「AQUOS R7」に20万円弱の価値はある? 1型センサーの新カメラやパフォーマンスを徹底検証(1/3 ページ)
シャープの2022年夏のフラグシップモデル「AQUOS R7」。巨艦カメラを擁する尖ったスマートフォンだ。20万円弱の価格に見合う価値はあるのか、じっくり検証する
シャープのフラグシップスマートフォン「AQUOS R7」をレビューする。20万円弱という、2022年の夏モデルの中でも高価格なモデルだが、価格に見合う価値があるのか、じっくり検証しよう。
AQUOS R7は大手キャリアのNTTドコモとソフトバンクが販売している。NTTドコモ版のAQUOS R7 SH-52Cの価格は19万8000円。ソフトバンク版のAQUOS R7(A202SH)は18万9360円となっている(いずれも税込み)。
やや大きく重めの重厚なボディー
AQUOS R7はフラグシップスマートフォンらしく、最先端のプロセッサや大容量のバッテリーを搭載し、5Gのミリ波帯での高速通信にも対応する。必然的に本体はやや大ぶりで、重さも多少大きく、厚みがある。具体的には大きさが約77(幅)×161(高さ)×9.3(奥行き)mm、重さが約208gとなっている。
前面と背面にはCorning社製の高耐久ガラス「Gorilla Glass Victus」を採用。背面パネルはエッチング処理が施されており、さらさらとした光沢感のある手触りだ。目玉の背面カメラは、1mmほど突き出た形状となっている。
左右の側面はアルミフレームで、アルマイト加工による直線的な仕上げ。背面がややカーブしていることから、手に持ったときの収まりは良好だ。先代のAQUOS R6ではカーブディスプレイを搭載していたが、今回はフラットタイプのディスプレイに変更されており、誤操作の心配がなくなった。
ディスプレイには超音波式の指紋センサーを搭載し、軽く指を当てるだけで、高速でロック解除できる。もちろん、防水、防塵(じん)もサポートしている。外観は総じてフラグシップらしい仕上がりで、3〜4年ほどタフに使いこんでも傷だらけになることはなさそうだ。
ライカ監修のカメラをAQUOS R6から継続して搭載
AQUOS R7を選ぶ決め手となるのは、やはり「カメラ」だろう。スマートフォン市場が成熟する中で、カメラは各メーカーのフラグシップの個性が表れやすい要素となっている。
スマホカメラの世界では多眼カメラが主流派となる中で、AQUOS R7では、背面カメラにあえて単眼カメラを採用している。このカメラの売りは“高級コンパクトデジカメ並み”の1型の大きなイメージセンサーを搭載することだ。そして、高級カメラブランドの「Leica(ライカ)」による監修により、写真のクオリティーを向上させている。
1型カメラやLeicaによる監修は、前世代機の「AQUOS R6」から継続している。1型センサーと組み合わせた7枚組のレンズも、前世代機のAQUOS R6向けに設計されたものと大きな違いはない。
違いは1型センサーにある。スマホ向けの新開発されたというイメージセンサーを搭載したことで、暗所でのシャッタースピードなどが大幅に向上している。シャープはセンサーの型番を公表していないが、評価機で確認すると、ソニー製の「IMX989」を搭載していることが分かる。同じく1型センサーでLeica監修のXiaomi製フラグシップ「Mi 12S Ultra」と同じセンサーだ。
最高のスナップカメラになり得る光学性能
AQUOS R7の最大の魅力は、光学性能が高いカメラが“スマートフォン”に内包されていることだ。ポケットに入れていつも持ち歩く身近な機器で、本格的なスナップ写真を撮影できる。
AQUOS R7のカメラについては、既に荻窪圭氏によるレビューでも詳しく説明されているが、ここでは筆者が試用した上での感じた点をざっくりと紹介したい。
前提として、現代のスマートフォンのカメラは、同時代のカメラ専用機に匹敵する性能はない。スマホメーカー各社はこれまで、複眼カメラやAIによるシーン補正の採用などのアプローチで、性能向上を進めてきた。こうした工夫はポートレートや食事の写真、夜景撮影など、スマホで良く撮られるシーンに最適化したもの
だ。
一方で、AQUOS R7のカメラは、大きなイメージセンサーにより“光学的に優れた写真”を実現するという、コンパクトデジカメのようなアプローチを取っている。AIシーン補正なども搭載しているが、パリパリに色味を強めた“映える”写真ではなく、ナチュラルな画作りを指向している印象だ。カメラ専用機に親しんでいる人なら、AQUOS R7の写りが好ましいと感じることだろう。
AQUOS R7は撮影シーンの得意不得意が比較的はっきりしている。得意なシーンは風景写真やポートレートで、街中でのスナップ写真ではその実力を発揮しやすい。暗所撮影や夜景撮影にも秀でている。前世代機で苦手としていた動きのある物体の撮影も、イメージセンサーの刷新によりかなり撮りやすくなっている。
一方で、“スマホで撮りそうな被写体”が苦手な面もある。代表的なのがテーブルフォト、要するに手元の料理の撮影だ。センサーサイズが大きいため、ピントの合う領域が狭く、多少工夫しないとうまく撮影できない。デジタルズームを積極的に併用していくといいだろう。
カメラアプリのUI(ユーザーインタフェース)も、前世代機のAQUOS R6との比較から大幅に改良されている。特に、ズーム操作をタップしてスライドという簡単な手順で行えるようになったのは大きな改善だ。
さらに、RAW撮影を行うと、AQUOS R7のカメラが秘めるポテンシャルがよく分かる。AQUOS R7ではマニュアルモードでRAW形式(.dngファイル)での記録が可能だ。Adobe Lightroomのような写真管理ツールを導入すれば、RAW画像の現像もスマホ単体で行える。RAWで撮影した写真を編集してみると、明暗差が激しい被写体でも、黒つぶれが抑えていることが分かる。RAW撮影での表現力の高さは、光学性能に秀でた1型センサーだからこその魅力といえる。
もちろん、AQUOS R7はスマートフォンなので、写真を自動でバックアップしたり、SNSなどでシェアしたりといった活用も自在だ。撮影、現像、共有(または印刷)といったフローが1台で完結するというわけだ。
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