KDDIと沖縄セルラー電話が7月2日の通信障害に関する「報告書」を総務省に提出 11月1日付
KDDIと沖縄セルラー電話が、7月2日付の通信障害を受けて総務省から提出を求められていた「報告書」を提出した。今後、この報告書の内容は同社の「電気通信事故検証会議」で検討されることになる見通しだ。
KDDIと沖縄セルラー電話は11月2日、7月2日に発生した携帯電話ネットワークにおける通信障害に関する「報告書」を11月1日付で総務省に提出したことを明らかにした。この報告書は同省が11月10日までに提出するように求めていたもので、両社が障害発生以後に行った取り組みなどがまとめられている。
指導に対する取り組みは?
今回の報告書は、総務省が8月3日付で発出した行政指導文章の内容に沿う形で、両社が取り組んできたこと(予定を含む)を報告したという。概要をまとめると以下の通りとなる。
重要な設備のメンテナンス時の事前準備について
重要なネットワーク設備のメンテナンスを行う際の事前準備に関する取り組みとして、以下の項目は7月中に対応を実施したという。
- 手順書の管理ルールの見直し
- 作業承認時のチェック手法の見直し
- サービス正常性の確認方法の見直し
- 切り戻し設定時間の基準の見直し
- 作業リスクの評価と作業抑制の基準の見直し
- 「ヒヤリハット」事例の収集と展開の教科
また、2023年4月に以下のシステムを導入すべく開発を進めているという。
- 手順書管理システム
- ヒヤリハット分析システム
VoLTE交換機の輻輳(ふくそう)対策に関する取り組み
7月2日の障害の原因となったVoLTE用の交換機の輻輳(ふくそう)への対策については、以下の取り組みを実施済みか、実施する予定だという。
- VoLTE交換機の輻輳検知ツールの開発/導入(7月に実施済み)
- VoLTE関連ネットワークのトラフィック経路変更(9月に実施済み)
- VoLTE以外のネットワークネットワークに関する点検(10月31日までに点検は完了、是正措置は2023年3月31日までに完了予定)
- 輻輳制御の設計見直し(10月23日までに完了済み)
輻輳が発生した際の復旧手順などに関する取り組み
輻輳が発生した際の復旧手順の見直しについては、7月中にVoLTE交換機のリセットをする際のマニュアルの改修を実施し、8月中に輻輳を解消するためのツールの開発/導入を完了している。
今後、2023年度から輻輳発生時の復旧処理の自動化を段階的に導入していくという。
周知広報について
障害などが発生した際の周知広報に関する見直しについては、9月末までに以下の取り組みを進めたという。
- ユーザーの立場で分かりやすい情報の定期的発信を行う準備(7月に実施済み)
- 広報部門を中心とした対外情報発信班の新設(7月に実施済み)
- 緊急通報機関への連絡を行う専任チームの設置と、MVNOに対する連絡体制の整備(7月に実施済み)
- 周知・広報に関する対応マニュアルの策定(9月末までに実施)
事故に関する情報の他社への共有について
今回の通信障害については、8月中にNTTドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルの3社と情報共有を実施したという。
他社を含めた通信障害の告知に関する共通ルールについては、総務省の「電気通信事故検証会議」に設けられた「周知広報・連絡体制ワーキングループ」において検討が進められている。
その他
今回の通信障害は、総務省の電気通信事故検証会議における検証対象となる。同省の行政指導では、会議において追加の再発防止策が提示された場合はそれにも取り組むように求めている。
それに先んじて、KDDIと沖縄セルラー電話では以下の対応策を実施、または実施する予定だという。
- 人為的ミスを防止するための品質管理体制の強化(10月1日付で組織変更)
- VoLTE交換機と加入者データベースの動作検証とリスク評価の徹底(9月までに実施)
- 輻輳の自動制御ができなかった場合の対応訓練の実施(9月に実施)
- 端末の仕様に関するメーカーとの協議(12月末までに完了予定)
- 非常時に通信を維持するための代替手段の確保(総務省の「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を通して検討)
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