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「Galaxy S23 Ultra」のカメラを徹底検証 「100倍ズームで月もキレイに撮れる」は本当?荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(2/3 ページ)

2023年5月現在、サムスン電子のGalaxyシリーズで最もハイエンドなカメラを搭載するのが「Galaxy S23 Ultra」だ。なんと言っても2億画素のメインカメラが夜に強く、望遠カメラが10~100倍まで寄れて、月を見つけると自動的に撮影モードが切り替わる。「ここまでやるか」と思うほどカメラを強化しているのだ。

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2億画素の実力とその意味は?

 と、10倍の望遠カメラを堪能したところでいつものガスタンクから2億画素の話へと行きたい。

 超広角は13mm相当。1200万画素だ。


13mm相当の超広角。発色も描写も文句なし。暗く写りがちな木々もいい明るさに収まっている

 広角カメラは23mm相当で2億画素だが、基本的に「16画素を1つにまとめて」使う設計になっているので割り算すると、約1250万画素。それを1200万画素分の4000×3000ピクセルの画像として保存する。

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 天候に恵まれたこともあって、色も爽やかで鮮やかですばらしい。


階調も滑らかでダイナミックレンジも広く感じる写り

 でも結局1200万画素で使うなら、そこまで画素数を上げる必要があるのか。その答えの1つはAF性能にある。「スーパークアッドピクセルオートフォーカス」(片仮名で書くとよりすごそうだ)。細かく分けた画素を使って像面位相差AFを仕掛けるのである(例えば、AQUOS R8 ProのOcta PD AFもその一種)。


より高速で暗所に強いAFが実現されているという

 続いて3xと10x。この2つの望遠カメラの画素数は1000万画素(そこから1200万画素の画像を作っている)だしセンサーサイズはちょっと小さいしで基本性能自体は超広角や広角カメラには劣るけれども(実際、発色や階調はに差が出ている)、光学ズームならではの解像感がある。


3xの望遠でガスタンク。1x時に比べるとちょっと階調が浅くなっているのが残念かも

圧巻の10x望遠。細いワイヤのディテールもしっかり出ている

 さらに、S23 Ultraでは「スペースズーム」と称して30xと100xというべらぼうなデジタルズームにも対応している。

 30xになると画面左上に全体像が表示されてその中で実際に撮影されるエリアを示してくれるので撮りやすい。


ズーム倍率をある程度以上上げると、フレーミングを安定させるためのガイドが表示される。これはよい

30xで撮影。690mm相当の超望遠であるがディテールもさほど不自然にならずにがんばっている

最強の100倍望遠(2300mm相当の超超望遠だ)。さすがにここまでくるとかなり塗り絵っぽくなるけど

 さすがに100xともなるとディテールがペンキで塗ったようになるので、これは月撮影用といっていいかも。通常の利用では快晴時に30x、が実用面では限界かな。

 さてちょっと話は戻って2億画素の広角カメラ。このカメラを使うときは別途5000万画素モードと2億画素モードの2つが用意されている。

 簡単にいえば4画素を1つにして使うのが5000万画素モード(2億画素の4分の1サイズだ)、フルに使うのが2億画素モードだ。


1xの時に限り、選択肢に「50MP」と「200MP」が現れる

5000万画素(50MP)で撮ったガスタンク。階調もディテールも不自然さがなく高画質

2億画素(200MP)で撮ったガスタンク。ちょっとディテールが甘くてダイナミックレンジもちょっと狭い

 もちろん2億画素モードの方が細かいところまで描写されるが、センサーの画素数が2億画素とはいえ、4×4の16画素ずつ同じ色の画素が固まるという特殊な仕様。同じ色ばかり集まっていると、ディテールの情報量が足りなくなる。それをなんとかするために「リモザイク」という処理をかけているわけだが、4×4だとかなり難しいようで、実用的なのは5000万画素モードかなと思う。

 ちなみに、1200万画素の2xズームより5000万画素で撮った方がディテールはしっかり出ていたので、ひと手間かけられるなら5000万画素モードで撮って、あとから必要な部分をクロップして使うのもいい。

 こちらは50MPモードで撮った噴水の部分拡大。これだけピシッと撮れてくれるのである。


噴水の水を止めて撮ろうと、1/12000秒の高速シャッターを使って5000万画素で撮影してみた。アプリはExpert RAWを使用

 ちなみに、撮ったのは「Expert RAW」というマニュアル撮影やRAW撮影ができるアプリ。


Expert RAWというRAW撮影やマニュアル撮影が可能なアプリ

 噴水を見つけたので水の動きを止めようとシャッタースピードを調節してマニュアル撮影ができる「Expert RAW」アプリを使ったのだ。

 このアプリでは5000万画素モードでのRAW撮影も可能だが、2億画素モードのRAW撮影はできない。リモザイクの処理が重いのだろう。

 Expert RAWではDNG形式(Adobeが開発したRAWデータの形式)で保存されるので、Lightroomなどアドビのアプリの他、さまざまな写真現像アプリで現像できる。

 このExpert RAWアプリでは多重露光撮影や天体撮影といった特殊撮影もできる。


連続して撮影した2枚を重ねる「多重露光」撮影

 特に天体撮影モードは面白い。スカイガイドをオンにすると、該当する方向に見えるはずの星図を重ねて表示してくれるのだ。


このように星座を教えてくれる。Carinaはりゅうこつ座、Puppisはとも座

 長時間露光が必要なので三脚あるいはそれに相当するアイテムが必要だが、なかなか面白い趣向だ。

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