赤字続きの楽天モバイル 三木谷氏が「23年の単月黒字化を目指す」と豪語する理由(2/3 ページ)
楽天グループの2022年の最終的な損益は3728億円の赤字で、赤字額が過去最高になった。モバイル事業の赤字が大きな要因だが、三木谷浩史は2023年ないにモバイル事業の単月黒字化を目指す。その手法として大幅なコスト削減を敢行する構えだ。
解約の約70%が1GB以下やポイント狙いのユーザーだった
楽天モバイルの契約者数は、「0円」プランが廃止され、2022年11月には猶予措置のポイントバックキャンペーンも終了したことで約445万契約まで減少したが、2023年1月には約452万契約まで回復。課金ユーザーは前年同期比ではプラス294%と大きく増加している。
三木谷氏によると、解約するユーザーの約70%は1GB以下のユーザーやポイント狙いのユーザーだという。「(そういう層ではなく)楽天のロイヤルカスタマーを狙っていく。それによってデータのARPUも上がる。ちゃんと楽天モバイルを使っていただける方、あるいは楽天エコシステムにフレンドリーな方々になってきて、去年(2022年)とほぼ遜色ない新規加入になってきていると思っている」とコメントした。
楽天モバイルユーザーはデータ利用量が他社ユーザーよりもかなり多い。2022年12月時点で月間平均データ使用量が18.4GBと、他3キャリアの平均9.3GBより2倍近い。
ARPUも上昇している。楽天エコシステムへの貢献も含めると2510円、データ、コール、オプションといった通信のみのARPUは1805円まで上がった。三木谷氏は「ヘビーユーザーが増え、さらにリッチなサービスを付け加えてそれを使っていただき、もう少し売り上げが上がっていけばいいかなと思っている。また、5Gを使うとデータ容量がどんどん増えていく」とコメント。第1目標である3000円に向かって順調に推移しているとの認識だ。
楽天モバイルユーザーは契約後に楽天市場の購入額が49%増加
モバイル事業の業績は、2022年第4四半期の売上が1144億円、営業損益はマイナス1126億円と赤字が続いているが、改善傾向にある。「この第1、第2四半期で大きな収益改善を行っていく。第3、第4四半期になるとローミング費用がかなり軽くなるので、大幅な収益改善が行われる」との見通しを語った。
期待しているのは楽天グループの各サービスとのシナジーだ。楽天モバイルを契約した後、グループ内サービスの有料サービスが延べ1000万回以上利用され、楽天市場の購買額も、楽天モバイル契約者は1人当たり年間3万7683円、率にして49%増えている。影響は楽天市場だけではなく、楽天トラベルにおいては約50%売上が伸びているそうだ。
ただ、楽天モバイルがSPUプログラムに組み入れられたことが、まだよく認知されていないとの考えから、楽天モバイルを契約するとポイントがさらにたまりやすくなることを周知させていくという。
1月30日には法人サービスも正式に始まった。楽天グループは40万を超える法人とビジネスをしており、「お話をすると、だいたい4分の1は楽天モバイルにしますよと言っていただけている」といい、初年度は「最低でも100万回線くらいの契約を行いたい」と意気込んだ。まだサービスは始まったばかりだが、既に600超の顧客と契約しており、非常に好調だそうだ。
また、ワイヤレスだけでなく、光回線のバックボーンを利用したインターネットサービスプロバイダー事業も2023年度中の開始を予定している。
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