「Rakuten最強プラン」は本当に最強? 速度とエリアを都心から世界遺産まで徹底テスト(2/3 ページ)
楽天モバイルが提供する個人向け料金プランの名称と内容を「Rakuten最強プラン」へ変更した。KDDIのローミングエリアでのデータ通信が使い放題となったため、自社エリアがつながりにくい屋内などでも制限を気にせず済むようになった。今回はこのプランの速度とエリアを都心や世界遺産でテストしてみる。
「東京駅周辺 大手町・八重洲エリア」地下でもつながるが、昼の速度低下が気になる
ここからは、「Rakuten最強プラン」の実際のエリアや通信速度など、使い勝手について見ていこう。以後、通信速度のテストにはiPhone 14 ProとSpeedtestアプリを用いた。エリアや接続中の周波数帯はiPhoneのサービスモードやAndroidのアプリ用いて確認している。
東京の丸の内・大手町エリアは、エリア全体の平日昼間の通信量が特に多いといわれているビジネス街だ。林立する高層ビルと、地下鉄駅や地下通路とビルの地下がつながる形で広大な地下街により構成されている。このため、高層ビルを含めた多くの利用者に対応できるエリア設計と、地下は地下鉄駅や各ビルへの細やかなエリア展開が必要となっている。
ざっと全体を回ってエリア状況を確認したところ、屋外は楽天モバイルのエリアを問題なく利用できた。5Gはエリアマップのほど広くなく、5Gミリ波の狭いエリア付近でようやく5G Sub-6につながるといった印象だ。
建物内や地下街は、建物やフロア、通路ごとにKDDIのパートナー回線エリアへと切り替わることがあった。特に、人通りの少ない地下通路や地下駐車場、地上/地下を問わずエレベーター内で切り替わることが多い。ただ、実際の利用では切り替わりを認識することはなく、高速通信の上限も無制限なので快適に利用できる。
ごく一部だが、楽天モバイルが完全に圏外になる場所も存在した。写真はKDDIの800MHz帯は届いておりUQmobileは圏内だ。だが、下の楽天モバイルは自社エリアが圏外かつ、KDDIのパートナー回線エリアにも接続できず圏外となっている。こういった場所の対応は、楽天モバイルのエリア化もしくは2社間のローミングエリアの協議次第となる
次に通信速度だが、大手町と参考として東京駅を挟んで逆方向の八重洲の地上でテストを実施した。いずれも、楽天モバイルが5Gエリアを展開している場所を選んだ。それぞれ、5月30日と6月7日の12時台と15時台に通信速度のテストを実施している。もともと建物内はRakuten最強プラン以前からパートナー回線エリアだったためか、違いは見られなかった。
結果、大手町では昼12時台の楽天モバイル 4Gのダウンロード速度が遅くなっている一方、5Gに関しては高速という結果になった。八重洲に関しては4Gと5G問わず実用上問題のない速度が出ている。
理由としては、昼のピーク時の混雑に対して大手町エリアの4Gで対応できる容量が足りていないことが考えられる。対策としては、さらに基地局を密にするか、空いている5Gへの接続を増やすよう5G対応スマホの利用者を増やすことが必要になるだろう。ただ、大手町の5Gはエリアマップと比べ接続できる場所が狭く、あまり活用されていないのではとも感じられた。5Gに用いるSub-6 3.7GHz帯が障害物に弱いことも関係しているのだろう。
次に、地下で楽天モバイルが自社エリアを構築できていない、KDDIの800MHz帯につながるパートナー回線エリアにつながる場所でも通信速度テストを実施した。日時は6月7日の15時台。結果、楽天モバイルがパートナー回線として接続できるKDDIの800MHz帯のみの速度は、KDDIの高速ネットワークを利用できるUQ mobileと比べ遅い結果となった。
同じKDDIのネットワークで速度に違いが出る理由は、楽天モバイルのパートナー回線エリアで接続できるのは基本KDDIの800MHz帯のみだからだ。この帯域は屋内でもつながりやすく多くのスマホなどが接続し混雑しやすい一方で、他の周波数帯域と比べると帯域幅が狭く実際の速度は数十Mbpsにとどまることが多い。一方、KDDIのauやUQ mobileといったサービスでは、非常に多い加入者の通信に対応するため、市街地だと800MHz帯のほか複数の周波数帯も用いた4G、5Gによる超高速通信のネットワークを整備しているからだ。楽天モバイルでより高速な通信をどこでも利用できる環境を実現するには、自社のエリアでカバーするしかない。
「川崎駅周辺と1.5キロ離れた住宅地エリア」市街地の屋内カバーで差が出る
次に、東京都外だが道府県で上位クラスの賑わいの市街地と、その周辺の住宅地として川崎駅前と1.5キロほど離れた住宅地エリアで通信速度テストを実施した。日時は7月3日の18時台。
全国の主要駅や繁華街に関する楽天モバイルのエリア展開だが、ローミング終了を行った地域でも駅前や繁華街はKDDIのパートナー回線エリアのローミングを提供し続けていることが多い。駅前や繁華街は大型の建物が密集しており、屋内のエリア対策に必要という判断なのだろう。
通信速度のテストは駅前屋外と駅ビル屋内で実施した。駅前屋外に関しては、18時台という夕方のラッシュ時でも楽天モバイルは実用的な速度を確認できた。
一方で、駅ビル内では楽天モバイルの自社エリアにつながる部分と、ビル中心部でKDDIのパートナー回線につながる部分があり、いずれもかなり低速だった。ラッシュ時で駅の利用者が多いことが理由とみられる。なお、KDDIのUQ mobileは駅ビル内でも快適に通信を利用できた。これは800MHz帯以外の基地局でも混雑する駅ビル内をカバーできるよう整備されていたのだろう。
次に、駅前から1.5キロほど離れた住宅地でもテストを実施した。これまでのテストと違って周辺に高層ビルがなく、行き交う人も少ない場所となっている。
通信速度は、普段の利用には問題ない十分な速度を確認できた。この程度の速度を、楽天モバイルなら月額3278円で使い放題となるのはかなり魅力的だろう。
また、近辺でたまたま楽天モバイルの5G Sub-6エリアの端をかすめたので5Gの速度テストも実施したが、500Mbpsを超える速度が出て、エリア端ながらも5G Sub-6らしい高速な結果となった。周辺の建物が低層だからか、都市部と比べるとエリアマップ通りに5Gの高速通信を利用できたようだ。自宅周辺がここまで高速なら、楽天モバイルへの乗り換えを考えたくもなる。
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