ドコモの新料金「irumo」を冷静に分析 「分かりにくい」「改悪」以上に大きいインパクト:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモが7月1日から新料金プランを提供する。小容量プラン「irumo」の狙いは、UQ mobileやY!mobileといった、他社のサブブランドに対抗することだ。eximoからは、ユーザーのデータ使用量が増加するタイミングに合わせ、ARPUを上げていきたい狙いが透けて見える。
NTTドコモは、7月1日に新料金プランの「irumo(イルモ)」「eximo(エクシモ)」を導入する。irumoは、低容量に特化した新ブランドで、同日に吸収合併するNTTレゾナントのOCN モバイル ONEからのくら替えといえるサービス。対するeximoは、現行の「ギガホ」「ギガライト」からなるギガプランを1つに統合したような形の料金プランだ。
ドコモは、新料金プランのirumo、eximoを発表した。irumoは、NTTレゾナントのパーソナルサービス事業部でOCN モバイル ONEを担当していた木藤暢俊氏(写真左)が紹介し、後継であることを印象づけた
狙いは、UQ mobileやY!mobileといった、他社のサブブランドに対抗することだ。eximoからは、ユーザーのデータ使用量が増加するタイミングに合わせ、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)を上げていきたい狙いが透けて見える。ここでは、ahamoと合わせて3ブランド体制になるドコモの料金戦略を解説していきたい。
予告されていた低容量プランの新設、狙いはUQ、Y!への完全対抗
5月に開催されたNTTの決算説明会で、ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏は「低容量のエコノミー“プラン”を強化する」と語っていた。その後、5月25日はNTTレゾナントの吸収合併を発表。同社が運営しているOCN モバイル ONEを、ドコモ自身のサブブランドに仕立て直す可能性が高まっていることは、本連載で指摘していた。irumoは、そこに対するドコモの回答ともいえる。
ドコモはirumoを「料金プラン」と呼んでいるが、その建て付けはahamo同様、サブブランドに近い。オンライン契約の場合には専用サイトを介さなければならず、ドコモメールもオプション扱い。ahamoより数は少ないが、現行の料金プランから引き継げないサービスもある。加えて言えば、イメージキャラクターには、OCN モバイル ONEと同じ、女優の石原さとみさんを起用している。こうしたマーケティング手法は、他社のサブブランドと共通している。
料金体系そのものも、サブブランドに近い。データ容量は0.5GB、3GB、6GB、9GBの4本立てだが、0.5GBはやや特殊な位置付けのため、これを除けば実質的には松竹梅の3本立てにしている他社と同じといっていい。ドコモが主力と考えている3GBプランは、各種割引適用前で2167円(税込み、以下同)。dカードで料金を支払うと187円、ドコモ光などとのセット割で1100円の割引を受けることができ、最大で880円まで料金が下がる。
これに最も近いのは、ソフトバンクのY!mobileだ。同社の「シンプルプラン」は、3GBのプランSがirumoとほぼ同じ2178円。光回線をセットで契約すると1188円の割引が適用され、料金は990円まで下がる。わずか110円差だが、条件をそろえて比較した場合はirumoの方が安価だ。同様に、UQ mobileもデータ容量が4GBの「ミニミニプラン」を、近い価格帯で提供している。割引の仕組みなどに違いはあるが、irumoの3GBプランは、UQ mobileやY!mobileへの対抗とみて間違いない。
ドコモがirumoを立ち上げた背景は、UQ mobile、Y!mobileといった低価格帯のブランドにユーザーが流出していたことがある。ドコモの営業戦略部長 山本明宏氏は、記者からの「少量が目立っていたのか」という質問に対し、「それはあった。小容量に対応する安いプランがないという声は頂戴していて、そういった方々のポートアウトもあった」と語っている。
ahamoは500万契約を超えて好調な一方で、低容量プランがギガライトしかなかったのはドコモにとっての弱みになっていたというわけだ。他社のサブブランドとは異なり、3GBより上が6GB、9GBとやや小刻みなのも、中容量はahamoにリソースを集中させているからだとみられる。irumoの位置付けは「定義にもよるが、サブブランドとしては検討していない」というものの、実態としてはそれに近いといえそうだ。
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