Rakuten最強プランのデータSIM提供開始、ワンクリックで申し込み可能だが法的には問題ない?(3/3 ページ)
楽天モバイルが7月3日、「Rakuten最強プラン」(データタイプ)の提供を開始した。あわせて、同プランをワンクリックで申し込めるようにした。その狙いを広報に聞いた。
法的には問題ないのか
ワンクリック申し込みの実現もあり、手軽に申し込めるようになったRakuten最強プランのデータタイプだが、「本人確認書類を提示しない」契約方法ゆえに携帯電話不正利用防止法に違反しないのか? という疑問点が挙がる。
携帯電話不正利用防止法は、匿名契約の携帯電話がオレオレ詐欺、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺などの犯罪に利用されていたことを受け、2006年4月に施行された法律だ。携帯電話の不正利用や転売を防ぐことを目的に、携帯電話端末の購入、通信サービスの契約などにおいて、マイナンバーカード(個人番号カード)や、運転免許証などを用いた本人確認が義務付けられている。
NTTグループや、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなど、日本の電気通信事業者が加盟する業界団体、電気通信事業者協会(TCA=Telecommunications Carriers Association)のサイト内の「事業者の取り組み」という欄にもこのような記載がある。
音声通話が可能な端末のみならず、データ通信カード等の非音声端末の契約等にあたっても、匿名性の排除を徹底するため、原則音声通話が可能な端末の契約等と同一方法による本人確認等の手続きを実施します。
一方で、Rakuten最強プランデータタイプなどのデータ通信専用SIMについては、携帯電話不正利用防止法の対象外となっており、各通信事業者は音声通話付きのSIMと同様の本人確認を自主的に行っている。実際、「データ通信専用 SIM における本人確認についての中間報告書」には次のように書かれている。
データ通信専用SIM(以下、データ通信専用のSIM及びSMS機能とデータ通信機能のみがついたSIMを指す。)は、携帯電話不正利用防止法の対象外である。一方、既存の携帯電話事業者では、データ通信専用SIMについても、携帯電話不正利用防止法と同等の本人確認を実施しており、また、多くのMVNOでも、自主的に本人確認を実施している。
この点について、楽天モバイル広報は「TCAの取り組みには、原則同一方法とある。そのため、目的に沿った範囲でTCA含めて関係省庁へ事前に共有しており、サービス開始後に、関係省庁を含めてTCAメンバーに説明した」としており、法律に反するものでもなければ、業界の自主的なルールから大きく外れているわけでもない、ということになる。
【訂正:7月5日19時25分】初出時、楽天モバイルからTCAへの事前の相談があった旨を記載しておりましたが、掲載後に楽天モバイルから訂正の案内がありましたので、当該箇所を訂正いたしました。
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