Galaxy S22シリーズ、“普通のハイエンド”冬の時代にヒットするカギは?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
サムスン電子は2月10日、フラグシップモデルの「Galaxy S22」シリーズを計3機種発表した。Galaxy S22でSシリーズとNoteシリーズを統合し、GoogleやMicrosoftのサービスを有機的に連携させている。一方で、このようなサムスン電子の試みが必ずしも全て成功してきたわけではない。
パートナー連携を強化し、iPhoneやiPad対抗の機能を実現
ラインアップの見直しとともに、オープンなエコシステムを活用しながら、スマートウォッチやPCといった周辺機器との連携を強化していくのがサムスンの戦略だ。発表会でも、たびたびオープンなエコシステムへの言及があったこともそれを裏付ける。同社がOSにAndroidを採用しながら、Officeやオンラインストレージ、PC連携などの分野でMicrosoftとも手を組んでいるのには、このような背景がある。
例えば、Googleとはビデオ通話アプリの「Google Duo」を、YouTubeなどの「ライブシェア」に対応させた。自分が再生している動画を通話の相手と一緒に見るための機能で、動画以外にも、位置情報やメモの共有が可能になる。AppleはiOS 15でFaceTimeの「SharePlay」に対応したが、ライブシェアはそのGalaxy版だ。ビデオ通話のプラットフォームを持たないサムスンだからこそ、Googleの協力が必要だったといえる。
一方で、Microsoftの方が強みのある分野では、あえてAndroid標準の機能を使わず、独自に同社のサービスを組み込んでいる。OneDrive連携は、その1つだ。この機能は既に他のGalaxyにも搭載されているが、サムスンの独自アプリであるギャラリーは、Googleドライブではなく、OneDriveと同期ができるようになっている。写真や動画をPCと連携させることを考えると、Windowsに標準搭載されているOneDriveの方が、よりシームレスになるからだ。
Galaxy S22シリーズでもOneDrive連携は継続しており、3モデルのユーザーは6カ月間、トライアルとして容量が100GBに拡張される。発表会では、Galaxy S22 Ultraの「Expert RAW」で撮影し、編集した写真がOneDrive経由でシームレスにPCと同期する様子が披露された。GoogleドライブやGoogleフォトでも同様に自動同期はできるが、サムスンはWindows PCに標準搭載されているOneDriveを重視したことがうかがえる。
Windows PCとの連携では、Galaxy Tab S7以降のモデルが対応する「セカンドスクリーン」にも注目したい。Galaxy S20シリーズと同時に披露されたGalaxy Tab S8シリーズも、この機能に対応する。仕組みはワイヤレスディスプレイを使って、Galaxy TabをWindows PCのサブディスプレイにするというものだ。AppleはMacとiPadで「Sidecar」と呼ばれる機能に対応しているが、サムスンはWindowsとの親和性を高めることで、これに対抗する。
GoogleやMicrosoftといったプラットフォーマーの力を頼る一方で、自社ならではの特徴づけも怠っていない。Galaxy S22 Ultraに搭載される「Samsung Notes」(日本ではGalaxy Notes)によるデバイス連携は、その代表例だ。新モデルの投入に合わせ、サムスン電子はスマートフォンとタブレットでGalaxy Notesを連携させる機能を追加する。ペンの種類や色を変えるパレットをスマートフォンで常時表示させつつ、実際の筆記はより画面の大きなタブレットで行うというのが、その利点だ。
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