モトローラが方針転換「おサイフ対応SIMフリースマホ」投入の背景は?(1/3 ページ)
モトローラは6月3日、割安なフラグシップモデル「motorola edge 30 PRO」と日本市場に特化した「moto g52j 5G」の2モデルを発売する。新モデルの投入の狙いを松原丈太社長が語った
モトローラ・モビリティ・ジャパンは5月30日、「motorola edge 30 PRO」と「moto g52j 5G」の発売に合わせ、新製品説明会を開催。松原丈太社長が登壇し、新モデルの狙いを紹介した。
6月3日に発売となる新機種は「motorola edge 30 PRO」と「moto g52j 5G」の2モデル。motorola edge 30 PROは、ハイエンド級のパフォーマンスと手に取りやすい価格帯を両立したフラグシップモデルで、moto g52j 5Gはモトローラとしておサイフケータイと防水・防塵(じん)の両対応を実現した日本市場向けモデルとなっている。
おサイフケータイ対応で方針に変化
モトローラ・モビリティ(Motorola)は、世界初の携帯電話を開発した歴史のある企業だ。現在は中国Lenovo傘下となり、米シカゴを本拠地としてスマートフォンを開発・製造している。
日本のSIMフリー市場への参入は比較的早く、2016年1月にオープンマーケット向けの最初のモデル「Moto G(第3世代)」を発売している。SIMフリー市場では当初ASUSやシャープ、Huaweiといった先行メーカーとしのぎを競ってきたが、2018年に中国メーカーのOPPOが参入し、2019年末にはXiaomiも参入すると市場環境が激変。モトローラの市場での存在感は相対的に薄れていった。
2020年、モトローラは製品ポートフォリオの見直しを実施。新たなハイエンドモデルmotorola edgeシリーズを投入した。日本市場では“フルラインアップ”の投入を進めており、2021年にはプレミアムモデルの折りたたみスマートフォン「Motorola razr 5G」や、ハイエンド寄りの「motorola edge 20」を発売。2万円台の低価格モデルから、折りたたみスマホのようなプレミアムモデルまで、懐が深い製品ラインアップを整えていった。
そして、今回発売される「moto g52j 5G」と「motorola edge 30 PRO」はそれぞれ、モトローラのラインアップにかけていた“ピース”を埋めるような製品となっている。moto g52j 5Gは日本市場のニーズに応え、おサイフケータイと防水・防塵(じん)に対応。moto g52j 5Gは最上位プロセッサをいち早く搭載したフラグシップモデルとなっている。
松原社長は、現在の日本は「アジア太平洋の市場の中でも、最注力国となっている」と述べ、ユーザーニーズに応えた製品投入を継続していく方針を示した。
モトローラはもともと、南北アメリカ大陸で根強い支持基盤を維持しており、南米・中南米、メキシコ、ブラジルの各市場では業界2位のポジションにある。アジア市場での存在感は大きくないが、急速なシェア拡大を目指しており、2021年度は対前年比で100%以上の出荷台数と純利益を達成したという。
防水おサイフ対応を実現した「moto g52j 5G」
moto g52j 5Gは、機種名の“j”が示す通り、日本市場向けにカスタマイズされたAndroidスマートフォンだ。SIMフリー市場のボリュームゾーンである4万円前後の価格で、日本で特に需要が高いおサイフケータイ(FeliCa)と、IP68相当の防水・防塵性能を備えている。おサイフケータイと防水・防塵の両方に対応するスマートフォンは、モトローラとしては初という。
モトローラが強みとする、“素のAndroid”に近いシンプルな操作体系や、例えば“スマホを振ってカメラを起動する”といったジェスチャー、大容量のバッテリーといった特徴は従来モデルを踏襲している。背面カメラは3眼で広角レンズに5000万画素センサーを搭載。プロセッサはSnapdragon 695を採用し、ディスプレイは120Hz駆動もサポートするなど、ほとんどの用途に適したスペックをそろえている。
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