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スマホ通話料金が30秒8円 G-Callが格安で電話サービスを提供できるワケMVNOに聞く(1/2 ページ)

継電話の仕組みを使い、古くから格安の音声通話サービスを提供していたのがジーエーピーの提供する「G-Call電話」だ。2022年には、通話料を30秒8円(非課税)と業界最安レベルに値下げした。同社は、IIJから回線を借りる形で、MVNOとしてもサービスを展開している。

 中継電話サービスに接続するためのプレフィックス番号を自動で付与する「オートプレフィックス」の導入で、2021年以降、MVNO各社が続々と音声通話料を引き下げている。事業者によって価格は異なるが、大手キャリア(MNO)の半額程度の30秒11円(税込み)を打ち出す会社は多い。従量制の価格が下がっただけでなく、5分や10分など、時間を区切った通話定額や、完全かけ放題のオプションを導入するMVNOも増えている。MVNOというとデータ通信に注目が集まりがちだが、音声通話も古くて新しいテーマの1つといえる。

 そんな中継電話の仕組みを使い、古くから格安の音声通話サービスを提供していたのがジーエーピーの提供する「G-Call電話」だ。その歴史は、スマートフォン以前のフィーチャーフォン全盛期までさかのぼることができる。当時は、電話帳にプレフィックス番号をつける形だったが、スマートフォンが主流になり、サービスをアプリ化。2022年には、通話料を30秒8円(非課税)と業界最安レベルに値下げした。


日本最安をうたう30秒8円の通話が可能な「G-Call電話」

 また、同社は、IIJから回線を借りる形で、MVNOとしてもサービスを行っている。「G-Call SIM」がそれだ。料金的にはIIJmioのギガプランと大きくは変わらないが、1つのアカウントでG-Call電話もまとめて契約できる利便性が魅力といえる。では、同社はどのような方針でサービスを提供しているのか。代表取締役社長の前田浩司氏と副社長の江川光徳氏、シニア・リーダーの鈴木崇文氏に話を聞いた。

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格安国際電話として固定電話向けサービスからスタート

―― 最初に、G-Call電話の成り立ちを振り返っていただけないでしょうか。

江川氏 1998年に、格安国際電話として固定電話でスタートしたのがG-Callです。最初はフリーダイヤルのようなところに電話をかけたあと、国番号を入れる形で始めました。その後、提携先を切り替えつつ、かけ方も更新しながらサービスを提供してきました。当時、米国への電話は150円(3分)ぐらいだったところを、80円ほどでスタートしました。その価格も、値下げ競争でどんどん下がっています。

 携帯電話と国内電話に参入したのはその後で、2000年ごろにソフトバンクと提携し、今の形でスタートしました。現在は携帯電話が国内の売り上げのメインですが、当時は国際電話が伸びていた。その国際電話の売り上げが2005年にピークになりました。当時は、日本人を相手にしていたので、欧州や米国に強かった。日本発欧州のトラフィックのうち、3%ぐらいがうちを経由していたほどで、ボリューム的にはかなり大きかったですね。

 ただ、それも2005年をピークに下がっていきました。そのころの携帯電話は1分で30円ぐらいでしたが(注:ドコモが2001年に導入した「FOMAプラン39」でFOMA発FOMA着の場合の料金が税別で30秒14.5円)、うちが30秒10円(非課税)というプランをやり出したことで、瞬間的にトラフィックが戻ってきました。キャリアの音声定額サービスが始まってからはまた元に戻っていますが、直近では30秒8円(非課税)とさらに安くしています。


左から代表取締役社長の前田浩司氏、副社長の江川光徳氏、シニア・リーダーの鈴木崇文氏

―― フィーチャーフォンのころは、「通話パック」のような形で無料通話がついた料金プランが一般的でした。ただ、スマートフォンの普及に伴い、通話料は基本的に一択になり、音声定額のオプションをつけるかつけないかという選択に変わっています。この影響はどのように出たのでしょうか。

江川氏 キャリアは、通話ではなく、通信でもうける形に料金プランが変わっていきました。逆に通話はシンプルになり、(G-Call電話との)比較がしやすくなりました。確かに、無料通話がついていたときには売り方が難しかった。プレフィックスをつけてしまうと、無料通話が残っていても使えないですからね。料金体系がシンプルになったことで、弊社のメリットが出てきたと思います。

―― もう1つ、スマートフォンだとアプリとして提供できるのはメリットのようにも思えます。

江川氏 アプリを出したのは、スマホが出てから(普及し始めてから)1、2年後のことです。それまでは、電話番号の頭にプレフィックスを付与するアプリがフリーで出ていたので、知っている人はそれを使っていました。ガラケー時代には、電話帳にプレフィックスの番号を足してくださいと案内していましたが、今はそれをやってしまうと、逆に着信があると分からなくなってしまいます(笑)。


G-Callアプリを使えば、手動でプレフィックス番号を付けずにG-Call電話を利用できる

―― 今、G-Call電話を使っているユーザーには、どのような方が多いのでしょうか。

江川氏 特にこういった層が多いというのは分かりませんが、基本はなるべく電話代を節約したい方だと思います。特に大手キャリアの場合、通話料が30秒22円ですが、うちは消費税もかからないので30秒8円で、相当なダウンになります。かけ放題をつけている方も多いとは思いますが、そこまで使わない方もいるのではないでしょうか。

―― そもそもとして、なぜここまで安くできているのかの仕組みを教えていただけますか。

鈴木氏 われわれはたくさんの電話回線を持っている法人と見なされて、割引が効いています。

前田氏 大口割引のようなものですね。当社はある大手キャリアに何万回線と登録していますが、そこで使われた分の請求は、そのキャリアから弊社に来ます。ある意味、そこで大口割引をもらっているようなものですが、代わりに、一番面倒な(ユーザーからの)代金回収を請け負っています。電話番号ごとにお客さんに料金を請求して、回収する。キャリアは代金回収のリスクがなくなります。われわれがやっているのは、そこですね。

江川氏 (技術的には)MVNOが使っている中継電話の仕組みと一緒です。

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