通信障害が起きたら別回線に NTTコム、1枚で複数回線対応のIoT向けSIMを開発
NTTコミュニケーションズは1枚のSIMで複数のキャリアを利用できる「Active Multi-access SIM」の開発に成功。主にIoTへの利用を想定したデータ通信用SIMで、6月~9月(予定)にトライアル提供を行う。
NTTコミュニケーションズは、3月28日に「Active Multi-access SIM」の開発成功を発表した。
本SIMは主にIoTへの利用を想定したデータ通信用SIMで、2つのキャリア(NTT Com/Transatel)へ接続可能。通信状態の監視や切り替えに関する機能を内包しているため、端末側に監視や切り替え機能が不要だという。
一定の条件下でメインのキャリアの通信障害を検知すると、予備のキャリアに自動で切り替え、一定時間経過後はメインのキャリアへの切り替えを自動で行う。多数の汎用(はんよう)的な端末でSIMを利用している場合でも、手動でキャリアの切り替えを行う必要はない。
ETSI/3GPPで標準化された仕組みで動作し、標準に準拠したモバイル端末(SIM Toolkitが動作するもの)であれば動作可能。標準で規定されたコマンドなどの一部または全部に対応しておらず正常に動作しない機種があるため、ユーザー側で動作確認を行える枠組みや、動作確認済機種リストの公開などを検討している。
SIM内で通信に必要となる情報を書き込む通信プロファイル領域と、アプリなど通信以外の情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理する独自技術「アプレット領域分割技術」を活用。通信以外の機能をパートナー企業などが独自に実装できるようにしてあり、SIM内の情報へのアクセスに関して安全性を高めて通常SIMに求められる耐タンパ性を確保したという。
6月~9月(予定)にトライアルを行い、2023年度内に「IoT Connect Mobile Type S」で商用サービス提供を予定。トライアルへの参加は受付中で、応募者多数の場合はトライアルを待つ、または断る場合がある。
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