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フラグシップでも価格破壊を 「Xiaomi 11T/11T Pro」日本投入の狙い石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

Xiaomiは11月5日に、処理能力やカメラ性能を高めたフラグシップモデル「Xiaomi 11T」と「Xiaomi 11T Pro」の2機種を発売する。“ブランドフレンド”としてモデルのKōki,さんを起用し、日本での知名度を上げていく。メジャー化すれば、ボリュームの大きなキャリアの採用にもつながりやすく、好循環が生まれる。

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フラグシップに価格破壊を起こし、オープンマーケットの攻略を狙う

 エントリーモデルやミドルレンジモデルでも、他社を大きく下回る価格設定で“価格破壊”を起こしているXiaomiだが、その理由は同社の方針にある。Xiaomiは「価格の透明性」(同)を重視しており、「マージンは5%以上取らない」(同)ことを公言している。簡単に言えば、原価ギリギリで端末の価格を設定するということだ。もちろん、会社として利益は出しているが、IoT製品やネットでのサービスまで含め、“広く薄く”稼ぐことを目指している。

 逆に、スマートフォンと同時に発表した「Mi Pad 5」用の「Xiaomi Smart Pen」は、1万1800円と競合並みの価格設定だが、これも原価や研究開発費を反映したからだという。安いものは安く、高いものは高いというのは、「価格の透明性」を重視している証拠といえる。Xiaomi 11TやXiaomi 11T Proのコストパフォーマンスが高く見えるのは、そのためだ。

 この戦略で企業規模を拡大にするには、グローバルで販売台数を伸ばす必要があるが、Xiaomiは2021年第2四半期で世界シェア2位に躍進し、Appleを抜きながら1位のSamsungを射程圏入れた。日本でも、コストパフォーマンスが重視されるオープンマーケットで評価され、シェアを伸ばしている。

Xiaomi 11T
調査会社Canalysが発表した21年第2四半期のスマートフォンシェア。Xiaomiの成長率が高く、Appleを抜いて2位につけた

 Xiaomi 11T、11T Proの2機種もキャリア経由の販売ではなく、Mi 11 Lite 5Gなどと同様、オープンマーケットで販売される。ただ、一般的に、フラグシップモデルは価格が高額になりがちで、アップグレードプログラムのような仕組みがないオープンマーケットより、キャリア経由の販売を望むメーカーが多い。19年の電気通信事業法で端末割引に大幅な制限がかかって以降、キャリアモデルのハイエンド比率は低下してはいるものの、オープンマーケットではその割合がさらに低い。主戦場になっているのは、3万円前後のミッドレンジモデルだ。

 ソニーやシャープ、OPPO、モトローラのように、フラグシップモデルをキャリアとオープンマーケットの双方で展開するメーカーも増えてはいるが、Xiaomi 11T、11T Proは「オペレーター(キャリア)チャネルは現在計画がない」(同)という。では、なぜXiaomiはオープンマーケットにフラグシップモデルを2機種も投入するのか。ワン氏はその理由を「オープンマーケットに魅力的なフラグシップモデルがないので、そこに提供しようと考えた」としながら。Xiaomi 11Tや11T Proは、既存のフラグシップモデルとは位置付けが異なると語る。

 「長期的な戦略は、全てのレンジの商品を提供すること。それぞれのユーザーのニーズは異なるからだ。Xiaomiはエントリーモデルやミドルレンジモデルからスタートしたが、それは需要があり、ボリュームが増えているから。しかし、多くのユーザーはフラグシップも求めている。2つの商品は、伝統的なマーケットにある製品とは違う。フラグシップの仕様、フラグシップのスペックだが、非常に低価格で手軽に購入することができる」(同)

Xiaomi 11T
オープンマーケットでもフラグシップモデルは徐々に増えているが、その割はまだ低い。写真の「OPPO Find X3 Pro」は、KDDIが取り扱うとともに、オープンマーケットで販売されている

 オープンマーケットのフラグシップ比率が低いのは、価格が高く、ユーザーが気軽に購入できなかったからだというのがXiaomiの考えだ。確かに、Xiaomi 11Tはフラグシップでありながら、価格は5万4800円とリーズナブルで、ミドルレンジモデルとの差は2万円程度。MVNOの新規契約者向け割引などが効けば、ボリュームゾーンの価格帯まで下がる可能性もある。

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