Huaweiが「HarmonyOS 3」を発表 デバイス間連携強化でスマホ市場の劣勢を打開できるか?:山根康宏の中国携帯最新事情(1/3 ページ)
スマートウォッチなど同社のスマートデバイス向けのOSであるHarmonyOSの最新バージョン「HarmoyOS 3」を発表した。デバイス連携など自社のエコシステムを大幅に強化している。Huaweiは実用的なエコシステムの構築で、他社を一歩以上リードしたように見える。
Huaweiが7月27日、スマートフォンやタブレット、スマートウォッチなど同社のスマートデバイス向けのOSであるHarmonyOSの最新バージョン「HarmoyOS 3」を発表した。現行の「HamronyOS 2」の単なるバージョンアップにとどまらず、デバイス連携など自社のエコシステムを大幅に強化している。HarmonyOS 3は中国国内スマートフォン市場での劣勢を打開するものになるのだろうか?
HamronyOS 2をさらに進化させたHarmonyOS 3
Huaweiのスマートフォンは世界ではもちろん、日本でもメジャーな製品として人気を集めていた。OSはAndroidを採用し自社開発のUI(ユーザーインタフェース)を搭載したカスタムOSとして「EMUI」を搭載していた。
しかし米国政府の制裁を受けてから、Googleサービス(GMS、Google Mobile Services)の搭載が困難となったため、アプリケーションストアは独自の「AppGallery」の搭載を進め、当初はIoT機器向けとして開発されていたHarmonyOSをスマートフォンにも展開を開始。2021年6月に発表したHarmonyOS 2から本採用を進めている。現在中国で販売されているHuaweiのスマートフォンやタブレットは全てがHarmonyOS 2を搭載しており、グローバルでも一部モデルに搭載が進んでいる。
HarmonyOS 2は複数デバイスの接続やホーム画面UIに大きな特徴を持っている。例えば「スーパーデバイス」は、他のスマートフォンやタブレットとの接続をアイコンのドラッグだけで行える機能で、Huawei製のWindowsノートPCなども対応する。また、アプリそのものがウィジェットになる「サービスウィジェット」を採用し、ホーム画面から別途ウィジェットを追加することなく、アプリアイコンを上にスワイプするだけでウィジェット化できる。アプリによってはウィジェットサイズが複数用意され、ホーム画面に複数貼り付けることも可能だ。HaromyOS 2ではアプリとウィジェットが統合されているのである。
最新OSのHarmonyOS 3では数多くの進化が見られるが、特にこれら2つの機能が大きく強化されている。サービスウィジェットはiOSのスマートスタックのように重ねることのできる「ユニバーサルカードウィジェット」となった。しかも1つのカード内に正方形のサービスウィジェットとアプリアイコン4つのように、複数のウィジェットやアプリを組み合わせることができる。「天気ウィジェットと航空券購入アプリ、ホテル予約アプリ、地図アプリ、支払いアプリ」を組み合わせ、旅行関係のカードを作るといったことも可能だ。またスマートフォンとタブレットで同じウィジェットの組み合わせを異なるサイズで表示することもでき、ホーム画面をディスプレイサイズごとに最適化しつつ、アプリやウィジェットの配置を共有できるのだ。
そしてスーパーデバイスは対応するデバイスが大幅に増え、Wi-Fi機能しか持たないタブレットでも、接続したスマートフォンのアンテナピクトが表示されるなど、大幅な機能アップが図られた。これにより、デバイスの連携がよりシームレスに、かつインテリジェントに行うことができるのだ。HarmonyOS 3の最大の進化はこの機器間連携の強化といえる。
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