通信障害で減益のKDDI 高橋社長「スマートウォッチ2台で24時間アラートが来るようにしている」(1/2 ページ)
KDDIは11月2日、2023年3月期第2四半期決算を発表した。売上は伸びたものの、7月に発生した通信障害の対応と燃料費の高騰によって増収減益。高橋誠社長は、業績自体は好調だとして、通期での増益と注力領域の拡大に努めていく考えを示した。
KDDIは11月2日、2023年3月期第2四半期決算を発表した。売上は伸びたものの、7月に発生した通信障害の対応と燃料費の高騰によって増収減益。高橋誠社長は、業績自体は好調だとして、通期での増益と注力領域の拡大に努めていく考えを示した。
通信障害と燃料費高騰の影響で減益、通信はUQ mobileが特に好調
同期の累計の売上高は2兆7408億3600万円で前年同期比4.4%増、営業利益は5585億2700万円で同2.5%減。営業利益のうち、au、UQ mobile、povoのマルチブランド通信ARPU収入が、値下げ影響によって539億円のマイナス。グループMVNO収入とローミング収入は69億円のマイナス。
反対に注力領域が106億円、3G停波関連コストの減少によるプラス影響が382億円、その他の収入が122億円のプラスだったが、通信障害対応や燃料費高騰で148億円のコストが発生し、トータルで減益となった。
148億円の内訳は、障害に伴う返金額が75億円、障害による代理店への支援や設備保守強化が23億円弱。さらに基地局などに使う電力が多く、それを支える燃料費の高騰による影響が50億円強だったという。前期比での減益幅は145億円で、「微々たるものだが、この影響がなければ3億円の増益だった」と高橋社長。
7月2日に発生した大規模通信障害は、7月の新規加入と解約率に影響を与えたが、8月以降は持ち直す。各ブランドの契約数を示すマルチブランドIDは3093万となり、障害直前の6月の数字まで復帰した。
特にUQ mobileが好調でID数は600万を突破。povoも順調で、povo 1.0と2.0の合計ID数は150万程度になっているという。特に、無料プランを廃止する楽天モバイルからの流入が多いと高橋社長。特に、キャンペーン期間が終了する直前の10月下旬に多くの流入があったそうだ。
上期のマルチブランド通信ARPUは前年同期比539億円マイナスの7432億円。それに対してマルチブランド付加価値ARPU収入は同608億円増の3562億円まで拡大。通信料収入の減少については、今通期中に底打ちを目指して取り組んでいく。
Starlinkの提供でデジタルデバイド解消を目指す
注力領域となるビジネスDX、金融、エネルギーの分野は、それぞれKDDI Digital Divergence Holdings、auフィナンシャルホールディングス、auエネルギーホールディングスの3社が出そろい、KDDIの強みである5Gなどの通信などと連携して収益拡大を図る。
ビジネスセグメントでは企業のDX化などを推進するNEXTコア事業が前上期比で17.8%増となる1850億円となり、セグメント全体の3割超を占めるまでに成長。事業全体をけん引した。
金融事業は、売上高が前上期比324億円増の1138億円、営業利益が同200億円増の263億円だった。大幅な増益になったのは「住宅ローン手数料の会計処理変更による一時的な影響」(高橋社長)とのことだが、決済・金融取扱高は上期比で31.4%増の6.8兆円、auじぶん銀行のローン商品残高は0.2兆円増の1.9兆円、カードローンが融資残高2000億円を突破するなど順調に推移している。
au PAYの決済取扱高は前上期比53%の増加。会員数(au PAY+au PAYカード)は同430万増の3890万人に達した。au PAYカードの決済取扱高は同27%増、カード会員数は同110万増の810万人となった。
1億超のPonta会員基盤によるポイント連携や、auじぶん銀行やauカブコム証券といった他の金融サービスの連携による利用拡大に加え、加盟店向けの「au PAYグロースパック」を開始し、加盟店への集客などの支援によってさらなる利用拡大を図りたい考え。
デジタルデバイド解消などを目的に、衛星通信「Starlink」も順次提供。「日本は16000以上の山々と6000以上の島々を有して自然災害の多い国」と高橋社長は話し、衛星通信によるau回線のバックホールや法人・自治体への提供に大きなメリットがあるとする。山間部などの接続性も改善し、デジタルデバイド解消にもつながると話す。
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