OCN モバイル ONEがドコモの「エコノミーMVNO」に参入し、500MBプランを提供する狙いは?:MVNOに聞く(2/4 ページ)
10月21日に、ドコモの「エコノミーMVNO」がスタートし、第1弾としてOCN モバイル ONEが参入した。550円で500MBのデータ通信と10分通話無料が付く新プランも提供開始した。MVNOではシェア2位のOCN モバイル ONEが、なぜエコノミーMVNOに参入したのか。
ドコモショップでどこまでサポートするのか
―― 確認ですが、ドコモショップでは500MBプラン以外のプランを選んでもいいんですよね?
植本氏 はい。10GBまでのプランを扱っていただいています。
―― 一方で、容量が大きいプランだと、ドコモの「ギガライト」などとバッティングすることもあると思います。結果的に、ユーザーに勧めるのが500MBだけになってしまわないでしょうか。
植本氏 われわれとしては、大きい容量のプランが売れればビジネス的にはおいしいのですが、ドコモの戦略と合致させるにはどういうものがいいのかということあり、われわれのウィル(意思)だけではできません。ただ、ドコモに関しては、ahamoより下の部分が空白地帯になっています。auはUQ mobile、ソフトバンクはY!mobileでカバーできているところなので、10GB以下のプランはドコモと相互補完ができると考えています。
―― MVNOが加わることで、ドコモショップのオペレーションも大きく変わると思います。ここに関しては、どのような協力をしたのでしょうか。
植本氏 OCN モバイル ONEを開通する仕組みを導入しています。そのため、ALADIN(ドコモの顧客情報管理システム)をたたいて開通するものとは全く別の仕組みになります。その方法については、スタッフに説明したり、マニュアルを作ったりしています。負担が大きいと思ったので、ドコモと協議し、申し込み方が分からないときに電話で質問できるスタッフ専用の問い合わせ窓口も作りました。プロセスが大きく違うので、慣れていただき、スムーズに処理できるのが一番だと考えたからです。
―― ショップでは、APN設定までやるとうかがいました。サポートはどこまで対応してもらえるのでしょうか。
植本氏 取りあえず開通までやってお渡しするというオペレーションです。端末はドコモが売っているものなので、故障対応や初期設定は店頭でやっていただく形です。サポートに関していうと、ドコモショップではスマホ教室を開いていますが、エコノミーMVNOの方も対象になります。シニアのお客さまが多いので、そういった機会があるのもドコモと組んだ理由の1つです。ただし、料金プランを変えたいというときには、OCN モバイル ONEのサポートにご連絡いただき、われわれとしてお受けするようになっています。
―― iPhoneの場合は構成プロファイルをショップで入れることになるのでしょうか。
植本氏 そこは今までのOCN モバイル ONEと変わりません。
―― OCN モバイル ONEというと、goo Simsellerでの思い切った端末価格も一部では有名ですが、セット販売は行わないのでしょうか。
植本氏 基本的にはドコモ端末とセットで買っていただく形になり、goo Simsellerとはすみ分けています。これは、ターゲットにしているお客さまが違うからです。goo Simsellerのお客さまはリテラシーが高く、端末に対するこだわりが強い。そこは明確に違います。
―― 一方で、今だとドコモショップで端末を単体で購入することもできるようになりました。エコノミーMVNOがある中で、goo Simsellerのラインアップを縮小していくといったことはないのでしょうか。
植本氏 今のところ、何か決めているようなことはありません。今後、どういうふうにユーザーを獲得できるかを総合的に見て、バランスの判断は必要だと思います。MVNOは決して楽な事業ではないので、方向を決めて集中と選択が必要になります。goo Simsellerは確かにユーザーに認められている部分がありますが、事業法で割引額も一定になり、差別化が難しくなっているのも事実です。どういったチャネルで売っていくかは、今後、考えていかなければなりません。
gooポイントを完全にdポイントに置き換えた
―― エコノミーMVNOに入るにあたり、dポイントとの連携もスタートしましたが、こちらについてはどのような建て付けになっているのでしょうか。
植本氏 100円で1ポイント付与する仕組みで、今まであったgooポイントを完全にdポイントに置き換えました(関連記事)。ですから、OCN モバイル ONEのポイントを変えただけでなく、OCN光もdポイントになりましたし、gooのサービスも全てdポイントにしています。実は3月にエコノミーMVNOになりませんかというお誘いが来る前から、ポイントプログラムはdポイントがいいのではという検討を始めていました。ポイントプログラムを置き換えるのは結構大変で、エコノミーMVNOでフリービットに先行できたのも、それがあったからではないでしょうか。
―― 現状だと、ドコモの料金プランとすみ分けができていますが、ドコモ側も料金プランは定期的に刷新しています。もし新料金プランが出たら、OCN モバイル ONE側でも何か対応策を考えるのでしょうか。
植本氏 例えばですが、仮にahamoが低容量の新プランを出すとなれば、エコノミーMVNOと協議があると思っています。ただ、今の時点で明示的に何かがあるわけではないので、そこは分かりません。
―― フリービットも「トーンモバイル for docomo」を出す予定ですが、これについてはどうお考えでしょうか。
植本氏 どういうプランを出してくるのかは、かなり気にしています。仮に500MBプランを出してきたら、ドコモのエコノミーMVNOの中で競争が起こってしまうからです。
―― トーンモバイルは、子どもやシニアといった形でターゲットが明確ですが、他のMVNOがエコノミーMVNOに入ってくる可能性もあります。例えば、IIJmioが加わった場合、OCN モバイル ONEと料金プラン的にも近いので、差別化が難しくなると思います。
植本氏 音声の部分など、OCN モバイル ONEの強みになるところはありますが、確かにIIJは(料金が)近い。仮にそうなった場合、価格競争をするのは難しいので、特徴づけのようなところで何かしらしなければいけないと思います。
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