マイクロソフトのチャット検索対応「新Bing」を試してみた――グーグル危うし。検索における「ゲームチェンジャー」の予感:石川温のスマホ業界新聞
Microsoftが、出資先のOpenAIのAI音声モデルを活用した検索エンジンを「Bing」「Microsoft Edge」で試験運用し始めた。想像以上に出来が良く、Google優位の検索エンジン市場に大きな変化が起こるかもしれない。
マイクロソフトの検索サービス「Bing」とウェブブラウザ「Edge」を試すことができた。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年2月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
先日、大幅アップデートがかかり、OpenAIの大規模言語モデルを使った「チャット」「要約」機能を試すことができた。
新機能についてはウェイティングリストへの登録が必要で、順次、利用者が拡大されていくとされている。
Bingの検索窓に「会社を辞めて独立する際、失敗しない方法はありますか」と入れてみた。すると、すぐに該当するようなサイトを複数表示するのは、これまでの検索と変わらない。しかし、チャットが起動し、しばらく考えた後、パラパラと次のようなメッセージが表示されたのだ。
「会社を辞めて独立する際、絶対に失敗しない方法はありません。しかし、失敗のリスクを減らすために、以下のようなことを準備しておくことがおすすめです。
* 独立の目的とビジョンを明確にする。独立する理由や目標、自分の強みや得意なこと、競合との差別化などを考えて、自分の事業の方向性を決めることが大切です。
* 資金計画を立てる。独立するには、事業の開始費用や生活費などの資金が必要です。資金の調達方法や返済計画、収支予測などをしっかりと考えて、無駄な出費を避けることができます。
* 法人か個人事業主かを選ぶ。独立する際には、法人として会社を設立するか、個人事業主として始めるかを選ぶ必要があります。法人と個人事業主では、税金や責任の範囲、信用度などに違いがあります。自分の事業の規模や内容に合わせて、最適な形態を選ぶことができます。
* ネットワークを作る。独立すると、仕事の依頼や紹介、情報交換などに役立つネットワークが必要になります。独立する前から、同業者や顧客、専門家などとの関係を築いておくことができます。
会社を辞めて独立することは、大きなチャレンジです。失敗しないためには、事前の準備と計画が重要です。独立する際には、自分の目的と能力を見極めて、自信を持って進んでください」
日本語もしっかりとしていて違和感が全くない。きちんとリストアップされていて、本当にわかりやすいのだ。しかも、文末には「自分の目的と能力を見極めて、自信を持って進んでください」というアドバイスもあったりする。
これまでの検索は該当しそうなサイトが並び、そこから自分であれこれタイトルを選んで読んでいくというスタイルであった。新しいBingでは、まとめた状態でチャット形式で表示され、回答に対して、さらに深掘りして質問ができたりするのだ。
まさにAI、人工知能がここまで来たかと驚かされるのであった。
確かに「これって、情報として正しいのか」という疑問符はつく。ただ、新しいBingの場合、チャットの中にリンクがあり、情報元のサイトにも飛べるようになっている。詳しいことを知りたかったり、真偽が怪しいときはサイトに飛んで判断することになる。
新しいBing、スマートフォンやスマートスピーカーなどに応用したら、恐ろしいぐらいにキチンと会話できるスマートフォンやスマートスピーカーになるだろう。マイクロソフトがスマートフォンとスマートスピーカーをやっていないのが、何とももったいない。ただ、エンジンを他社に提供するというのはあり得そうだ。その時、グーグルに提供することは考えにくい。アップルとタッグを組むなんてことがあったら、面白そうだ。
もちろん、グーグルが得意としてきた検索サービス上での広告ビジネスも大打撃を与える。その点、マイクロソフトは広告事業に依存していないだけに、新しいBingを思いっきり、ウェブ上に展開できる。
このままいくと検索サービスにおいてゲームチェンジが起きるんじゃないかと思えるくらいの衝撃があった。
個人的にはWeb3なんかよりも、新しいBingのほうが、よっぽどインターネットを変える可能性があるんじゃないかという気もしている。
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