フラグシップでも価格破壊を 「Xiaomi 11T/11T Pro」日本投入の狙い:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
Xiaomiは11月5日に、処理能力やカメラ性能を高めたフラグシップモデル「Xiaomi 11T」と「Xiaomi 11T Pro」の2機種を発売する。“ブランドフレンド”としてモデルのKōki,さんを起用し、日本での知名度を上げていく。メジャー化すれば、ボリュームの大きなキャリアの採用にもつながりやすく、好循環が生まれる。
ミドルレンジモデルやエントリーモデルで破格のモデルを矢継ぎ早に投入し、存在感を高めているXiaomiが次の一手として送り出すのがフラグシップモデルだ。同社は11月5日に処理能力やカメラ性能を高めた「Xiaomi 11T」および「Xiaomi 11T Pro」の2機種を発売する。いずれも同社が直接販売するオープンマーケット向けの端末で、直営のオンラインストアや大手家電量販店に加え、一部のMVNOも取り扱いを表明している。
同時にXiaomiは、“ブランドフレンド”としてモデルのKōki,さんを起用。著名人を起用することで、日本での知名度を上げていく方針だ。では、なぜXiaomiはフラグシップモデルを日本に投入する決断を下したのか。同社の東アジアゼネラルマネージャー、スティーブン・ワン氏の話を引きつつ、その狙いを解説していきたい。
カメラや充電技術を強化した2つのフラグシップモデルを投入
Xiaomi 11T、Xiaomi 11T ProはXiaomiがフラグシップモデルと位置付けるスマートフォン。「最も高い品質を低価格で提供する」(ワン氏)のが、同社の差別化戦略だ。実際、Xiaomi 11Tは8GB(メモリ)+128GB(ストレージ)モデルが5万4800円、Xiaomi 11T Proが同構成で6万9800円と、一般的なメーカーのフラグシップモデルと比べ、価格は半額に近い。さらに、早期予約特典としてそれぞれのモデルから5000円値引きするキャンペーンも展開する。
2機種のフラグシップでは、「2つの要素に焦点を当てた」(同)という。1つ目がカメラやディスプレイだ。Xiaomi T11、T11 Proの両機種は、メインカメラのセンサーが1億800万画素と高く、120度、800万画素の超広角カメラや3cmまで寄ることが可能な500万画素のテレマクロカメラも搭載する。望遠カメラには非対応だが、メインカメラの画素数が高いため、画像を「切り出すことで望遠のような効果を得られる」(同)。
カメラは静止画だけでなく、動画撮影も重視。8Kの解像度で撮影が可能(Xiaomi 11Tは4Kまで)な他、「プロレベルのシネマをワンクリックで撮影できる」(同)各種機能に対応する。ヒッチコックの撮影技法として知られる「ドリー・ズーム」を再現した「マジックズーム」はその一例。AIで人物を特定し、背景から分離することで被写体の人物のサイズは変えずに背景だけをズームイン・ズームアウトできる。また、撮影からディスプレイ表示までを一貫してHDR10で行えるのも、2機種共通の特徴。ディスプレイはどちらもリフレッシュレートが120Hzで、10億色の表示にも対応する。
ワン氏が語るもう1つの要素が、新技術だ。充電技術がそれに当たる。中でもXiaomi 11T Proは、最大120Wでの超高速充電が可能な「Xiaomiハイパーチャージ」に対応。120W充電が可能なチャージャーも付属する。バッテリーが空の状態から100%までの充電時間はわずか17分と短く、10分の充電だけでも1日は利用できるという。Xiaomi 11Tは67Wの「ターボチャージ」で、100%までの充電時間は36分とXiaomi 11T Proの倍程度はかかるが、いずれも一般的なスマートフォンより高速なことに変わりはない。
日本市場へのローカライズを強化しているXiaomiだが、7月に発売された「Mi 11 Lite 5G」に続き、Xiaomi 11T Proもおサイフケータイに対応する。オープンマーケットモデルでは、これが2機種目だ。「どのNFCチップを使っているかや、チップを搭載できるスペースがあるかなど、さまざまな要因がある」(同)ため、Xiaomi 11Tはおサイフケータイには非対応だが、今後も搭載モデルは増やしていく方針だ。
充電技術やおサイフケータイの有無がXiaomi 11Tと11T Proの違いだが、プロセッサにも差分がある。Xiaomi 11TはMediaTek製の「Dimensity 1200-Ultra」を採用。対するXiaomi 11T Proは、Qualcomm製の「Snapdragon 888」を搭載する。また、ストレージの選択肢として256GB版が用意されているのもXiaomi 11T Proだけだ。ディスプレイや動画撮影機能の一部にも細かな違いがある。とはいえ、2機種ともフラグシップモデルという位置付けで、コストパフォーマンスは非常に高い。5万4800円や6万9800円という価格は、破格の安さと評価できそうだ。
ワン氏が「フラグシップの端末には、それにふさわしいサービスも伴わなければならない」と語るように、Xiaomi 11T、11T Proは、保証サービスも強化する。まず、2機種とも2年間の製品保証が付く。エントリーモデルやミドルレンジの製品は1年のため、2倍長い格好だ。また、12月4日までに購入した場合、6カ月以内にディスプレイが割れてしまっても、1回まで無料で修理を受けることができる。3回のOSアップデートや4年間のセキュリティアップデートが保証されている点も、フラグシップモデルを購入するユーザーにとってうれしいサービスといえる。
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