目指したのは“国民機” シャープの「AQUOS sense7/7 plus」が単なるミッドレンジスマホと違う理由:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
シャープは9月26日、ミドルレンジの最新モデルとなる「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」の2機種を発表した。AQUOS sense7、7 plusでシャープが目指したのは、「ハイエンド並みの大型センサー」を搭載すること。7 plusはより大きなディスプレイを搭載し、動画を快適に視聴できるようディスプレイ性能も強化した。
シャープは9月26日、ミドルレンジの最新モデルとなる「AQUOS sense7」「AQUOS sense7 plus」の2機種を発表した。AQUOS senseは、シャープのスマートフォンで中核ともいえるシリーズ。ほどよいスペックとバランスが取れた価格が売りで、端末購入補助の制限が厳格化したことも追い風になり、世代を経るごとに売れ行きを伸ばしてきた。シャープが日本のスマートフォン市場で2位につけているのも、senseシリーズの大ヒットによるところが大きい。
一方で、ミッドレンジモデルは今や激戦区といえる市場。シャープの年間出荷台数も頭打ちになりつつあり、2021年度の市場占有率は9.4%(MM総研調べ)と前年度よりシェアを落としている。ミドルレンジにも、次の一手が求められているのが現状だ。これまで、スマートフォンとしての“必要十分”を積み重ねてきたAQUOS senseだが、次の一手としてどのような仕様を盛り込んできたのか。その答えは、カメラにあった。
ハイエンド並みの大型センサーを取り込み、AQUOS Rで培ったノウハウを生かす
AQUOS sense7、7 plusでシャープが目指したのは、「ハイエンド並みの大型センサー」(通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長 清水寛幸氏)を搭載すること。大型のセンサーは光を取り込みやすくなり、暗所での撮影性能が向上する。フラグシップモデルはセンサーの大型化が進んでおり、シャープは1型センサーを搭載した「AQUOS R6」や「AQUOS R7」を販売している。そのエッセンスを、ミッドレンジに落とし込んでいくのがシャープの戦略だ。
2機種とも、広角カメラの画素数は5030万画素。センサーサイズも1/1.55型と大きい。1型のセンサーを搭載したフラグシップモデルと比べるとインパクトは薄れてしまうが、ミッドレンジとしては異例のスペックといえる。日本で発売された他社の端末を例に挙げると、1/1.55型に近いサイズのセンサーを搭載しているのはサムスン電子の「Galaxy S22」(1/1.57型)やOPPOの「Find X3 Pro」(1/1.56型)など。いずれも、フラグシップモデルに位置付けられる。
先代の「AQUOS sense6」に搭載されていたカメラのセンサーは、1/2.0型。約66%も大型化しており、カメラを強化したといううたい文句に偽りがないことが分かる。オートフォーカスには全画素PDAFを採用し、こちらも従来モデルと比べて速度が2倍に向上した。もっとも、単に大型のセンサーを搭載すれば、キレイな写真が撮れるようになるわけではない。スマートフォンの処理能力を生かし、各社ともコンピュテーショナルフォトグラフィーに注力しているからだ。
こうした動きに対し、シャープはライカとの協業で培ったノウハウを注入。AQUOS sense7、7 plusの2機種にはライカのブランドこそ付かないが、人物写真にはAQUOS R7と同じ「セマンティックセグメンテーション」をかけ、画質を向上させている。セマンティックセグメンテーションとは、顔の領域を細かく分解し、それぞれに最適な処理を施すこと。処理能力の高いスマートフォンだからこそできる仕上げだ。
複数枚の写真を合成し、夜景撮影でノイズを抑えた明るい写真が撮れるナイトモードにも、AQUOS R7の技術を応用している。具体的には、合成処理をRAWで行い品質を高めている。RAWデータでの処理は、高いパフォーマンスを求められるため、一般的なミッドレンジモデルでは非対応のことが多い。
AQUOS sense7、7 plusでも、「合成する枚数は増やしきれなかったが、何とかギリギリで搭載できた」(通信事業本部 パーソナル通信事業部 副事業部長兼第一ソフト開発部長 中江優晃氏)という。ハイエンド並みのハードウェアに、ライカとの協業で培ったソフトウェアを組み合わせることで、従来のミッドレンジモデルを大きく超えるカメラを実現したというわけだ。
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