スマホの“ベゼルレス化”はどこまで進む? 「画面に余計なものを置かない」技術の変遷(1/2 ページ)
近年のスマートフォンでは画面のふちを目立たなくする“ベゼルレス化”が進んでいる。ベゼルを狭くする上で障壁となるのがインカメラの存在だ。ディスプレイ内にインカメラを埋め込む技術を採用するメーカーも増えている。
近年のスマートフォンでは画面のふちを目立たなくする“ベゼルレス化”が進んでいる。この流れは今に始まったものではないが、今回は過去に登場した端末とともに変遷を振り返ってみよう。
ベゼルレスの先駆けは「AQUOS CRYSTAL」
ベゼルレスで印象的だったスマートフォンは、2014年に発売された「AQUOS CRYSTAL」だ。フレームレス構造によって実現した三面狭額縁のデザインを採用し、本体の下部ベゼル以外を極限にまで狭くした商品だ。これによって画面サイズ比較でコンパクトな本体サイズを実現している。
AQUOS CRYSTALシリーズではインカメラを思い切って本体下部に配置し、利用時は本体を上下逆さまにして利用するなど、かなり攻めた設計となっていた。液晶画面がまだ主流だった時代にこのような商品を開発できた背景には、液晶ディスプレイを自社開発可能なシャープの強みを感じられる。
当時としては革新的で後に「EDGEST-エッジスト」と呼ばれたこのデザインは2016年ごろまで採用されていた。
革新的なこの端末に刺激されてか、以降はベゼルレスの端末を各社投入してくることになる。「Galaxy S6 edge」をはじめとしたエッジディスプレイの端末も、持ちやすさを重視しつつ、見かけ上のベゼルを薄く見せるために採用された。
近年ではベゼルを細くする加工精度が向上したこと、エッジディスプレイでの誤作動や耐久性の問題などから、派手なエッジを持つ端末は少数となっている。
「iPhone X」の登場で“ノッチ”が脚光 有機ELの採用も増える
2017年ごろから、各社本格的にベゼルレスへとかじを切り始める。前年の「Xiaomi Mi Note」といった18:9比率の画面が現れる中、ホームボタンを廃して18.5:9比率となった「Galaxy S8」の登場を皮切りに、有機ELパネルを採用したスマートフォンが多く登場した。
「HUAWEI Mate 10 Pro」などの中国勢も縦長比率のディスプレイを採用する中、「iPhone X」の登場でハイエンド端末では一気に有機EL画面へと変わっていく。
2018年ごろはベゼルレスに至る過程で残ったインカメラをどう処理するのか。各社からさまざまな趣向を凝らした端末が現れた。有機ELパネルを採用したメーカーでは加工性の高さからiPhone Xでおなじみとなった「ノッチ」と呼ばれる切り欠けを作り、そこにインカメラを収めることで対応した。後にそのサイズをどれだけ小さくできるのかという点も注目された。
【訂正:2023年1月31日12時55分 初出時、「AQUOS R2」の画像に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
インカメラを隠すポップアップカメラや背面ディスプレイも登場
一方で、インカメラを隠してしまえばよい。このような考えで生まれた端末がポップアップカメラだ。電動タイプの「VIVO NEX S」や「OPPO Find X」が採用して話題を集めた。手動タイプは「Xiaomi Mi MIX 3」や「HONOR Magic 2」がある。ASUSの「ZenFone 6」「ZenFone 7/7 Pro」「Zenfone 8 Flip」では、アウトカメラが180度回転してインカメラとしても使えるフリップカメラを採用していた。
これらの端末はインカメラを考慮しないことで高い画面占有率をアピールしたが、物理機構のため故障のリスクが高く、防水性などに難があることから近年での採用事例は少ない。
思い切って背面にサブディスプレイを採用し、インカメラを廃して背面カメラで前後を兼ねるコンセプトの商品も存在する。ZTE nubia XやVIVO NEX Dual Displayなどがあるが、こちらも背面に画面を持つことによる制約が多くあること、使い勝手で劣ることから近年では見かけなくなった。
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