NTTドコモ、今夏までにネットワーク品質の改善を約束――なぜ、他社よりも5G展開が遅れてしまったのか:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモの携帯電話において、局所的に「全然データ通信ができない」という事象が発生している。4月26日に行われた説明会では、その原因として同社が抱える“課題”が浮き彫りとなった。
NTTドコモは4月26日、ネットワーク戦略に関する説明会を開催した。
「ネットワーク戦略」というとポジティブに聞こえるが、要はここ最近、ネット上で不満の声が上がっている、ターミナル駅周辺での「データが流れてこない」という通信品質の改善に向けた取り組みが明かされた。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年5月6日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
NTTドコモでは5G展開の過渡期における課題として「トラヒックの増大」「再開発等によるエリア変動」「瞬速5G基地局設置場所の確保」「特定の周波数が逼迫」という原因を挙げた。
JR渋谷駅などは再開発が進み、基地局が撤去されたり、新しいビルが建設されており、人流が変動している。また、屋内などでは800MHzがつながりやすくなるため、トラヒックが集中してしまい、逼迫するという。NTTドコモでは瞬速5G基地局を展開してトラフィックを5Gに流すような設計を試みているが、いまのところ、あまり上手くいっていないようだ。
ソフトバンクやKDDIを見ていると、例えば、Massive MIMOを4Gのころから、ワイヤレスシティプランニングやUQコミュニケーションズが提供。さらに4Gの周波数帯に余裕があるため、DSSといった4Gの周波数帯に5Gを混ぜる技術によって、5Gエリアの広がりを出している印象がある。
かつて、NTTドコモは4Gの周波数転用に対して「なんちゃって5Gでは優良誤認につながりかねない」と慎重な態度を見せていた。結局、周波数転用をすることになるのだが、郊外などトラフィックの少ないところに限っているようで、思うように転用できてないと思われる。
ソフトバンクを見ていると、エリクソンやかつてはファーウェイといった海外ベンダーとメインに付き合っていることもあり、海外の技術トレンドや運用ノウハウをうまいこと取り込めている印象がある。
また、KDDIのネットワークセンターを取材すると、巨大なモニターにSNSのリアルなつぶやきが表示されており、自社だけでなく他社のユーザーがどういったネットワーク品質に対する不満を述べているか、つぶさに確認できるようになっている。
NTTドコモは、付き合いの深い国産ベンダーとともに独自にネットワークを運用している感が強く、自分たちの技術や運用に自信があるのだろうか、独りよがりのネットワーク運用になっている気がする。
NTTドコモとしてはOREXを立ち上げ、Open RANを世界各国に広めようとしている。MWCで井伊基之社長にインタビューした際は「NTTドコモは4Gを運用しつつ、5Gを導入しているノウハウがある。この知見をOREXに生かしたい」と話していた。
しかし現状、4Gから5Gへの移行に苦労しているわけで、これから国内の5Gネットワークをしっかりと運用して「NTTドコモのノウハウがあれば安心して導入できる」という証明をしていく必要があるだろう。
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