宮川ソフトバンク社長、最強プランに「シビれる」――データ専用契約の本人確認厳格化にも言及:石川温のスマホ業界新聞
ソフトバンクの宮川潤一社長が、決算説明会において楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」について疑問を呈する場面があった。同社の現業部門では総務省との「相談」を行っているともいうが、果たしてどうなるのか……?
某キャリアが「楽天モバイルの『最強プランって言い方、どうなのよ』」と各メディアを焚きつけて回っている。ただ、それだけ記事化するのはなかなかハードルが高いので、8月4日に行われたソフトバンク決算会見で、宮川潤一社長に「最強プランという言い方、どう思います?」と単刀直入に質問をぶつけてきた。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年8月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
すると宮川社長はなぜか「ありがとうございます」と言いつつ「名前をつけるのは、企業の自由。外部からコメントする立場では無く、実害はないので静観していたが、顧客に誤認される可能性が出てくるということで、現場が総務省と打ち合わせしているという話は聞いている」と回答してくれた。
さらに個人的な見解として「なかなか、シビれるという感じで見ておりました」とも語ってくれた。
かつては、ソフトバンクもいろいろとヤンチャしてきたイメージがあるが、そんな経験があるソフトバンクだからこそ、いまの楽天モバイルの立ち振る舞いは看過できないのかも知れない。
楽天モバイルは5月24日から始まったMNPのワンストップ化を契機に、楽天銀行などのユーザーに対してワンクリック契約を提供しはじめている。
現在はデータプランのみの提供だが、楽天モバイルとしては音声契約のMNPでも対応させるつもりのようだ。三木谷浩史会長は「8月には提供したい」としているが、楽天モバイルのオフィシャルコメントとしては「白紙」というのが正しいようだ。
そんなワンクリック化に対しても、宮川社長は「犯罪防止の観点からも本人確認はとても重要」だとしている。今の時代、データ通信だけであっても、音声通話アプリを使えば、電話のように利用できる。宮川社長としては、法整備自体を見直し、本人確認が不要なデータ通信契約専用回線を本人確認必須にするよう総務省に働きかけたいとしている。
ソフトバンクからの横やりに対して、総務省はどのように動くのか。
確かに本人確認については050番号に対しても、契約時の本人確認を義務化するという動きがでている。ここ最近、電話による詐欺行為を撲滅しようと本人確認を強化する雰囲気になりつつある。
そんななか、楽天モバイルは音声契約でもMNPのワンクリック化を実現できるのか。
ソフトバンクが総務省にどのように耳打ちし横やりを入れていくのか。また、ソフトバンクに続くキャリアは現れるのか。楽天モバイルの命運は総務省の判断に左右されることになりそうだ。
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