“ゼロコロナ”で迷走気味だった中国スマホ市場 2023年に注目すべき3つのポイント:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
中国のモバイル市場は、ゼロコロナ政策の影響でマイナス成長になったが、023年は行動制限もなくなり国内景気が上向きになると見られている。2022年はXiaomiやOPPOも折りたたみスマートフォンを投入し、2023年はさらにラインアップを増やしそうだ。1型センサーを始めとしたカメラ機能の進化や、ゲーミングのパフォーマンスを打ち出した製品も増えそうだ。
中国政府の「ゼロコロナ政策」が2022年12月26日に突如撤廃された。約3年もの長きにわたって続いた中国国民の移動制限も一気に緩和されたわけだ。それにより感染者の急増など混乱も続いているが、景気停滞にあえいでいた市場も2023年には明るい兆しが見えてきそうだ。
ゼロコロナの影響でマイナス成長となった中国のモバイル市場
中国のスマートフォンの出荷台数は2022年の第1、第2、第3四半期いずれも前年同期比でマイナス成長となった。IDCの調査によると、各期の成長率はそれぞれマイナス14.1%、マイナス14.7%、マイナス11.9%と歴史的にも惨たんたる状況だった。その中で2021年から単独メーカーとして本格的なビジネスを拡大したHonorは、2022年の比較となる前年の出荷台数が少なかったこともあり、2022年第1四半期は前年比291.7%、第2四半期は88.6%と驚異的な数字を見せた。しかしそのHonorも第3四半期にはマイナス9.1%と急に失速している。「ゼロコロナ」は人々の消費マインドを大きく低下させたのだ。
各メーカーは自社製品への注目度を高めようと、次々と新製品を出している。今や中国では1年に2回のモデルチェンジが当たり前となり、半年前に買った最新モデルが陳腐化してしまうほどだ。また新製品が出ると前のモデルは値下げされるケースが多く、目新しい機能がなければ消費者もわざわざ新製品に飛びつくことはない。その結果、時にはメーカーの動きが空回りのように見える「なぜそんな新製品を出したのか?」と疑問に思えるような製品も2022年にはいくつか見られた。
中国で発売されたスマートフォン新製品を毎月見てみると、1カ月あたり10機種以上が登場している。つまり年間にすると100機種を超える膨大な数の製品が登場しているのだ。そうなると、代わり映えのしない製品は消費者から見向きもされず、大した台数も売れずに不良在庫になっていく。
また、OPPOのミドルレンジライン「Aシリーズ」のようにモデル名が増え複雑になると、どの製品がどんな機能なのか分かりにくくなってしまう。OPPO Aシリーズは中国と海外で奇数型番、偶数型番というモデル展開をしていたが、中国内での数字が足りなくなってしまい偶数やアルファベットを付与したモデルも登場した。最終的には11月に「A1 Pro」という数字1桁型番の新しいモデルを投入し、今後は製品名が分かりやすくなる予定だが、消費者側にどう認知させるかが課題になりそうだ。
このように、2022年の中国のスマートフォン市場は販売台数に停滞が見られたが、2023年は行動制限もなくなり国内景気が上向きになると見られている。暗黒の時代ともいえる2022年を乗り切った各社は2023年も新製品ラッシュをかけるだろう。とはいえ、やみくもに製品を増やすだけでは体力も持たない。そこで各社は注力する分野をより絞って製品を強化していくだろう。その中で注目すべきは「折りたたみ」「カメラ」「ゲーム」という3つの分野だ。
折りたたみスマホ市場に参入したXiaomiとOPPO 低価格化も進む?
折りたたみスマートフォンは中国でも2020年まではSamsungとHuaweiの2強だったが、2021年にXiaomiとOPPOが参入、2022年にはHonorとvivoも製品を発売した。そしてこれら後発4社は全てが2022年中に第2世代の製品を投入している。各社ともヒンジ機構を改善し本体の薄型化を図った他、HonorとOPPOはスタイラス入力に対応、OPPOは縦折りモデルも発売した。
スタイラス対応はSamsungのFoldシリーズ対抗であり、縦折りモデルはSamsungのFlip、HuaweiのPocket対抗となる。OPPOの縦折りスマートフォン「Find N2 Flip」は外側に3.26型の大型カバーディスプレイを搭載し、使い勝手はHuaweiやSamsungの縦折りモデルを上回っている。
CINNO Researchによると、2022年第3四半期の中国の折りたたみスマートフォン出荷台数は72.3万台で前年同期比114%の伸びを示した。この数は中国のスマートフォン全出荷台数のまだ1%にすぎないが、折りたたみモデルはもはや自社のフラグシップ級の製品であり、高い価格でも販売できる製品だ。また他社との競争に打ち勝つための「顔」となるモデルにもなる。2023年は低価格モデルや高性能モデルなど、各社折りたたみモデルのラインアップを増やしそうだ。
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