“カバー率100%”へ一歩前進 楽天モバイル、スマホと衛星の直接通信に向け、試験局免許の予備免許を取得
楽天モバイルは米国の衛星通信企業であるAST SpaceMobileと推進する「SpaceMobile(スペースモバイル)」プロジェクトの実現を目指している。そのため2022年11月10日付けで実験試験局免許の予備免許を取得した。圏外でも既存の端末で通信できるようにする。
楽天モバイルは米国の衛星通信企業であるAST SpaceMobile(以下、AST)と推進する「SpaceMobile(スペースモバイル)」プロジェクトの実現に向け、2022年11月10日付けで実験試験局免許の予備免許を取得した。
本プロジェクトはASTが構築する低軌道人工衛星(LEO:Low Earth Orbit)が宇宙から送信するモバイルブロードバンドネットワークと、市販のスマートフォンとの直接通信の実現を目指す取り組み。楽天モバイルはモバイル通信サービスが圏外となってしまう山岳地帯や離島などでも、既存の端末で利用可能なモバイル通信サービスの提供や、災害時における通信ネットワークの冗長性強化を見込む。
9月11日(日本時間)には、ASTが米国で試験衛星「BlueWalker3(ブルーウォーカー3)」の打ち上げに成功。また、BlueWalker3が過去最大規模の693平方フィートに及ぶ商用通信アレイを、地球軌道に展開することに成功したとして、ASTが11月14日に発表した。
ASTが打ち上げた試験衛星と日本国内のゲートウェイ地球局間での通信試験や、実際の端末を用いた事前検証を行うことを目的に、楽天モバイルは東北総合通信局へゲートウェイ実験試験局免許(携帯基地地球局相当)を、関東総合通信局へ携帯端末実験試験局免許(携帯移動地球局相当)を申請し、両免許の予備免許を取得した。
楽天モバイルは実験試験局免許の付与を受け次第、福島県内に設置したゲートウェイ実験試験局の運用を開始し、北海道内山間部において携帯端末と「BlueWalker3」の直接通信を試験、検証していくとしている。
なお、本プロジェクトが実現したとしても、電波を遮断した部屋に加えて、地下は圏外の場合があり得る。今回、楽天モバイルは地上におけるカバー率100%へ一歩前進したことになる。
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