Huaweiが「HarmonyOS 3」を発表 デバイス間連携強化でスマホ市場の劣勢を打開できるか?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/3 ページ)
スマートウォッチなど同社のスマートデバイス向けのOSであるHarmonyOSの最新バージョン「HarmoyOS 3」を発表した。デバイス連携など自社のエコシステムを大幅に強化している。Huaweiは実用的なエコシステムの構築で、他社を一歩以上リードしたように見える。
HarmonyOS 3デバイスをシームレスに接続できるのが強み
HarmonyOS 3のスーパーデバイス機能は接続可能なデバイスが12種類に拡大された。スマートフォンでスーパーデバイスを開けば接続可能な機器名がアイコンで平面上に表示され、アイコンをドラッグして自分のデバイスにタッチさせれば接続は完了する。機器一覧を表示したり、表示された機器名を長押ししたりするといった操作は不要だ。接続可能な12種類のデバイスはスマートフォン、タブレット、スマートウォッチはもちろんのこと、モニターやスピーカー、ヘッドフォン、Windows PCそしてスマートカーなどHuaweiのほぼ全てのIT製品となる。
ヘッドフォンとスマートフォンを近づけるだけで自動接続できる製品もあるが、同じヘッドフォンを他のスマートフォンに接続する際は手作業が必要なケースが多い。また電車の中で自分のスマートフォン画面にいきなり他人のヘッドフォンが表示されて面くらってしまう、なんてこともあるだろう。スーパーデバイスでは必要とする機器だけを確実に接続させることができるのだ。
また、スーパーデバイスの接続は1対1に限らない。例えばタブレットと外部モニターとプリンタ、スマートウォッチとスマートヘルス機器とヘッドフォン、のように対応していれば2つ以上の機器に同時に接続できる。Huaweiはプリンタなどオフィス向け製品も拡充させており、スーパーデバイスはオフィス機器のワイヤレス接続化も可能にしてくれる。
スピーカーやヘッドフォンをスーパーデバイスで接続しておけば、音楽を聴いているときの切り替えもアプリから表示されている機器アイコンをタップするだけと簡単だ。なお、テレビで映画を見ながら外部スピーカーに接続すれば、スピーカーが追加され、より迫力あるステレオサウンドを奏でてくれる。遅い時間になったらヘッドフォンへの切り替えもワンタッチで済む。
スーパーデバイスの便利な使い方は他にもある。Huaweiは10.3型のE Inkディスプレイを搭載した「MatePad Paper」を販売している。電子ブックリーダーに特化したユーザーインタフェースを採用しており、書籍を読んだりメモを書いたりする用途には向いているが、大量の電子ブックから目的の書籍を探すといった操作は、画面表示に遅延が生じる電子ペーパーではやや操作しにくい。これは他社の電子ペーパータブレットでも同様だろう。
しかしスーパーデバイス機能を使えば、まずスマートフォンやタブレットで書籍を選び、次にMatePad Paperを接続してワンタッチでコンテンツを送信できる。電車の中にてスマートフォンでSNSのコミュニケーションを楽しみながら、チャットで面白い書籍が紹介されたら即座に検索してMatePad Paperに送って読む、なんてこともできるわけだ。
Huaweiは、他のメーカーに先駆けてスマートEV(電気自動車)も既に販売している。中堅自動車メーカーの小康工業集団と共同で「AITO」シリーズを開発し、既に「問界M5」「問界M7」の2製品を販売中だ。どちらも車内にはタッチパネルを備えたスマートディスプレイを搭載しているが、Huaweiのスマートフォンと連携してAndroid Autoのようにスマートフォンの画面を専用デスクトップに表示できる。AITOは車内にカメラを搭載しているが、そのカメラを使ってスマートフォン経由でのビデオ通話も可能だ。もちろん自動車のバッテリー容量や走行距離はスマートフォンやスマートウォッチで確認できるし、ドアロックはスマートウォッチで開閉できる。
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