅セット割」に変更した?
―― もともとは割引なしで低料金を打ち出していましたが、6月にでんきセット割の提供を開始して、さらに料金が安くなりました。こちらの反響はいかがでしたか。
門脇氏 非常にご好評です。固定回線のサービスもセットにできる選択肢も広がりました。
―― 5Gプランで「自宅セット割」にリニューアルしましたが、その理由を教えてください。
門脇氏 電気もそうですが、お客さまのニーズに応えていかなければならないからです。電気は皆さんがお使いになるものなので、お一人でも家族でも契約でき、非常に間口が広い。一方で、電気には事情があって別のサービスを契約している方もいます。そういう意味では、よりUQ mobileのサービスをお得にいただくための選択肢は広げた方がいい。固定もいろいろなご家庭が入られているので、電気でも固定でもお安くなる割引を用意しました。
―― それは、マンションの一括受電契約になっていたり、オール電化向けのプランに入っていたりするケースでしょうか。
門脇氏 はい。他にも電気は他社のサービスに加入しているというお客さまもいます。全ての方に適用できるわけではありません。
―― 固定回線が対象になったことで、auスマートバリューを使っているユーザーがUQ mobileに移りやすくなったような印象もあります。その点は意識されたのでしょうか。
門脇氏 固定回線や電気とセットになるという手前で、そもそもがお得だということで移る方がいます。その意味では、セット割がないから移らないというわけではありませんが、結果的にはauのお客さまがよりUQ mobileを選択しやすくなっているのはあると思います。
契約数は6月の300万から順調に伸びている
―― 確かに、くりこしプランは特に割引をつけなくても3GB、1628円で、MNOの料金プランとしてはかなり攻めている金額だと思いました。正価として、1人契約でここまで安くした理由を改めて教えてください。
門脇氏 シンプルにお客さまに価値をお届けするブランドだということは、社内でも腹落ちしたうえでやっています。条件が多いと、お客さまにとって選びづらいものになってしまいます。UQ mobileは、データ利用量が低中容量のお客さまに対して、シンプルに価値を届けなければいけない。1回線でもご家族でもお得なプランを享受できる間口の広さは、常に意識しています。
―― 逆に、家族割引のような割引がありません。
門脇氏 料金プランにはその時々の変遷もあり、家族割引のようなものがあった時期もあります。ただ、今も(電気や固定回線のように)広くどなたでも使えるものと組み合わせると安くなるので、家族割引という名前ではありませんが、お客さまのニーズにはお応えできていると思います。
―― 契約者数はいかがですか。6月時点で300万というお話でしたが、その後の勢いに変化はありましたか。
門脇氏 6月の発表時に300万というお話をしましたが、当然それからも伸びています。これは、料金を含めてUQ mobileがご好評をいただいた結果だと思っています。勢いはそのままで、止まらずにここまで来ています。
povoの影響は大きくはない
―― 9月29日にはpovo2.0が始まりました。ソフトバンクのLINEMOも、7月に3GBのミニプランを導入しましたが、こうしたオンライン専用プランの影響はどの程度あったのでしょうか。
門脇氏 他社はさておき、われわれもpovo2.0を出しますが、これは料金の高い、安い以外の部分でお客さまのニーズが多様化しているからです。料金水準以外のところで、いかに新しさや楽しさをお客さまに合わせて出すかを考えた結果です。UQ mobileはシンプルなものが好きな方に刺さるブランドなので、その意味で大きな影響があるかというと、そういう状況ではありません。
―― やはりショップが使えるというのは大きな差になっているのでしょうか。
門脇氏 提供するサービスの差になっていると思っています。それぞれ特色のあるブランドとして、お客さまのニーズに対応していければいいという考えです。
―― 5Gでは世界データ定額や紛失故障サポートを提供していますが、ある意味auと同質化しているともいえます。この点はどうお考えでしょうか。
門脇氏 auの方には、安心の使い放題という大きな1つの柱があります。使い放題の中でコンテンツサービスを思い切り楽しめるという、UQ mobileとは違う自由を感じていただけるサービスを提供するブランドです。そういった大きな違いがあるので、一部のサービスですみ分ける必要はなく、みんなが使いやすい方がいいという判断です。
特に海外に行かれたときには、日本にいるときよりも確実に安心を感じにくい状況になっていると思います。こうした人をサポートすることを考えると、UQ mobileでも海外で使っていただけた方がバランスもいいと思います。
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