マイナンバーカードの問題は大半がヒューマンエラー――早急にスマホ搭載して、日本のDX化を進めるべき:石川温のスマホ業界新聞
昨今、マイナンバーカードを巡る「問題」を耳にしない日はない。しかし、そのほとんどがマイナンバーカード自体のトラブルではなく「ヒューマンエラー」であり、マイナンバーカード自体に問題があるとする論調は理解に苦しむ。いっそのこと、マイナンバーカードのスマートフォンへの搭載を急いで、より便利に使えるようにしてしまった方がいいのではないだろうか。
昨今のマイナンバーカードに対する反発がさっぱり理解できない。なかにはメディアが「マイナンバーカードを返納しよう」と煽っていたりもするのだ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年6月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
ここ最近のマイナンバーカードに対するトラブルはほとんどがヒューマンエラーによるものだ(富士通によるコンビニでの別人の住民票が出力されるというトラブルは除く)。
全国民のアナログ情報をデジタルに置き換えるのをすべて人力でやっていれば、少なからずミスは出るというものだ。デジタル機器の操作に不慣れな人たちが膨大な情報量を打ち込む作業を無理矢理させられていたら、ミスは出ておかしくないだろう。
まさに、いまはアナログからデジタルへの切り替え作業時なので、多少のミスは出るし、これが完全にデジタル化されれば、こうしたミスは起きないはずだ。もちろん、ミスを発見し、自動で直すプログラムも必要だろう。
マイナンバーカードへの反発のなかには「停電になったらカードリーダーが使えなくなる。保険証は紙のままにしておくべきだ」なんて、トンチンカンな意見もある。停電になったら、そもそもパソコンからデータベースにアクセスはできず、紙の保険証であっても何の役にも立たない。
一方で紙の保険証によって、年間1000億円規模で不正利用による被害が起きているという。紙の保険証であれば他人になりすまし、複数の診察を受け、薬をもらい転売するということも不可能ではない。なぜ、そうした不都合には目をつぶり「紙の保険証を残せ」と主張するのか。
アップルには早期にiPhoneでマイナンバーカードを搭載してもらい、ICカードではなく、すべてスマホ上でマイナンバーカードを扱えるようにすべきではないか。
一部では「マイナンバーカードは5年間の有効期限が設定されており、マイナ保険証にすると、5年後には無保険者が大量に出てしまうのではないか」という懸念が出ている。
これもスマホ対応にしてしまえば、スマホからオンラインで更新が可能になるはずだ。「高齢者施設に入っているシニアが更新に行けない」と言う声もあるが、オンライン更新なら施設から一歩も出る必要がない。
スマートフォンであれば、顔認証や指紋認証で落としても他人に使われる心配がない。紛失したときは場所を探せるし、いざという時は遠隔消去もできる。
津波などの災害に遭い、スマートフォンを探し出すことができなくても、データはクラウドに上がっており、簡単に復活させることができてしまう。
「スマホ搭載だとシニアが使いこなせない」というが、そのためにキャリアショップは全国に存在する。
スマートフォン搭載であれば、マイナンバーカードの利用に必要な暗証番号も、そんなに入力を求められることもないだろう。それこそ、シニアに優しくなるはずだ。
マイナンバーカードはスマートフォンに搭載してこそ、威力を発揮する。国民はもうちょっと冷静になって欲しいと願うし、こんなことでは日本は世界からDXで大きく取り残されることになりそうだ。
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