「OCN モバイル ONE」新料金プランの狙いを聞く ドコモとの連携はどうなる?:MVNOに聞く(1/3 ページ)
大手MVNO各社の値下げする動きに対抗する形で、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」も、4月1日に新料金を導入した。料金水準は1GB/月コースが770円(税込み、以下同)、3GB/月コースが990円と、他社と比べても見劣りしない金額に抑えられている。満を持して新料金プランを投入したOCN モバイル ONEだが、その狙いはどこにあるのか。
大手MVNO各社の値下げする動きに対抗する形で、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」も、4月1日に新料金を導入した。同社は、2019年11月に新料金プランを導入したが、このプランをベースにしつつ、大幅に金額だけを下げた格好だ。データ容量の区分を見直しつつ、値下げに踏み切るMVNOが多い中、ベースとなる枠組みは維持しつつ、既存のユーザーに対しても手続きなしで新料金を適用した。
料金水準は1GB/月コースが770円(税込み、以下同)、3GB/月コースが990円と、他社と比べても見劣りしない金額に抑えられている。例えば、3GB/月コースの場合、ユーザー数の規模感が近いIIJmioの「ギガプラン」の4GBプランより、データ容量が1GB少ない代わりに料金は88円安い。月額1320円の6GB/月コースもIIJmioの8GBプランより2GB少ないが、料金は198円安く設定されている。
さらに、MVNOとして初めてドコモのプレフィックス自動付与機能を採用。専用アプリを使わず、OCNでんわや「かけ放題オプション」の料金が適用される。一方で、もともと用意していた20GB/月コースと30GB/月コースは新規申し込みの受付を停止。料金も改定されず、既存のユーザーにはそのままの金額で提供される。また、NTTコミュニケーションズは夏ごろに、ドコモの子会社に再編される計画だが、ドコモとの連携策などは発表されなかった。
満を持して新料金プランを投入したOCN モバイル ONEだが、その狙いはどこにあるのか。NTTレゾナントでOCNサービスプロデューサーを務める木藤暢俊氏と見原隆介氏に話を伺った。
1GB〜10GBでユーザーの9割以上を占める
―― 料金プランの値下げを発表しました。他社は、データ容量の見直しもしていますが、OCN モバイル ONEはそこには手を入れていません。これはなぜでしょうか。
木藤氏 2019年11月に新コースをリリースしましたが、これがご好評をいただいています。あえてデータ容量を変えなかったのは、1GB、3GB、6GB、10GBという区分が不便なく使われていたからです。SIM交換やプラン変更の手続きがないところを目指したかったということもあります。
―― 一方で、20GBと30GBがなくなっています。これは、ドコモとのすみ分けを考えてのことでしょうか。
木藤氏 MVNOとして、主力になるのは1GBと3GBです。6GB、10GBまで含めると、この4容量でOCN モバイル ONEユーザーの90%後半になります。20GB、30GBに関しては、一部のお客さまが家族でシェアするという用途で使われていました。ただ、昨今の状況を踏まえると、ドコモもドコモ以外のMNOも、20GB超の料金プランが非常にアグレッシブです。本腰を入れて低容量に注力すれば、グループとしてすみ分けもできる。プロモーションも明確に打ち出すために、新規を停止しました。
ただし、コース変更については、引き続き受け付けています。既存のお客さまに対しては提供しているということです。価格をいじっていないので、そういうことをする方はいませんが……。
―― 逆に、20GB以上のコースを契約しているユーザーが4月1日以降減るということはあったのでしょうか。
木藤氏 4月1日以降というより、各社が20GB超の料金プランを強化し始めたあたりから、出ていく割合は多くなっていました。その意味では、4月1日以降、明確に何かが変わったというわけではありません。
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