「VoLTEアイコン」よ永遠に――ソフトウェア更新がもたらした“別れ”:ふぉーんなハナシ
NTTドコモ向けのGalaxyスマートフォンでは、画面にVoLTEが利用可能な状態であることを示す「VoLTEアイコン」が表示されます。しかし、「Galaxy Z Flip3 SC-54B」と「Galaxy Z Fold3 SC-55B」では、8月23日に配信されたソフトウェア更新を適用するとこのアイコンが削除されます。このアイコンに慣れ親しんでいた身からすると、少し残念であります。
8月23日、NTTドコモの「Galaxy Z Flip3 SC-54B」と「Galaxy Z Fold3 SC-55B」にソフトウェア更新が配信されました。
このソフトウェア更新を適用すると、両機種のユーザーは、ドコモ向けGalaxyシリーズではおなじみの「あるもの」とお別れしなくてはなりません……。私もお別れすることになったので、その報告をしようかと思います。
【更新:8月25日18時15分】仕様変更の意図について、NTTドコモとサムスン電子ジャパンからの回答を追記しました
“ドコモの”Galaxyたるアイデンティティーは2つある
Samsung Electronics(サムスン電子)のGalaxyシリーズは、同じモデルであっても国/地域やキャリアごとに何らかのカスタマイズが施された状態で販売されます。「国/地域」という観点では、日本向けモデルには共通して以下のカスタマイズが施されています。
- 端末に刻印されるメーカー(Samsung)ロゴを省略、またはGalaxyロゴと置き換え
- 画面表示用の日本語フォントの差し替え(より見やすい書体に)
- おサイフケータイ(モバイルFeliCa)の搭載(ごく一部のモデルを除く)
上記のポイントを知っていれば、外観や画面表示で日本向けモデルかどうかを判別できます。
そして「キャリア」という観点では、ドコモ向けモデルには以下のカスタマイズが施されています。
- 端末へのドコモロゴと機種名の刻印
- ステータスバーへの「VoLTEアイコン」の追加
- ドコモが提供するソフトウェアのプリインストール
1つ目の「端末へのドコモロゴと機種名の刻印」ですが、機種名の刻印はau(KDDIと沖縄セルラー電話)向けモデルでも行われています。一方で、キャリアのブランドロゴを刻印しているのは、日本国内ではドコモだけです。つまりドコモ向けかau向けかの判別は、ボディーにドコモロゴがあるかどうかで付けられます。
2つ目の「ステータスバーへの『VoLTEアイコン』の追加」は、海外の一部モデルでも行われています(そのデザインはマチマチです)。日本では、これもドコモ向けモデル固有のカスタマイズとなります。外装が完全に隠された状態でも、画面にVoLTEアイコンがあるかどうかでドコモ向けモデルかau向けモデルかを判別できるのです。
要するに、本体の「ドコモロゴ」と画面の「VoLTEアイコン」は、ドコモ向けのGalaxyシリーズの大きなアイデンティティーとなっています。
カラーがカラーだけに少し分かりづらいですが、Galaxy Z Flip3 5G SC-54Bはドコモロゴと「SC-54B」の刻印があります。加えて、日本向け共通のカスタマイズとしておサイフケータイを搭載していることから、リーダーライターのある部分に「モバイル非接触IC通信マーク」も刻印されています
ドコモ向けのGalaxyシリーズでは、VoLTEが利用可能な状態になると「VoLTEアイコン」が出ます。VoLTEアイコンは海外の一部モデルでも表示されるのですが、ドコモ向けモデルでは“しっかりと”ドコモのサービスロゴと同じデザインになっています
「VoLTEアイコン」が“削除”される!?
今回、SC-54BとSC-55Bで行われるソフトウェア更新では、カメラで撮った画像の表示時やスクリーンショットの撮影時にエラーが出ることがある不具合の解消と、セキュリティパッチの更新(2022年8月分の適用)が行われます。
そしてもう1つ、この更新では“重要”な仕様変更が行われます。VoLTEアイコンが削除されてしまうのです。
ショックを受けつつも手持ちのSC-54Bでソフトウェア更新の概要を確認してみると、VoLTEアイコンが消える旨は記されていません。「もしかしたらVoLTEアイコンが消えるというのは幻なのでは?」と思いつつ、早速更新してみます。
更新直前の画面には、確かにVoLTEアイコンは残っています。
そして消えた「VoLTEアイコン」
今回は、ソフトウェア更新を本体単体で行うことにしました。ダウンロード後、10分ほどで更新は完了し、再起動します。
再起動を終えたSC-54Bを見てみると、VoLTEアイコンが消えました。ドコモ向けのGalaxyシリーズのアイデンティティーの1つが“消滅”したことになります。
もちろん、この状態でもVoLTEによる通話は可能です。SC-54B(とSC-55B)はドコモの5G端末です。ドコモの5G契約はFOMA(3G)エリアでの通信に対応しません(参考記事)。VoLTEアイコンを省いても、「5GまたはXi(LTEエリア)にいること≒VoLTEによる通話ができる」なので実害はほとんどありません。
ただ、2021年10月14日に通信障害が発生した際に、VoLTEアイコンが“消えた”ことで「データ通信はできるが音声通話ができない」という状況把握ができたことを振り返ると、VoLTEアイコンの非表示化はちょっと残念であるように思います……。
なぜVoLTEアイコンを削除したのか――この点について、NTTドコモ(販売元)とサムスン電子ジャパン(輸入元)に質問した所、以下の2つの理由から削除に至ったそうです。
- インジケーター部の見やすさを向上するため
- 4G(LTE)や5Gが普及し、VoLTEによる通話が一般化したことで、VoLTEアイコンの重要性が薄れたため
先述の通り、このアイコンは「VoLTE通話はできないけれど、データ通信はできるんだ」という判別に役立ちました。果たして、この削除は正しかったのかどうなのか……。
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