auとソフトバンクのデュアルSIMは「月数百円程度」を想定、eSIMにも対応
KDDIは2日に開催した2023年第3四半期決算説明会にて、「デュアルSIMサービス」導入の意図を説明した。
KDDIとソフトバンクは2日、緊急時にSIMを切り替えて使える「デュアルSIMサービス」を2023年3月以降に提供すると発表した。KDDIが2日に開催した2023年第3四半期決算説明会にて、同社の高橋誠社長がサービス導入の意図を説明した。
両社が提供するサービスは、スマートフォンのデュアルSIMサービスを設定して、災害時や通信障害時などに回線を切り替えて使えるというもの。両社のプレスリリースでは、詳細については今後発表するとしている。
2日のKDDIの決算説明会では、高橋誠社長がデュアルSIMサービスの内容について言及した。高橋氏によるとauやソフトバンクの携帯サービスのオプションとしての提供されるもので、例えばauの契約者なら、オプションとしてソフトバンクの通信サービスを使えるようになるという。
月額料金は「保険料のような形で、月数百円程度を想定している」(高橋氏)としており、低廉な料金で提供する意図を示した。また、実際に通信を利用する際は、利用量に応じた料金が発生するとしており、高橋氏いわく「従量料金は、少し高めに設定する」という。
デュアルSIMの方式としては、iPhoneで使える物理SIMカード+eSIMという組み合わせの他、物理SIMカード2枚のデュアルSIMも対応する方針としている。
デュアルSIMサービスを提供する際にキャリア間で通信サービスをやりとりする費用については「卸提供」の仕組みを活用。KDDIがソフトバンクの回線をまとめて借り受けて、オプションを契約したユーザーに提供する形態となっている。
KDDIの高橋社長によると、デュアルSIMサービスは2022年のKDDI網の通信障害をきっかけとして、災害や通信障害の対策の1つとして立案された。KDDIはソフトバンクとNTTドコモの2社に働きかけたという。そのうち、ソフトバンクとは宮川潤一社長とのトップ同士の交渉により、サービスの提供がいち早く決定したという。
楽天モバイルについては、エリアの一部でKDDI網のローミングサービスを利用しているため、通信障害時にバックアップとして機能しない可能性があるため、KDDIとしては今後楽天モバイルのエリア整備が進んだ段階で、交渉を進めていく方針という。MVNOとの連携については「今のところ、話をしていない」(高橋氏)としている。
関連記事
KDDIとソフトバンクが「デュアルSIMサービス」提供へ 緊急時の予備回線向け
KDDIとソフトバンクは、緊急時に互いの予備回線に切り替えて通信サービスを利用できる「デュアルSIMサービス」を2023年3月下旬以降に提供する。個人と法人を対象にしており、通信障害や災害などで通信ができなくなってしまった場合の使用を想定している。非常時の事業者間ローミングはどこまで有効なのか? 検討会で浮き彫りになった課題
7月に発生したKDDIの大規模通信障害を受け、総務省で事業者間ローミングの検討が始まった。ネットワークを運用するMNO(通信キャリア)に関しては4社とも賛同の意向を示している。一方で、現時点で有力視されているローミングの方式だと、検討会の発端になったコアネットワークで起こる大規模な通信障害には対処できない。なぜ「SIMカードなし」のスマホから緊急通報を利用できないのか?
7月2日から発生したKDDIの通信障害により、緊急通報が利用できない事態に陥りました。こうした状況を受け、障害発生時には緊急通報だけでも他社回線を使って発信できないのかという指摘も出始めています。一方、SIMカードのない状態で緊急通報は利用できないのでしょうか。通信障害の再発防止には限界も 緊急時の「ローミング」と「SIMなし発信」は実現するか
通信障害の原因究明と再発防止に乗り出しているKDDIだが、こうした事故は100%防げるとは限らない。規模の大小や時間の長短を問わなければ、1年に数回は起こること。その考え方を前提にしつつ、業界全体で影響を最小限に抑える取り組みをしていく必要がある。KDDIの通信障害で考えるべき「3つの課題」 障害を起こさないため/起きたときにどうすべきか
KDDIが7月29日に記者会見を開き、7月2日から4日にかけて発生した通信障害の原因と再発防止策について説明した。障害の原因は「人為ミス」と「復旧手順の確認不足」だった。障害発生後の告知手段についても課題が残った。他社からのローミングによる緊急通報も、検討すべき課題だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.