楽天、825億円の赤字ながら収益改善をアピール 「新ローミング契約は財務の安定性に貢献」(1/3 ページ)
楽天グループの2023年1月から3月の国際会計基準による連結業績は、825億円の赤字だった。前年同期比と比べて赤字額は縮小したが、携帯電話事業で基地局設置などの先行投資が継続中で、それが負担となった形だ。KDDIとの新ローミング契約が「大幅な顧客体験向上とコストコントロールに大きく寄与する」という。
楽天グループは5月12日、2023年度第1四半期決算説明会を行った。2023年1月から3月の国際会計基準による連結業績は、825億円の赤字だった。前年同期比と比べて赤字額は縮小したが、携帯電話事業で基地局設置などの先行投資が継続中で、それが負担となった形だ。
ただ、会長兼社長の三木谷浩史氏は、「継続的な損失改善と収益改善をしており、売り上げ、収益、成長を実現」していると前向き。同日午前に行われた「楽天モバイル プレスカンファレンス」でも説明されたKDDIとの新ローミング契約が「大幅な顧客体験向上とコストコントロールに大きく寄与する」と期待を語った。
ここではモバイル事業に関する説明をピックアップして紹介する。
「最強プラン」を改めて説明
モバイル事業は、前年同期比262億円の収益改善。売上収益は579億円で前年同期25.3%増、営業利益は989億円減だが、収益は改善しているという。
楽天モバイルは「国内ナンバーワンの携帯キャリアを目指し、高止まりしていた携帯電話料金を下げて、消費者の方々により有効にお金を使っていただこうということが基本的なポイント」と改めて宣言。ナンバーワン携帯キャリアになるには、楽天エコシステムと、完全仮想化や自動化といった最新のネットワーク技術による圧倒的なコスト構造を実現すること、この2つが大きな戦略だと説明した。
楽天モバイルが調査したところによると、ユーザーの半数以上が携帯キャリアを選ぶ上で価格を重視し、次に通信品質を気にするという。料金の安さでは39.4%の人が楽天モバイルを想起して1位だが、通信品質では6位に甘んじている。また、楽天モバイルの解約理由の大半も通信品質の悪さだ。「ここ(通信品質)を改善すれば、今後、圧倒的なユーザー数の増加、ARPUの増加につながる」と三木谷氏は期待した。
ユーザー評価はまだ高くないものの、基地局設置は「すごい勢いでやってきた」。2023年4月末で4G基地局は5万7358局、人口カバー率は98.4%に達している。ただ、「残りのところが、まだ少し壁があるかな」と思っていたという。ユーザーの声では、楽天モバイルのデータ無制限と3278円(税込み、以下同)という安価な料金、またポイントについては評価が高く、顧客満足度も上がってきているが、屋内、繁華街、地下のカバレッシ改善を望むという声が大きいという。
そこで、「これ(プラチナバンドによるエリア改善と思われる)を1年かけてやろうという目標だったが、そうではなくて一気にやろうということでKDDIさんとの提携を強化し、一気に人口カバー率を99.9%に持っていく」と、今回の新ローミング契約についての意図を説明した。
現在は楽天回線のエリアのみデータ高速無制限だが、6月1日から始まる「最強プラン」ではパートナー回線も含めて無制限になる。今まで提供されていなかった東名阪エリアでもKDDIのプラチナバンドを活用することによって、屋内、繁華街、高層ビルなどでも電波がさらにつながりやすくなり、「楽天モバイルのカバー率は業界最高水準になる」とした。
Rakuten UN-LIMIT VIIでは楽天の自社回線エリアのみ高速データ通信が無制限。パートナーエリアは5GBまでで、それ以降は1Mbpsにダウンするという制限があったが、その制限が取り払われる
パートナー回線でのデータ制限がなくなるとともに、カバレッジが広がり、料金は据え置き。さらに、引き続き海外での高速データ通信は2GBまで無料、通話も「Rakuten Link」アプリを使えば国内はもちろん、海外から日本、日本から海外へ通話する場合も無料だ。Rakuten Linkのデスクトップ版が8月1日に提供開始することも紹介した。
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