「中容量」と「3G巻き取り」でMNOに対抗 NUROモバイルとHISモバイルの新料金プランを解説:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
生き残りをかけたMVNO各社は、これまでの枠組みに収まらないさまざまな料金プランを打ち出し始めている。4月1日に20GBの中容量プランを拡大したソニーグループのNUROモバイルは、そんなMVNOの1社だ。くしくも同じ3月最終週には、HISと日本通信が合弁で設立したHISモバイルも、5月中旬以降に導入する新料金プランを発表している。
大手のオンライン専用プランと価格で差別化し、中容量プランの拡大を狙う
とはいえ、NEOプランの価格は2699円とMVNOにしては高く、大手キャリアのオンライン専用プランとはほぼ横並びになっている。先に挙げた他社の料金と比べると、povo2.0の2700円より1円安いだけで、ahamoやLINEMOとの差もほぼない。実質的なデータ容量が月5GB多かったり、ゼロレーティングのサービスを本格的に導入していたりといった強みはあるものの、金額的なインパクトは小さかった。
NUROモバイルを運営するソニーネットワークコミュニケーションズのMVNO事業室 セールス&マーケティング課 課長の田中直樹氏は、「高品質の通信だけでなく、NEROデータフリーもご好評をいただいている」としながら、「一方でもう少しリーズナブルな価格でNEOプランをご利用したいというご要望に対応した」と語る。通信品質の高さに対する満足度は高いが、金額が契約のハードルになっていたというわけだ。
NEOプラン自体の契約者数は「計画通りで順調」(同)というが、中容量帯の料金プランの規模を拡大していく上で、機能を絞って価格を引き下げることが必要だと判断したことがうかがえる。田中氏が「もう少しSNSを使いたい方や動画を楽しみたい方、あげ放題でアップロードをカウントフリーでご利用したい方がいれば、(NEOプランに)プラン変更していただけるのではないか」と語るように、母集団が増えれば、上位のプランへ移行するユーザーが増える効果も期待できる。
2021年4月にバリュープラス、11月にNEOプランを導入し、矢継ぎ早に料金プランを刷新しているNUROモバイルだが、契約者の獲得は大きく伸びたという。田中氏によると、新規契約者数は前年度対比で3.5倍になり、ユーザーの満足度や推奨度(NPS)も大きく向上した。特にNEOプランは、「94%が満足と回答している」(同)というように、実際に契約しているユーザーからの評価が高い。MVNO市場全体が停滞する中で成長できたのは、差別化戦略が成功した証といえそうだ。
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