サブスク契約で最大20%還元 ドコモ「爆アゲ セレクション」の魅力と課題:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTドコモは4月1日から、コンテンツサービスの料金に対しポイントを還元する「爆アゲ セレクション」を導入する。ドコモ自身がサービスの契約窓口のような形になるため、ユーザー側は支払いを一本化することが可能。コンテンツを取り扱うサービスは3キャリアの中では後発のため、課題もある。
コンテンツバンドルは後発のドコモ、ラインアップの拡充と独自性が鍵
こうしたサービスは、日本だけの専売特許ではなく、グローバルでもキャリアの主な業務になりつつある。エリクソンは、2022年11月に発表した「エリクソンモビリティレポート」で、コンテンツのセット販売が世界各国のキャリアでトレンドになっていることを報告。同レポートを解説したエリクソン・ジャパンのCTO、藤岡雅宣氏も「コンテンツアグリゲーターとして、バンドル販売が主流になっている」と語っている。
実際、ドコモはコンテンツサービスのセット販売では後発だ。先に挙げたKDDIは2018年からNetflixパックを展開しており、約5年の間にバンドルするコンテンツを拡大してきた。今ではNetflixだけでなく、「Apple Music」や「Amazonプライム」「GeForce NOW」といった海外のサービスまで含めた「使い放題MAX 5G ALL STARパック」に加え、国内の放送局が運営する動画配信サービスをまとめた「使い放題MAX 5G テレビパック」まで用意している。
ソフトバンクも、2021年に開始した回線契約者向けのサービス「ソフトバンクプレミアム」に、「エンタメ特典」がある。エンタメ特典は、対象サービスを契約すると、その10~20%をPayPayボーナスとして受け取れるというもの。仕組みだけでなく、還元率も爆アゲ セレクションに近い。当初はNetflixやDAZN、「ABEMA」など計6サービスで始まったエンタメ特典だが、その後GeForce NOWや「SPOTV NOW」や「ベースボールLIVE」が加わり、現在では8サービスまでラインアップが拡大している。
ソフトバンクのエンタメ特典は、対象の料金プランが「メリハリ無制限」だけでなく、段階制プランの「ミニフィットプラン+」や、ケータイからの移行の受け皿となる「スマホデビュープラン+」まで含まれている。その意味で、料金プランのアップセルより、キャリア決済の利用促進や回線の解約抑止の方が主目的といえそうだが、いずれにしても、コンテンツサービスとのセット提供をドコモより早く手掛けているのは確かだ。
KDDIやソフトバンクは先行している分、コンテンツの幅が広い。それらと比べてしまうと、ドコモの爆アゲ セレクションは、どうしてもラインアップが手薄に見えてしまう。サービス開始当初のためか、現時点では映像系サービスにフォーカスしているため、他社のように音楽のストリーミングサービスはYouTube Premiumだけにとどまっている。KDDIやソフトバンクはGeForce NOWを用意しているが、爆アゲ セレクションにはゲームも存在しない。
爆アゲ セレクションに用意された今の5サービスはあくまで「第1弾の5つ」(野田氏)で、今後もコンテンツは拡大していく方針だ。ただ、ドコモは後発であるがゆえに、その対応は急務といえる。Disney+やLeminoといった、ドコモにしかないサービスが選択肢に入っているのは魅力だが、このような独自性ももっと出していく必要がありそうだ。
関連記事
NetflixやYouTube Premiumなどを合算払いすると最大20%還元! ドコモが「爆アゲ セレクション」を4月から提供
NTTドコモが、指定の有料サブスクリプションサービスの料金を携帯電話料金との一括払いにすると「dポイント」を付与するサービスを開始する。これに合わせて、現在は非対応の「Netflix」と「YouTube Premium」の合算払いにも対応する。ドコモがdTVを「Lemino」に刷新 月額990円に値上げも“コンテンツ約2倍+感情UI”で勝負
NTTドコモが、動画配信サービスのdTVの後継サービスとして「Lemino」を4月12日から開始する。コンテンツ数を約2倍の18万本と拡大し、UI(ユーザーインタフェース)も刷新。楽しくコンテンツを探せて新しい出会いを実現するようなサービスを目指すという。実は一番安い 「DAZN for docomo」が既存ユーザーの料金を据え置きにした理由
スポーツ専門の動画配信サービス「DAZN」が値上げとなった。ドコモの「DAZN for docomo」も、2月14日以降に契約すると月額3700円となるが、既存ユーザーの料金は据え置き。良心的な対応だと好評だが、なぜこのような決断をしたのか。HuluやNetflixの利用で10%還元 ソフトバンクが「エンタメ特典」を開始
ソフトバンクは、3月17日からさまざまな特典が受けられる「ソフトバンクプレミアム」を提供開始。まずは動画・音楽配信サービスの月額料金の最大20%相当をPayPayボーナスで還元する「エンタメ特典」から実施する。「使い放題+エンタメ」プランを強化するau 5Gの利用拡大だけでない、もう1つの狙い
KDDIが、DAZNをはじめ、エンタメサービスをセットにしたプランを強化している。いずれのプランも、使い放題MAXと各コンテンツサービスをバラバラに加入していくより、トータルの料金は安くなる。こうしたパックプランには、5Gの利用シーンを拡大するという狙いがある。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.