ドコモFGが仕掛ける「グループ連携」と「金融AI構想」 通信との融合でKDDIやソフトバンクに追い付けるか:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
NTTドコモは傘下の金融企業を束ねた「ドコモ・フィナンシャルグループ」を始動させ、決済や銀行などの事業を承継した。ドコモショップのリアルな接点を活用して金融事業を強化し、最大4.5%還元のグループ連携も開始する。先行する競合他社に対し、通信と金融の融合や法人向けプラットフォームの提供でキャッチアップを目指す。
金融・決済事業を強化しているNTTドコモが、傘下の企業を束ねたNTTドコモ・フィナンシャルグループ(以下、ドコモFG)を7月1日に始動させた。純粋な持株会社ではなく、同社自身もdカードやd払い、iDなどの決済事業をドコモから承継。傘下には住信SBIネット銀行(8月3日からはドコモSMTBネット銀行)やマネックス証券、ドコモ・ファイナンス、ドコモ・インシュアランスといった銀行、証券、保険を担う企業がそろった格好だ。
ドコモFGの社長には、ドコモの財務部長やNTTで副社長を務めた廣井孝史氏が就任した。通信事業が主力のドコモから切り離すことで、より金融事業に柔軟な対応をしつつ、ガバナンスを強化するのが狙いだ。企業同士を束ねることで、金融同士のシナジー効果を高める目的もある。ドコモFG発足にあたり、それを証明する新サービスも導入する。一方で、早くから金融に着手していた他社と違い、通信との融合は道半ばだ。そんなドコモの新体制を読み解いていく。
リアルな接点を銀行、証券でフル活用するドコモFG
「決済にとどまらない、デジタル金融サービスを統合的にお客さまに提供する体制が整った」――こう語ったのは、ドコモFGで代表取締役社長を務める廣井氏だ。GOLD、PLATINUMといった上位カードの加入者が1200万を超え、d払いのコード決済ユーザーも7500万を突破したドコモFGだが、ここに傘下の住信SBIネット銀行やマネックス証券、ドコモ・ファイナンスを集結させ、それぞれを連携させていく構えだ。
手始めに、「d NEOBANK」としてサービスを提供してきた住信SBIネット銀行のブランド名を、社名変更に伴い、「ドコモの銀行」に刷新する。ここには、「ドコモのお店で銀行のサービスを受けられることを分かりやすくする」(住信SBIネット銀行 代表取締役社長 円山法昭氏)狙いがある。ドコモの銀行にブランドを変更して、ドコモショップとの連携も強化していく。
廣井氏によると、「新たに銀行サービスのラインセンスを取得した一部店舗において、8月から銀行口座の開設と初期設定をサポートする」という。さらに、「ネット銀行に関するサービスのスマホ教室なども実施していきたい」(同)という。ドコモは1月にマネックス証券の口座開設サポートをドコモショップで実施していたが、銀行はそれ以上の勢いで対応店舗を増やしていく。
円山氏によると、現在、198店舗が確定しており、住信SBIネット銀行のFC店舗と合わせて「270店舗以上で私どもの銀行の口座開設や預金の受け入れが行えるようになる」。さらに、5年をかけて、この店舗数をトータルで1500まで拡大していく計画だ。「既にドコモショップのオーナーの方からはご賛同をいただいているため、早ければ年度内に1000店舗の達成も実現できる」(同)とペースは速い。
ドコモショップを急ピッチで増やす背景には、住信SBIネット銀行の成功体験があるという。円山氏は、「住宅ローンでは既にナンバー1になっているが、ネットは全体の5%。残りはリアルの店舗で、これがわれわれの成功の方程式だった」と明かす。ドコモFGの傘下に入ることで、「同じことが預金でもできると確信している」という。ドコモがグループ全体で持つ、リアルな接点を活用することで、金融事業全体を強化していこうとしているというわけだ。
もともとドコモFGは、業界内で一定のポジションを築いている会社の集合体といえる。住信SBIネット銀行は、預金残高の規模でネット銀行の2位につけており、住宅ローンの融資実行額や残高はネット銀行トップ。後者については、三菱UFJ銀行や三井住友銀行といったメガバンクに匹敵する規模を持ち、現在、取扱額は2025年に11兆円を超えている。
マネックス証券も、SBI証券や楽天証券には及ばないが、口座数は6月末時点で300万弱まで拡大しておりネット証券業界では3位の規模。さらに、ドコモ傘下に入ってから、新規口座開設数を大きく伸ばしている。ドコモFG自身が手掛けるdカードも、GOLD、PLATINUMの割合が非常に高く、その数は1100万を超えている。この点は、キャリア系の金融サービスの中でも強みになる。
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