楽天モバイル鈴木CEOが語る「1000万回線の先」 5G SAは2027年開始? 黒字化までは「数を伸ばす」(1/2 ページ)
楽天モバイルは2025年末に契約数1000万回線を突破し、次なる目標を営業利益の黒字化に据えている。鈴木CEOは1000万回線までの苦労として電波品質の改善を挙げ、今後はシニア層の獲得を重視すると語った。注目の5G SAは2026年中の運用開始を目指し、法人向けAIソリューションの強化などで収益向上を図る方針だ。
2025年12月に契約数1000万回線を突破した楽天モバイル。MWC26 Barcelonaに来場していた同社 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋氏が日本の報道陣によるグループインタビューに応え、1000万回線に至るまでの苦労や今後の取り組みについて語った。
最も苦労したのは基地局と電波の品質、「電波の改善に終わりはない」
―― 代表取締役 共同CEOの立場で、1000万回線突破までを振り返ってどうか。苦労したことは何か。
鈴木氏 そうですね、苦労しかない(笑)。私がCEOになったのは約3年前で、ちょうど回線数が500万弱ぐらいの頃。法人ビジネスも始めていませんでした。そこから「最強プラン」をローンチし、徐々に積み上げてきました。
苦労したことの1つは、やっぱり基地局、その電波のクオリティーです。ここはわれわれが最も労力を費やしたところで、今でも苦労しています。電波の改善に終わりはありませんので、これはまだまだ続くだろうと覚悟しています。
また、いろいろな(オプション)プランを出しました。ベースのプランは非常に分かりやすく、低価格・大容量、最大2980円(税込み3278円)でデータは無制限に使えるというプランが、若年層を中心に非常に受けたと思います。データのヘビーユーザーの方々に特に支持されたと思うのですが、一方でシニア層にまだ浸透していない。昨年はそういったところも含めて、家族割やシニア割、また特にシニアの方が心配されている「セキュリティ」にフォーカスしたオプションをいくつか出しました。
もう1つ、1年遅れで法人サービスを立ち上げました。ちょうど2年になりますが、B2Bビジネスはベースがないと難しいので、ないところから始めていったことに、かなりの苦労がありました。
―― 950万から1000万契約が非常にハイスピードだった印象がある。要因は何だったのか。
鈴木氏 特に何があったということではなくて、さまざまなものの組み合わせですね。「最強U-NEXT」も伸びましたし、B2Bでもともと決まっていた大型案件がありました。また、毎年12月は数が伸びますので。U-NEXT、法人の大型のディール、年末のキャンペーン。それを3で割って……という感じです。
―― 大型のディールということだが、どんな案件だとそこまで数が増やせるのか。
鈴木氏 機密保持契約を結んでいるので具体的に言うことはできませんが、単純に企業の従業員の方が使うというだけではなくて、企業がネットワークを使って何かサービスをするとか、IoTなどいろいろあります。
―― 最近、楽天市場の取り組みでUberやYouTubeなど外部パートナーとの連携が強まっている。これによって楽天モバイルユーザーの行動が変わったり、モバイルビジネスに影響したりといったことはあるか。
鈴木氏 連携はわれわれにとって非常にうれしいこと。われわれの商圏やビジネスがさらに広がると思います。例えばUberさんと提携すれば、もしかしたらUberのタクシーの中にわれわれのルーターが搭載される可能性が生まれるかもしれない。また例えば、Uber Eatsでデリバリーする人にスマホを貸与できるチャンスが生まれるかもしれない。ビジネスも広がっていく可能性があり、非常にありがたい話だと思います。
―― それらの例が現実になる可能性はあるか。
鈴木氏 いや、これは例えばの話です(笑)。具体的にそういうプロジェクトが進んでいるわけではなく、あくまで一般論としてですね。
法人事業はAIを活用したソリューション提供も強化
―― 楽天モバイルと提携する法人は、どういった特徴があるか。
鈴木氏 特にないです。あえて言うと楽天グループの取引先が多いとはいえます。例えば楽天市場に商品を提供してくださる全国のマーチャントさんだったり商店だったり、あるいは、楽天トラベルに予約を任せてくださるホテル・旅館だったり。
―― 相乗効果は出ているか。
鈴木氏 大きく出ていると思います。法人のお客さまは2万4000社を超えてきていて、数としては非常に多い。
―― 他キャリアの法人事業では、回線獲得の他にソリューション提供も注力している。楽天モバイルはどうか。
鈴木氏 そこはもう、今すごくやっています。業種別のDX化、ソリューション強化をしています。ホテル、飲食、小売、医療、介護の5つに絞って、われわれの「Rakuten AI for Business」を組み込むような形でソリューションパッケージを作っています。特に中堅・中小企業はスタッフも少なくAIの導入が進まない。現場の業務に組み込んで、業務をしていると自然にAIを使っているような状況を目指して取り組んでいます。
シニアや子どもを対象にしたオプションを強化、料金値上げの考えは「今のところない」
―― 1000万の次の分岐点はどの辺りに設定しているのか。また、そのために今後、何を強化していくのか。
鈴木氏 次の分岐点として具体的に公表しているものは特にないです。通期のEBITDA黒字化はなんとかなりましたので、会社としての次のターゲットはNon-GAAP(非国際会計基準で独自算出した指標)営業利益で黒字化ということになります。それをできるだけ早く達成するために……ARPUと契約者数の掛け算になりますが、それで大体決まっていくと思います。
―― 楽天モバイルの場合、プランの上限金額が決まっている。ARPUを上げる方法はオプションの積み上げになるのか。
鈴木氏 そうですね、付加価値サービスを、たくさん出していくことだと思います。既にいろいろ出していますが、今後はセキュリティ関係やシニアに優しいサービスを増やしていく。あるいは、子どもを守るサービスなど、今考えていることはたくさんあって、これから形にして出していきたい。データの料金には上限がありますが、データの使用量は非常に伸びてきている状況にあります。
―― その上限を改定する、つまり値上げする考えはないか。
鈴木氏 今のところありません。
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