“裏方”のJENESISがなぜ「aiwa」ブランドのスマホを出すのか 日本市場での勝算は?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
JENESISがアイワからライセンスを取得し、aiwaブランドを冠したスマートフォンやタブレットを8月に発売する。JENESISは深センに拠点を持つことを強みに、これまでもさまざまな製品の開発を裏方として支えてきた。スマートフォンやタブレットが成熟期を迎える中、なぜJENESISはaiwaブランドを引っ提げ、表舞台に立とうとしているのか。
おサイフケータイや防水・防塵対応も予定 課題はマーケティングか
スマートフォンについては、防水・防塵(じん)やおサイフケータイといった日本仕様も、積極的に取り込んでいく構えだ。藤岡氏は「一番のボリュームゾーンはミドルレンジで、ここはメーカーも多いが販売量も多い」としながら、「5Gと防水・防塵、FeliCaの3つはマストだと考えている」と断言する。
残念ながら、8月に登場する第1弾の製品は非対応になる見込みだが、「開発には既に着手している」といい、第2弾、第3弾での採用は期待できる。こうしたニーズに取り込んでいく方針からも、JENESISのaiwaブランドに懸ける意気込みが伝わってくる。
当初はECや法人向けの展開が中心になるが、「MVNOのモデルにもチャレンジしていきたい」という。オープンマーケットを中心しながら、まずはMVNOへと販路を広げていく見込みだ。
一方で、キャリアモデルは「考えていない」と同氏。「例えばeSIMを入れ、好きなキャリアを使っていただく方が、ある意味われわれらしい。現時点での規模感では、キャリアとの相互接続の問題などにリソースを割けるのかというのもある」というのが、その理由だ。MVNOではソラコム向けの製品も開発したことがあり、「近い関係にあるので、eSIM的なアプローチは考えていきたい」という。
黒子として長年、設計や製造を行ってきたJENESISが手掛けるだけに、一般的な新規参入とは異なり、製品のクオリティーに対する心配は少なくなりそうだ。深センに拠点を構えているだけに、昨今の半導体不足の影響も軽微だという。
「SoCやメモリは去年(2021年)ほどではないが、マイコンやドライバICなどは相変わらず不足している。例えば6軸センサーのようなものはいまだにない。普通の日本の会社だと、フォーキャスト(予想)を1年前に出し、長いイメージで取引をしないと来ないかもしれないが、そこはさすが深セン。持っている人は持っているので、高値で数千個単位なら譲ってもらえるソースは開拓した。その地の利は非常に大きい」
とはいえ、黒子が長かっただけに、コンシューマーに直接販売するとなると、マーケティングや宣伝などが課題になりそうだ。藤岡氏も、率直に「ここは私たちがまったくやってこなかった部分」と認める。「例えばソースネクストどういうふうにマーケティングをしていきたのか。弊社には元フリーテルの社員もいるが、当時、増田さん(現・TAKUMI JAPAN代表の増田薫氏)がどうやっていたかも調査し、われわれなりの計画を立てていきたい」。
その一環として、8月の発売に先立ち、製品発表会も別途開催する予定。写真が公開されている製品群の詳細な仕様やaiwaデジタルの戦略も、ここで明かされる。そのときを心待ちにしたい。
関連記事
新生「aiwaデジタル」誕生 8月にAndroidスマホ/タブレット、スマートウォッチを投入
JENESISが6月29日、オーディオメーカーのアイワから「aiwa」ブランドのデジタル分野における商標使用権を取得したことを発表した。2022年8月(予定)から、新生「aiwaデジタル」シリーズの製品を順次販売する。第1弾商品として、フラグシップのAndroidタブレット、スマートフォン、スマートウォッチを投入する。本社と2年がかりで実現 モトローラが「moto g52j 5G」でおサイフケータイ対応を果たせた背景
モトローラがオープン市場で発売した「moto g52j 5G」は、待望のおサイフケータイに対応した。一般的に、おサイフケータイや防水・防塵に対応すると、そのぶんだけ製造コストは上昇するが、3万9800円という価格を実現した。なぜ、このような価格でmoto g52j 5Gを発売できたのか。また、moto g52j 5Gは日本でのラインアップの中で、どう位置付けられているのか。ヒットする条件が整った「OPPO Reno7 A」 それでも“長く使う”上で気になる2つの課題
オウガ・ジャパンは、OPPOブランドの最新モデル「OPPO Reno7 A」を、6月23日に発売する。Reno Aシリーズの売りともいえる、サイフケータイや防水・防塵などの日本仕様は網羅している。一方で、Reno7 Aは、機能やスペックが“進化しただけでなく、日本市場に向けたローカライズも“深化”している。モトローラも参戦 オープン市場で「おサイフケータイ対応スマホ」が増えている理由
おサイフケータイや防水は、キャリアが扱うスマートフォンの“標準装備”ともいえる仕様だが、対応はまちまち。そんな中、ついにモトローラの端末が、オープン市場では初となるFeliCaと防水に対応した。オープンマーケットにおけるおサイフケータイの対応状況の変遷や拡大している背景を解説していく。「Galaxy M23 5G」投入のサムスン なぜオープン市場への参入に時間がかかったのか
サムスン電子が、満を持してオープンマーケットに送り出したスマートフォンが、「Galaxy M23 5G」だ。これまでサムスン電子は、キャリアとの取引をビジネスの中心に据えてきたが、なぜこのタイミングでオープンマーケット版の販売に踏み切ったのか。小林CMOいわく、「キャリアとの関係性なども含め、いろいろな方の意見を聞いてきた」という。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.