ライバルはiPhoneではなくデジタルカメラ 中国4メーカーの“カメラフォン”を比較する:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
スマートフォンのカメラはメインの広角カメラが高画素であるのが一般的だ。ところが中国メーカーのフラグシップクラスのスマートフォンは5000万画素クラスのカメラを3つ搭載することが当たり前になっている。「トリプルメインカメラ」を搭載する各社のスマートフォンを比較してみた。
円形の台座デザイン、カメラメーカーとのコラボ、ピクセルビニングにも注目
スマートフォンカメラの画素数は高ければ高いほど高画質と思われがちだが、センサーの大きさは決まっているため、1つ1つの光を受けるピクセルの大きさは高画素化により小さくなってしまう。
例えば、暗いところでは小さいピクセルでは光を受けにくくなる。そこで各社のスマートフォンはカメラを起動してそのまま撮影すると、複数ピクセルを1ピクセルにまとめる「ピクセルビニング」により、1200万画素相当で撮影される。光が十分ある場合などはハイレゾモードに切り替え5000万画素で撮影する、といった使い分けもできる。
他のスマートフォンカメラの中にはソフトウェアで画質補正をうまく行うものもあるが、5000万画素級のカメラなら、ハードウェア性能がそもそも勝っているため、より美しい写真が撮影できるだろう。
ところで今回紹介したモデルのうち、Xiaomi 13 Proを除く他の4モデルは背面カメラのデザインが似通っている。スマートフォンカメラのデザインといえば、iPhoneのように左上側にカメラをまとめて搭載するものが多いが、最近のカメラはサイズが大型化しているためにその配置ではバランスの悪いものとなってしまいがちだ。そこで最近流行し始めているのが、背面の上中央に丸い台座を設置して、その中にカメラを等間隔で配置するデザインだ。
このデザインは背面から見たときにアナログのカメラ風に見えないこともないし、両手で本体を保持するときも左手の指先がレンズにかかってしまうことも防ぎやすい。革風の表面仕上げモデルならその雰囲気はカメラそのものだ。
Xiaomi 13 UltraやOPPO Find X6 Proはカメラ風のデザインにより近づけており、Find X6 Proのカメラの台座部分にはまるで交換レンズを合わせるためのような赤い点もプリントされている。各社のカメラフォンは持っているだけでデジタルカメラを使っているような気分になれるのだ。おのずと写真撮影にも気合が入るかもしれない。
また、XiaomiはXiaomi 13 Ultra本体に取り付けるカバーに、グリップとレンズフィルターアダプターをセットにしたアクセサリーも別売している。グリップを付ければ片手でもしっかりと本体を保持できるし、フィルターは67mm径に対応するので豊富なデジカメ用のものが装着できる。グリップやフィルターを取り付けた状態ではスマートフォンとして使いにくくなるが、Xiaomi 13 Ultraとこのアクササリーキットを買うユーザーはカメラとして使うことを優先するだろう。
各社は老舗のカメラメーカーとも協業を行っており、Xiaomiはライカと、OPPOはハッセルブラッド、vivoはツアイスと提携している。Xiaomiのモデルはライカモードでの撮影が可能で、ライカ風フィルターも搭載されている。OPPOはハッセルブラッド固有の「XPan」モードでの撮影も可能だ。そしてvivoはツァイスの名レンズの数本のボケフィルターを選んで使うこともできる。
高級一眼レフカメラにはまだ及ばないものの、スマートフォンのカメラ性能は少しずつカメラの領域に迫りつつあるのだ。もはやライバルはiPhoneではないといえるほどだ。
今回紹介したスマートフォンなら、どれを選んでも今までのスマートフォンにはないカメラ体験を得られるだろう。残念ながら日本での発売は望めないが、Xiaomi 13 UltraとHONOR Magic5 Proはグローバル販売も行われるため、海外旅行時に現地の家電量販店などで見かけたら、ぜひカメラ機能を試してほしい。
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