MVNOならではの“無制限プラン” mineoの「マイそく」で生存領域が広がるか:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
3月7日からmineoで新たな料金プラン「マイそく」を提供する。速度は制限される代わりに、格安の料金でデータ通信が使い放題になるのが最大の特徴だ。こうした料金プランが受け入れられれば、MVNOの生存領域が広がる可能性もある。
mineoを運営するオプテージが、3月7日から新たな料金プラン「マイそく」を導入する。同プランは、2021年6月からmineoが提供してきたオプションサービスの「パケット放題Plus」を発展させ、料金プラン化したもの。速度は制限される代わりに、格安の料金でデータ通信が使い放題になるのが最大の特徴だ。
面白いのは、速度別に料金を分けたところにある。パケット放題Plusと同じ1.5Mbpsでは990円(税込み、以下同)なのに対し、速度を3Mbpsまで向上させた2200円のプレミアムコースも用意。データ容量ではなく、通信速度で選択肢を設けた。低価格、低容量を得意とするMVNOだが、マイそくは、新たな切り口の料金プランとして注目しておきたいプランだ。無制限のデータプランが当たり前になりつつある今、MVNOらしい使い放題は定着するのか――その可能性を考えていきたい。
通信速度別の料金体系を導入したmineoの「マイそく」
スマートフォンの料金プランといえば、データ容量の大小で金額に差を設けるのが一般的だ。プランごとに定められたデータ容量を超過した場合は、通信速度に制限がかかることが多い。制限後の速度はキャリアや料金プランによってまちまちだが、おおむね128kbpsから1Mbpsの範囲に収まっている。「ギガが足りない」といった俗語も、こうした料金プランの仕組みから生まれたものだ。
一方で、高速・大容量が売りの5Gが普及するのに伴い、データ容量に制限を設けない料金プランが続々と登場している。インフラ側が、使い放題のトラフィックに耐えられるようになってきたのが大きな理由だ。1GBあたりのコストが十分下がってくれば、データ容量で料金プランを細かく区分けする意義も薄れてくる。実際、MNO4社は、メインブランドの主力を無制限プランに半ば一本化している。
ただ、こうした動きにMVNOは追従できていなかった。MNOから帯域を借りていることもあり、ユーザーが無尽蔵にトラフィックを発生させる料金プランは、帯域の逼迫(ひっぱく)を招くからだ。大手キャリアが中容量のオンライン専用プランを投入したり、サブブランドで値下げを行ったりしたこともあり、MVNOは低容量、低価格の料金プランに専念せざるをえなくなっている。
2021年は、MVNOがMNOに対抗する形で料金値下げに踏み切った結果、その傾向がさらに顕著になった。2021年2月に現行料金プランの「マイピタ」を導入したmineoも、その1社だ。マイピタは1GB、5GB、10GB、20GBの4コースに絞っているが、ユーザー数が多いのは、1GBや5GBといった低容量のプランだという。そんなmineoが新たに導入したのが、冒頭で紹介したマイそくだ。
この料金プランは、スタンダードコースとプレミアムコースの2つに分かれており、前者は990円、後者は2200円の料金がかかる。どちらもデータ通信の容量に制限はなく、使い放題だ。違いは通信速度。前者は1.5Mbps、後者は3Mbpsに速度が制限される。MNOの使い放題プランの場合、ベストエフォートではあるが、理論上は無線方式の上限いっぱいまで速度が出るため、この点が最大の違いといえる。
その分、MNOの無制限プランと比べて料金は安い。ドコモの「5Gギガホ プレミア」は7315円、auの「使い放題MAX 4G/5G」は7238円、ソフトバンクの「メリハリ無制限」は7238円で、いずれも割引適用前の料金はmineoのスタンダードコースと比べると7倍以上だ。第4のキャリアとして参入した楽天モバイルは3278円と、大手3社より安いが、マイそくには及んでいない。マイそくは、速度を絞り込むことで、使い放題とMVNOに期待される安さを両立させた格好だ。
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