コラム

「スマホの箱に記名」は、本当に転売対策になるのか? 実際に体験して感じたこと(1/2 ページ)

ドコモのiPhoneを購入する際に、「箱に名前を書く」という対応が注目を集めている。ネット上でも賛否両論の意見が飛び交う中、筆者もiPhoneを購入した際に、記名の体験をした。記名をしても、転売対策には効果が薄いと感じる。

 ドコモのiPhoneを購入する際に、「箱に名前を書く」という対応が注目を集めている。ネット上でも賛否両論の意見が飛び交う中、筆者もiPhoneを購入した際に、記名の体験をしたので、この件について思うことを述べていきたい。

油性ペンで記名、正直なところ気が引ける

 ドコモでは6月3日以降に販売される特価端末において、転売対策のため端末の箱に名前を書くよう指導している。

 筆者は6月初めに特価品の「iPhone 12」を購入した。非常に安価な価格設定だったため「転売対策のため、購入にあたり箱に名前を書いていただくよう指導されています」と販売スタッフから伝えられた。話こそ聞いていたので承諾したが、自分が購入する商品とはいえ、端末の箱に名前を書くというのは正直なところ気が引けた。小学生が自分の教科書に名前を書くのとは訳が違う。

advertisement

実際に購入したiPhone 12の箱には、油性マジックペンで書いた記名と店舗印が押印されている

 実際、目の前に油性マジックペンが置かれると「これで書くんだな」という気持ちにさせられる。記名自体はものの数秒で終わるが、名前を書いたiPhone 12の箱を見返すと、言葉にしがたい「やってしまった」に近い不快感を覚える。過去に複数の携帯電話を購入してきた筆者であるが、このような経験は初めてだ。

 数十万円の腕時計がセールで半額ではあるが、腕時計の外箱に「転売対策」という理由だけで箱に油性マジックペンで記名してくれと言われたら、不快感を覚える方も多いはずだ。これと同じことが、携帯電話の販売にて行われているのだ。

箱に記名をしても、効果は限定的?

 端末の箱に記名する行為は転売対策において、正直効果的な手法とは言いがたい。油性マジックはアルコールなどで消すことができ、作業に関しても比較的手間もかからない。転売をなりわいとするような方であれば、朝飯前ともいえる手順だ。


筆者もいくつかのネットの情報を参考に試したところ、比較的手間もなく記名を消すことができた

 端末の箱にパンチャーで穴を開ける、ハサミで切り込みを入れるなどの転売対策も聞いたことがあるが、この場合、端末の付属品を破損させたという扱いになりかねない。梱包(こんぽう)資材である箱も、見方によれば端末の付属品に含まれる立派な商品だ。端末のキズや汚れのみならず、箱の汚れやつぶれといた点には敏感な方も多い。転売対策という理由だけで、店舗としては端末の箱を損壊する対応はトラブルになりかねない。

 そのため、ドコモの転売対策では購入者が端末の箱に記名をする形としているのだろう。これは店舗側がこの対応してしまうと、同意のない損壊という形で思わぬトラブルにつながる可能性がある。店舗側ではなく、あくまで「利用者が箱に名前を書いた」という形をとっているのだ。

 加えて、iPhoneやPixelの場合は海外でもニーズがあるためか、箱がない状態でも比較的高価で買い取りされる場合が多い。箱がある状態から買い取り価格が下がるとはいえ、過度な値引きが入る特価端末では箱がない状態でも十分に転売は可能だ。そのため、箱を損傷させた程度では買い取り価格にも大きく響かず、転売は以前のように横行すると考える。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.