楽天モバイルは789億円の赤字もコスト削減を徹底 三木谷氏「黒字化して国内ナンバーワンキャリアに」
楽天モバイルの2023年度第2四半期業績は、789億円の赤字。契約数は7月に入って491万に達し、解約率は低下している。2023年は「フェーズ2」に位置付けており、コストの最適化を図って黒字化を目指す。
楽天グループが8月10日、2023年度第2四半期の決算を発表した。連結売上収益は4972億円(対前年比+9.7%)、Non-GAAP営業損失は394億円を計上。KDDIとの新ローミング協定に伴う設備投資計画の見直し、顧客獲得コストやネットワーク関連コストを削減することで、営業損失は対前年で410億円の改善となった。
楽天モバイル単体では、売上収益522億円(対前年+13.3%)、Non-GAAP営業損失は789億円を計上。こちらもコスト削減により、営業損失は対前年で372億円改善している。
楽天モバイル(MNOの個人+法人)の回線数は、2023年6月時点で481万になり前四半期から24万の純増。7月の速報値では491万回線に達しており、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は「有料化(0円撤廃)して少し下がったが、上昇に転じている。近いうちに500万回線を実現できる」と手応えを話す。
ARPUは対前年736円増の2010円に達した。これに比例して平均データ使用量も増加しており、現在は月間で20GBを超えている。
0円廃止を発表した2022年5月には7~8%まで上昇した解約率は、6月時点で1.93%まで低下。さらに、転出先での特典目当てで楽天モバイルから他社に即MNPをするユーザーを除いた「調整後解約率」だと1.4%となり、「3キャリア並みになっている」と三木谷氏は胸を張る。
三木谷氏は、楽天モバイルユーザーが楽天経済圏の拡大に貢献していることにも言及。楽天モバイルを契約すると、1年間のサービス平均利用数が2つ以上増えている他、楽天モバイル契約前後の比較で楽天市場での年間流通総額が53%向上しているという。「楽天市場だけ使っていた人が楽天カードに入るなど、ロイヤリティーがばか上がるしている」(三木谷氏)
KDDIとの新ローミング協定をもとにネットワーク品質の改善も進めており、2023年秋までに一定の成果を上げられる見込み。「新しいローミング契約の締結により、繁華街に関しては、新たに使うネットワークが増える。現在、最終の詰めをしている」と楽天モバイルの鈴木和洋CEOは話す。この2023年秋をめどに、新たなマーケティング施策やキャンペーンを打っていく予定。
そんな楽天モバイルは2023年時点で「フェーズ2」の段階にあると三木谷氏は説明する。サービス開始当初の2020年~2022年は、基地局開設や仮想化技術の確立などに努めた「フェーズ1」だったが、コストを度外視するなど「多少強引に進めてきた」と三木谷氏は振り返る。
フェーズ2では「コスト最適化」「(ローミングも含めた)ネットワークの改善」「精緻なマーケティング」「法人事業」の4つを柱とし、無駄を省くことに注力する。
コスト削減は月間で約150億円を目標にしており、6月時点で129億円の削減に成功。第1四半期と第2四半期は、計画を大幅に前倒して進展しているそうで、「残り21億円の見込みは立っている」と三木谷氏。その具体的な内容は「ローミングや基地局開設の費用、物流、人件費、顧客獲得コストの削減、テレビCMを控える、不採算ショップの閉店など」(鈴木CEO)
そのフェーズ2も「そろそろ終焉に近づいてきている」といい、三木谷氏は「第4四半期あたりからフェーズ3に入り、黒字化した上で国内ナンバーワンのモバイルキャリアの道を突き進んでいく」と意気込みを語った。
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