eSIMの普及にまだ時間がかかると感じる理由(1/2 ページ)
eSIM採用端末iPhone XSやGoogle Pixel 4が登場した2018年に比べて対応端末は増えた。それでも普及に至るまでの道のりは長い。そんなeSIMのデメリットは何か、それを探りながら未だに普及しない理由を読み解く。
2018年発売のiPhone XSやGoogle Pixel 4(日本版は4以降、グローバル版は3でも対応)以降の端末に搭載され、今となっては大手キャリア(MNO4社)ならほぼ全てのブランドで使えるようになったeSIM。当初は対応端末が限られてきたが、2022年現在ではそれも増えてきた。特にNTTドコモは「今後eSIM対応端末を増やす方針」を明らかにしている。
eSIMの形状は大きく2つに分かれる。1つはICチップ型のもので、スマートフォンなどの対応端末に挿入できる。eSIM非対応端末でもeSIM化できるというメリットがあり、1から対応端末を作り直す必要がなくなる。
もう1つは数ミリ四方の埋め込み型のもの。物理SIMカードのように差し替えなくても、ネットワーク経由で契約者情報(プロファイル)を書き換えたり、プランを変更したりできるのが特徴だ。iPhoneやPixelでは埋め込み型のeSIMが採用されている。
そんなeSIMのデメリットは何か、それを探りながらいまだに普及しない理由を読み解く。
大手は使えるけど格安は?
eSIMはNTTドコモ(ドコモ、ahamo)、KDDI(au、UQ mobile、povo)、ソフトバンク(ソフトバンク、Y!mobile、LINEMO)、楽天モバイルなら使えるようになっている。音声通話、モバイルデータ通信、SMS全てでだ。
一方で格安SIMと呼称されるMVNOでは、このeSIMが使えるサービスは限られており、利用者はどの会社のどのブランドがeSIMに対応しているのか、事前に調べなければならない。しかも大手のように回線によっては音声通話に対応せず、モバイルデータ通信のみのeSIMを発行しなけらばならない。
これの何が問題なのかというと、例えば先日起きたauの大規模通信障害で通信環境を確保できない、というときに備えて複数の回線を確保しておきたい、とする。その場合、音声通話が使えないと、緊急通報ができないのだ。いざというときに緊急通報ができなければ、最悪、命を落とす危険性すらあるので、音声通話ができるかどうかは確認しておきたい。
別のデバイスにQRコードを表示させる必要がある
そして、eSIMのプロファイルにも難点がある。プロファイルはeSIMに対応したサービスを利用するための契約回線、電話番号といった加入者情報が書き込まれたもので、これを端末側にダウンロードしなければ通信ができない。そのため、ほとんどのキャリアがこのプロファイルをインストールするためのQRコードを用意しているが、スマートフォン以外のデバイスがなければQRコードを表示して、それをスマートフォンで読み込むことができない。
auやソラコムならQRコードの表示が不要で、プロファイルのインストールが完結するが、多くのキャリアで2台のデバイスが必要になる点に注意したい。
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